事業承継ガイドラインとは?最新の改訂内容と円滑な承継を実現する5ステップ

事業承継ガイドラインとは?最新の改訂内容と円滑な承継を実現する5ステップ

事業承継ガイドライン(中小企業庁)をわかりやすく解説。最新版(令和4年改訂)のポイント、承継の3要素と円滑化の5ステップ、親族内・従業員承継・M&A(第三者承継)の進め方、支援機関の活用まで整理します。

目次
事業承継とは何か?基本知識から後継者問題の解決方法も紹介
事業承継
事業承継とは何か?基本知識から後継者問題の解決方法も紹介

事業承継とは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。会社を後継者に引き継ぐ際に使われます。よく混同されやすい『事業譲渡』との違いも知っておきましょう。そのほか、事業承継を行う際の手順や問題点も解説します。

事業承継とM&Aの違いは?メリット・デメリットと注意点を徹底解説
事業承継
事業承継とM&Aの違いは?メリット・デメリットと注意点を徹底解説

事業承継とM&Aの基本的な定義の違いから、それぞれのメリット・デメリット、具体的な手法やプロセス、専門家の選び方までを網羅的に解説します。

事業承継の準備が必要だと分かっていても、日々の業務に追われ、何から着手すべきか分からず不安を抱えている経営者は少なくありません。

本記事では、中小企業庁が策定した事業承継ガイドラインに基づき、円滑な承継を進めるための基本的な考え方や最新の重要ポイントを解説します。
ガイドラインの全容から5つのステップ、M&Aや従業員承継といった選択肢ごとの対策までを整理して解説します。

この記事を読むことで、事業承継に対する漠然とした不安を整理でき、自社に合った承継の方向性を検討するための視点を持てるようになるでしょう。
まずはガイドラインの基本を理解し、貴社の状況に合わせた準備を今すぐ開始しましょう。

事業承継ガイドラインの概要と策定の背景

事業承継ガイドラインは、中小企業の経営者が直面する承継問題に対応するため、国が策定した公的な指針です。
ここでは、その策定の背景や目的、そして現在の日本企業が置かれている深刻な状況について、基本的な概要を解説します。

中小企業庁が策定した「円滑な承継」のための指針

「事業承継ガイドライン」とは、中小企業庁が中小企業・小規模事業者の経営者に向けて策定した、事業承継を計画的に進めるための公的な手引きのことです。
このガイドラインは、単なる手続きのマニュアルではなく、企業の存続と雇用の維持を主目的とし、経営資源や貴重なノウハウを次世代へ確実につなぐための「標準的な進め方」を示しています。

経営者が判断に迷った際の参考資料として活用でき、親族内承継だけでなくM&Aなど複数の選択肢を前提に整理されている点が特徴です。

経営者の高齢化と後継者不在(2025年問題)への危機感

策定の背景には、中小企業経営者の高齢化が進み、後継者不在の企業が多いという現状があります。
いわゆる「2025年問題」として懸念されており、黒字でありながら廃業を選択せざるを得ない「黒字廃業」の増加が、地域経済の衰退を招く大きなリスクとなっています。

本ガイドラインは、こうした状況を踏まえ、早期に事業承継へ取り組む重要性を示すために策定されています。

事業承継ガイドラインの目的と対象読者

本ガイドラインは、すでに後継者が決まっている企業だけでなく、これから検討を始める経営者にとっても有用な情報が網羅されています。
親族内承継、従業員承継、あるいは第三者へのM&Aを検討している経営者のいずれにとっても、共通して役立つ「ロードマップ」として活用できます。

経営者だけでなく、支援を行う専門家や金融機関の担当者にとっても、共通言語として理解しておくべき必須の知識といえるでしょう。

中小企業庁 事業承継ガイドライン

2022年(令和4年)改訂版(最新版)の主な変更点とポイント

時代の変化に伴い、事業承継ガイドラインも改訂が重ねられており、2022年(令和4年)の改訂版では、近年の承継トレンドを反映した大幅なアップデートが行われました。
ここでは、特に重要な変更点であるM&Aに関する記述の拡充や、後継者視点の追加について解説します。

従業員承継・M&A(第三者承継)に関する説明の拡充

最新版では、親族内承継に加え、M&Aや従業員承継といった第三者承継に関する記載が拡充されています。
親族に後継者がいない場合でも事業を存続させるため、外部の買い手探しの方法や、専門家・仲介機関との具体的な連携方法について詳しく言及されています。

これにより、第三者承継を検討する経営者が、より現実的かつ具体的なアクションプランを策定しやすくなりました。

「後継者目線」の追加と「攻めの承継」への転換

今回の改訂では、現経営者だけでなく、事業を引き継ぐ側の「後継者候補」に必要な心構えや、経営改善の視点が新たに盛り込まれました。
事業承継を単なる「引退に伴う手続き」と捉えるのではなく、新事業展開や生産性向上を目指す「経営革新のチャンス」と捉える重要性が強調されています。
「攻めの承継」へと意識を転換することで、承継後の企業成長を促し、次世代が意欲的に経営に取り組める環境づくりを目指しています。

「中小M&Aガイドライン」との役割の違いと併用

事業承継に関連する指針として「中小M&Aガイドライン」も存在しますが、両者はその役割と目的において明確な棲み分けがなされています。
「事業承継ガイドライン」が承継プロセス全体を包括的に扱うのに対し、「中小M&Aガイドライン」はM&Aの実務手続きや行動指針に特化しています。

M&Aを検討する際は、事業承継ガイドラインで全体の流れを把握した上で、中小M&Aガイドラインを併用して具体的な実務を進めるのが効果的です。

中小企業庁 中小M&Aガイドライン

ガイドラインが示す「事業承継の3つの構成要素」

事業承継は、単に社長の椅子を譲るだけの手続きではありません。
ガイドラインでは、会社を次世代へ引き継ぐものを「人(経営)」「資産」「知的資産」の3つの要素に整理しています。これらを漏れなく承継することが重要です。

① 人(経営):経営権とリーダーシップの承継

「人」の承継とは、代表権という法的な地位だけでなく、実質的な経営権やリーダーシップを後継者に引き継ぐことです。
後継者としての自覚を促す教育期間を設けるとともに、従業員や取引先、金融機関などの関係者から信頼され、組織を牽引できる体制を整えることが求められます。

② 資産:株式・事業用資産の法的移転

「資産」の承継とは、会社の所有権である自社株や、工場・設備・不動産といった事業活動に不可欠な資産を法的に引き継ぐことです。
後継者が安定して経営を行えるよう、株式の分散を防ぎながら集中させるとともに、事業承継税制などを活用して、税負担を最小限に抑える財務戦略が必要になります。

③ 知的資産:理念・ノウハウ・人脈の承継

「知的資産」の承継とは、貸借対照表には表れない、企業の競争力の源泉となる目に見えない強みを引き継ぐことです。
創業者の経営理念や想い、熟練従業員の技術・ノウハウ、長年築き上げた顧客ネットワークや信用などを、目に見える形にして次世代へ浸透させることが重要です。

第三者承継とは何か?事例・メリット・手続き・注意点まで徹底解説
手法
第三者承継とは何か?事例・メリット・手続き・注意点まで徹底解説

後継者不在でも会社を残したい経営者向けに、第三者承継(M&A)の基礎知識から主な手法、メリット・デメリット、手続きの流れ、補助金活用や成功事例までをわかりやすく解説します。

M&Aによる事業承継とは?メリット・デメリットと成功のポイントや流れを解説
具体的事例
M&Aによる事業承継とは?メリット・デメリットと成功のポイントや流れを解説

後継者不足で黒字廃業を避けたい経営者へ。M&Aによる事業承継のメリット・デメリット、進め方(流れ)や成功のポイント、相談先まで分かりやすく解説します。

円滑な承継を実現する「5つのステップ」のロードマップ

事業承継は思い立ってすぐに完了できるものではなく、数年から10年単位の時間を要する長期的なプロジェクトです。
ガイドラインでは、準備から実行、そして承継後のフォローアップまでを5つのステップに体系化し、経営者が迷わず進めるようロードマップを示しています。

STEP①:事業承継に向けた早期の準備着手

まずは経営者自身が事業承継の必要性を強く自覚し、60歳を一つの目安として、およそ10年がかりの準備をスタートさせる段階です。
誰に引き継ぐかという方向性を模索し、親族や従業員への意向打診を行ったり、M&Aという選択肢の検討を始めたりします。

早期に着手することで選択肢が広がり、余裕を持って対策を講じることができるため、この第一歩を先延ばしにしないことが肝要です。

STEP②:経営状況・課題の可視化(棚卸し)

次に、自社の財務状況、事業の強み・弱み、親族関係、個人資産と法人資産の混同の有無などを「事業承継診断」で客観的に把握します。
現状の課題を洗い出すことで、承継に向けて解決すべき問題点が明確になり、具体的な対策を立てやすくなります。

たとえ債務超過や赤字がある場合でも、この段階で実態を直視し、正確に把握することが再生型承継への第一歩となります。

STEP③:経営の磨き上げ(企業価値向上)

現状把握ができたら、後継者が「引き継ぎたい」、あるいは買い手が「買いたい」と思えるような魅力的な企業にするための磨き上げを行います。
収益性の向上や不採算部門の整理に取り組むとともに、業務プロセスを見える化(マニュアル化)して、属人性を排除します。

このプロセスを通じて企業価値を高めることは、M&Aにおける譲渡価格の向上や、後継者の経営負担軽減に直結する重要な工程です。

STEP④:具体的な事業承継計画の策定

承継の時期、具体的な手法(譲渡・贈与等)、承継後の役員構成、資金計画などを盛り込んだ詳細な「事業承継計画書」を作成します。
関係者間での合意形成を図るための指針となり、計画に基づいて進めることでトラブルを未然に防ぐ効果があります。

M&Aを選択する場合は、この段階で事業承継ファンドや仲介業者とのマッチングを本格化させ、具体的な交渉相手の選定に入ります。

STEP⑤:事業承継・M&Aの実行とフォローアップ

最後に、法的な名義変更、登記手続き、そして取引先や金融機関への対外的なアナウンスを実行し、承継を完了させます。
ただし、手続きの完了後も、新体制における組織運営や引き継ぎ後の体制づくりが重要になります。

必要に応じて前経営者が一定期間関与することで、新しい経営体制への移行を円滑に進めやすくなります。

企業の後継者不足をどうする?実態と取り得る対策、具体的な解決策
具体的事例
企業の後継者不足をどうする?実態と取り得る対策、具体的な解決策

少子高齢化や事業承継対策の遅れなどにより、後継者不足に悩む企業が増加中です。後継者問題の解消法や後継者人材の育成ポイント、後継者を見つけるのに有用なM&Aについて解説します。特に中小企業の経営者や個人事業主は、参考にしてみましょう。

会社を売りたい経営者が知っておきたい知識。M&Aの方法と流れ
具体的事例
会社を売りたい経営者が知っておきたい知識。M&Aの方法と流れ

近年はM&Aによる会社売却が増えています。売却に当たり、売り手は磨き上げを実施し、企業価値を少しでも高める努力をしましょう。株式譲渡による会社売却の流れや注意点、売れない会社と売れる会社の特徴を解説します。

類型別の課題解決ポイントと留意点

事業承継には「親族内承継」「従業員承継」「M&A」など複数のパターンがあり、それぞれ直面する課題や留意すべきポイントが異なります。
ここでは、それぞれの承継類型における特有の問題点と、それを解決するための具体的な対策について解説します。

親族内承継:遺留分問題の調整と後継者指名

親族内承継において最も懸念されるのは、相続に伴う株式の分散や、親族間での争いです。
株式の分散を防ぐためには事前の合意形成が不可欠であり、遺留分に関する民法の特例(除外合意・固定合意)の活用が有効な手段となります。

これらを活用することで、後継者に自社株を集中的に承継しやすくなり、経営の安定性向上につながります。

中小企業庁 遺留分に関する民法の特例

従業員承継:買収資金の調達と個人保証の処理

役員や従業員に承継させる場合、最大のハードルとなるのが株式取得のための資金調達と、個人保証の引き継ぎです。
従業員個人では資金力が不足するケースが多く、株式取得にあたっては金融機関融資MBOにおける資金調達スキームの検討が必要になります。

また、経営者保証ガイドラインを活用して個人保証を解除するか、あるいは相応の報酬設計を行うなどして、後継者の心理的・金銭的負担を軽減する配慮が求められます。

M&A(第三者承継):情報秘匿と信頼できるパートナー選定

M&Aによる承継では、検討段階での情報漏洩が従業員の不安や取引先の離反を招くリスクがあるため、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。
秘密保持契約を徹底するとともに、信頼できる仲介会社やアドバイザーを選定することが成功への第一歩となります。

公的な支援機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」などを活用し、中立的な立場からの助言を受けることもリスク回避に役立ちます。

M&A案件一覧|トランビ 【M&Aプラットフォーム】
案件一覧
事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】

事業承継・引継ぎ支援センターM&A案件一覧はこちらからご覧いただくことができます

個人事業主:知的資産の伝承と許認可の引き継ぎ

個人事業主の承継は、法人とは異なり権利義務が自動的に引き継がれないため、手続きが煩雑になりがちです。

特に許認可事業の場合、廃業と新規開業の手続きが必要になるケースもあり、事前の確認と計画的な準備が欠かせません。
また、経営者の個人的な信用や技術に依存している部分が大きいため、これら「知的資産」をいかに形式知化して伝えるかが重要なポイントとなります。

社長の後継者は募集可能?M&Aの利点や承継のポイントも紹介
具体的事例
社長の後継者は募集可能?M&Aの利点や承継のポイントも紹介

親族内に後継ぎがいない場合、どのような方法で後継社長を探せばよいのでしょうか?従業員承継や外部招聘のほか、近年はM&Aによる事業承継を選択する企業が増えています。第三者承継の利点や後継者に選ばれる会社になるためのポイントを解説します。

後継者がいない事業の廃業を防ぐには?有効な選択肢や方法を解説
手法
後継者がいない事業の廃業を防ぐには?有効な選択肢や方法を解説

近年、後継者がおらず廃業を選択する事業が増え続けています。廃業すれば、事業主は精神的な負担から解放されるものの、事業を通じて培ってきたノウハウが失われてしまいます。廃業の前に、親族や従業員、第三者への事業承継を考えてみましょう。

事業承継を円滑化するための具体的な活用手法

事業承継を成功させるためには、法制度や金融商品を賢く組み合わせ、リスクをコントロールする技術が求められます。
ここでは、種類株式の活用や信託制度、生命保険、持株会社化など、実務で頻繁に用いられる具体的かつ効果的なスキームを紹介します。

種類株式の活用による「支配権」と「財産権」の分離

種類株式を導入することで、後継者には議決権のある株式を持たせ、後継者以外の相続人には配当優先の無議決権株式を渡すといった設計が可能です。
これにより、「支配権(経営権)」を後継者に集中させつつ、「財産権」については他の親族へ公平に分配することができます。

経営の安定と親族間の公平性を両立させる手法として、事業承継対策の一つとして導入されるケースが増えています。

遺言代用信託など信託制度の利用

信託制度を活用することで、経営者が万が一認知症になったり死亡したりした際の株式の取り扱いをあらかじめ決めておくことができます。
遺言代用信託を利用すれば、経営者が亡くなった後の株式の帰属先を確定させ、遺産分割協議によるトラブルや停滞を未然に防ぐことが可能です。

後継者への円滑な株式移転を確実にするための、法的な安全装置として機能します。

生命保険を活用した納税資金・代償資金の確保

生命保険は、事業承継における納税資金や代償資金を準備する手段として活用されることが多い制度です。

死亡保険金の非課税枠を利用して相続税の負担を軽減したり、会社が受取人となって自社株買い取り資金を確保したりすることができます。
また、後継者以外の相続人に渡すための「代償交付金」を保険金で用意することで、遺産分割トラブルを回避する手段としても有効です。

持株会社(ホールディングス)化による資産集約

持株会社(ホールディングス)を設立し、その会社に自社株を集約させる手法も、承継対策として頻繁に用いられます。
株式を持株会社が保有することで、個人の相続発生時に自社株が分散するリスクを抑えやすくなります。

また、株価対策としても有効であり、将来的な承継コストをコントロールしやすくなるというメリットがあります。

持株会社化による経営統合のメリット、デメリット。持株会社設立の流れを確認
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持株会社化による経営統合のメリット、デメリット。持株会社設立の流れを確認

持株会社化による経営統合は、複数の会社が共同で持株会社を設立し、その子会社として傘下に入るM&A手法です。資本や組織は一本化されないものの、同じ親会社を持つことで戦略を共有できるのが利点です。合併や業務提携との違いやメリットを解説します。

持株会社のメリットは経営効率の向上など。新規事業参入も容易に
手法
持株会社のメリットは経営効率の向上など。新規事業参入も容易に

持株会社は、複数の子会社を統制する『グループ企業の親会社』です。持株会社化を行うと、親会社は経営に、子会社は事業に専念でき、経営効率の向上が見込めます。持株会社を設立するメリットや注意すべき点について解説します

債務超過・財務課題がある場合の承継戦略

「債務超過だから承継は無理だ」と諦める必要はありません。適切な手順を踏めば、財務状況が厳しくても事業を残す道は開かれています。
ここでは、中小企業活性化協議会による再生支援や、私的整理とM&Aの併用など、逆境を乗り越えるための戦略を解説します。

中小企業活性化協議会による「再生型承継」

過剰債務を抱えている企業であっても、本業に収益力があれば、公的機関である中小企業活性化協議会の支援を受けて再生を目指すことが可能です。
金融機関との調整を通じて債務免除や返済条件の変更を行い、財務体質を改善した上で承継やM&Aを行う「再生型承継」というスキームがあります。

専門家のサポートを受けながら計画的に進めることで、事業と雇用を守り抜くことができます。

私的整理とM&Aの併用

法的整理(破産や民事再生)を選ぶと企業のブランド価値が毀損してしまいます。
一方で、金融機関等の債権者と協議しながら再建を図る私的整理を検討できるケースもあります。

たとえば、事業の一部(または中核事業)をスポンサー企業へ譲渡し、収益力のある事業を残す第二会社方式などが選択肢として挙げられます。
これは負債整理と事業承継またはM&Aを組み合わせて企業の存続を目指す考え方です。契約・労務・許認可・税務など論点が多いため、早期に専門家の関与を得て慎重に設計することが重要です。

民事再生法とは何か簡単に解説。進め方や事例、破産との違いも
用語説明
民事再生法とは何か簡単に解説。進め方や事例、破産との違いも

負債が膨大になり、資金繰りに困った企業には『民事再生』という選択肢があります。債務者は事業の再建を目指し、『再生計画書』に基づいた弁済を行わなければなりません。民事再生の流れや裁判所に申し立てる際の注意点について解説します。

支援機関・専門家の活用とサポート体制

事業承継は法務・税務・経営など多岐にわたる専門知識が必要であり、経営者だけで進めるのは困難です。国や民間が提供するサポート体制を積極的に活用することが成功への近道です。
ここでは、主要な相談先である支援センターや金融機関、専門家の役割について紹介します。

事業承継・引継ぎ支援センター(公的相談窓口)

「事業承継・引継ぎ支援センター」は、国が全国の都道府県に設置している公的な相談窓口です。

事業承継に関するあらゆる悩みを無料で相談できるほか、M&Aのマッチング支援や専門家の派遣制度も利用できます。
公的機関であるため、秘密保持の面でも安心感が高く、最初に相談する窓口として最適です。

事業承継・引継ぎ支援センター 事業承継・引継ぎポータルサイト

金融機関・商工会議所・認定支援機関

普段付き合いのある金融機関や地元の商工会議所も、事業承継の身近な相談相手となります。
地域密着型のネットワークを活かしたマッチング支援や、事業承継に必要な資金の融資、各種補助金(事業承継・引継ぎ補助金など)の申請サポートを行っています。

特に認定支援機関のアドバイスを受けることは、税制優遇措置を受けるための要件となる場合も多いため重要です。

顧問税理士・公認会計士・弁護士

具体的な実務を進める段階では、各分野の専門家との連携が不可欠になります。

税理士は株価評価や税務申告、弁護士は契約書の作成や法務リスクの回避、公認会計士はデューデリジェンス(資産査定)などで専門的な力を発揮します。
それぞれの専門領域を理解し、プロジェクトチームとして機能させることで、安全かつ確実な承継が可能になります。

M&Aの相談は誰に頼む?相談先の選び方・料金を徹底解説!
事業承継
M&Aの相談は誰に頼む?相談先の選び方・料金を徹底解説!

M&Aの成功は、自社の状況や目的に合う適切な相談先を見つけられるかに左右されます。自社の現状を把握し、M&A成功のパートナーとなる相談先を見つけることから始めましょう。

【2025年・令和6年度補正】事業承継・M&A補助金の対象と申請方法(11次公募)
事業承継
【2025年・令和6年度補正】事業承継・M&A補助金の対象と申請方法(11次公募)

事業承継・M&A補助金とは?活用方法によっては費用負担を大きく軽減できる可能性があります。2025年度を基に制度の概要と特徴を詳しく解説しますので、公募要領を理解し、自社が対象となるか確認してみてください。

おすすめのM&Aプラットフォーム|自力で相手を探す選択肢

仲介業者に依頼するだけでなく、近年ではインターネットを通じて経営者自身が直接買い手を探せる「M&Aプラットフォーム」の利用が急増しています。
コストを抑えつつ、広範な候補者から相手を選べるこの手法は、新しい事業承継の形として注目されています。

国内最大級の「TRANBI(トランビ)」を活用した事業承継

「TRANBI(トランビ)」のようなM&Aプラットフォームを活用すれば、仲介会社を介さずに、匿名で全国の買い手・売り手候補と直接交渉が可能です。

主なメリットは、仲介手数料などのコストを大幅に抑えられる点と、自社のペースで幅広く承継先を探せる点にあります。
多くの候補者と直接対話する中で自社に合う相手を見極め、契約などの重要な局面で必要に応じて専門家のサポートを依頼するという、柔軟かつ合理的な進め方が実現できます。

M&Aプラットフォーム比較大全|主要サービスの違いと選定ポイント(2026年1月)
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M&Aプラットフォーム比較大全|主要サービスの違いと選定ポイント(2026年1月)

主要なM&Aプラットフォームを、登録者数・案件数・料金体系・特徴の観点から徹底比較。成約報酬型・月額型といったビジネスモデルの違いや、目的別に適したサービスの選び方をわかりやすく解説します。

事業承継ガイドラインに関するよくある質問

最後に、事業承継ガイドラインについて、多くの経営者から寄せられる疑問とその回答をまとめました。
義務性や入手方法、適切な開始時期など、基本的な疑問点をここで解消しておきましょう。

ガイドラインに従うのは義務ですか?

事業承継ガイドラインに法的拘束力はなく、従わなかったとしても罰則はありません。
しかし、公的支援や税制優遇(事業承継税制)を受ける際の要件や審査において、ガイドラインに沿った取り組みが「標準」として重視される傾向にあります。

円滑な承継を実現するためのベストプラクティスが凝縮されているため、実質的には遵守することが強く推奨されます。

最新版の第3版はどこで入手できますか?

最新版のガイドラインは、中小企業庁の公式ウェブサイトから誰でも無料でダウンロードすることが可能です。
PDF形式で公開されており、ガイドライン本編だけでなく、要点をまとめた概要版やパンフレットも用意されています。

常に最新の情報を参照できるよう、ブックマークやダウンロードをして手元に置いておくことをおすすめします。

中小企業庁 事業承継ガイドライン

承継を検討し始めるべき適切な年齢は?

ガイドラインでは、経営者が60歳前後になった段階を、準備を開始する目安の一つとして示しています。

後継者の育成や自社株の移転など、承継プロセス全体には10年程度の期間を要することが一般的だからです。
体力や判断力が充実しているうちに準備を始めることが、結果として選択肢を広げ、納得のいく承継につながります。

まとめ

本記事では、事業承継ガイドラインの全体像から具体的な実践ステップまでを解説しました。

事業承継ガイドラインは、企業の永続性を考えるうえでの実務指針であり、示されているステップに沿って早期に準備を進めることで、税負担の軽減や将来のトラブル回避につながります。
たとえ債務超過や後継者不在といった課題を抱えていても、諦める必要はありません。

ガイドラインを基準にしつつ、専門家の支援やM&Aプラットフォームなどを賢く活用することで、解決の糸口は必ず見つかります。

貴社の想いと価値を次世代へつなぐために、まずは「知る」ことから始め、今日から具体的な行動を起こしていきましょう。

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事業を親族や従業員、あるいは第三者に引き継がせるには、さまざまな費用や税金がかかります。事業承継を考えている経営者は、事前にどれぐらいの負担が発生するのか確認しておきましょう。事業承継にかかる代表的な費用や税金について解説します。

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