M&Aアドバイザリーとは?仲介との違い・業務内容・費用相場をプロが徹底解説
M&Aアドバイザリーとは何かを解説し、仲介との違い、FAの役割や業務内容、費用・手数料相場を整理。向いている企業規模やメリット・注意点、信頼できるアドバイザリー会社の選び方までわかります。
M&Aを検討しているが、アドバイザリーと仲介のどちらを選べばいいのか、具体的な業務や費用がわからず不安を感じていませんか?
M&Aアドバイザリーは、依頼主の利益最大化を第一に考え、戦略立案から成約後の統合までを包括的に支援する専門家です。
本記事では、アドバイザリーの定義、仲介との決定的な違い、業務の流れや費用相場、そして信頼できる会社の選び方まで網羅的に解説します。
この記事を読めば、自社にとって最適な支援体制を判断できるようになり、納得感のあるM&Aを実現する道筋が見えてくるはずです。
まずはM&Aアドバイザリーの本質を正しく理解し、成功への第一歩を踏み出しましょう。
M&Aアドバイザリーの定義と基本概要
M&Aアドバイザリーの全体像を理解するために、必要な基礎知識を解説します。
定義から歴史的背景、そしてアドバイザーが果たすべき本来の役割まで、正確な知識を身につけましょう。
M&Aアドバイザリーの正確な定義
M&Aアドバイザリーとは、企業の合併・買収(M&A)において、一方の当事者の代理人として包括的な支援を行う専門サービスです。
その範囲は広く、経営戦略の立案から相手先の選定、条件交渉、成約、さらには成約後の統合プロセス(PMI)までをカバーします。
単なる企業同士の引き合わせにとどまらず、依頼主の経営判断を支えるパートナーとしての側面が強いのが特徴です。
専門的な知見を活かし、複雑なディールを円滑かつ有利に進めるための司令塔的な役割を担います。
アドバイザリーという言葉の背景
「アドバイザリー」という言葉が広く使われる背景は、2001年のエンロン事件を契機に、監査人の独立性が世界的に重視されるようになったことがあります。
米国ではその流れの中でサーベンス・オクスリー法(SOX法)が制定され、監査を担当する会計事務所が監査先に対して提供できる非監査業務が制限され、また提供可能な非監査業務であっても監査委員会の事前承認が求められるなど、監査と非監査業務の関係が厳格化されました。
この制度的な変化により、監査とは切り分けた専門支援サービスの提供が進み、アドバイザリーを含む支援領域の区分が明確になっていきました。
SOMPO CYBER SECURITY サーベンス・オクスリー法とは
M&Aアドバイザーの役割
M&Aアドバイザーの最大の役割は、クライアントの利益最大化を実現することです。
単に案件を成約させること(マッチング)を目的にするのではなく、依頼主にとって最善の条件を引き出すことが求められます。
例えば、売り手側であれば少しでも高い譲渡価格を、買い手側であればリスクを最小限に抑えた買収を追求します。
戦略的なアドバイスを通じて、経営者の孤独な決断をプロの視点から支える戦略的パートナーなのです。
M&AアドバイザリーとM&A仲介の決定的な違い
M&Aを検討する際、よく混同されるのが「アドバイザリー」と「仲介」です。
両者は似ているようで、契約形態や重視する利益の対象が根本的に異なります。
立場の違い:代理人(FA) vs 中立(仲介)
アドバイザリー(ファイナンシャル・アドバイザー:FA)は、売り手または買い手のいずれか一方と契約し、依頼主の立場で助言・交渉支援を行うことが基本です。
一方でM&A仲介は案件や契約形態によって運用は異なりますが、売り手・買い手双方の間に立ち、条件調整や手続きの進行管理を担うケースが多いのが特徴です。いわゆる「両手(双方から手数料を受け取る)」となることもあります。
利益相反リスクの有無
仲介モデルでは、売り手と買い手の利害が相反する場面において、双方から報酬を受け取る場合、利益相反の懸念が指摘されることがあります。
一方でFA(アドバイザリー)は、片側当事者の立場で支援するため、仲介に比べて「誰の利益最大化のために動くか」が明確になりやすいという強みがあります。
ただし、いずれのモデルでも成功報酬などの設計次第でインセンティブが働くため、契約内容・情報開示・説明姿勢を確認したうえで選定することが重要です。
向いている企業の規模や目的
一般的に、上場企業同士の買収やクロスボーダー案件、複雑なスキームが必要な大型案件にはアドバイザリーが適しています。
専門性の高い法務・税務チェックが必要な場合や、1円でも高く売りたいという明確な目的がある場合に推奨されます。
一方、中小企業の事業承継やスピードを重視する案件では、仲介会社の方が適しているケースが多いです。
中立的な立場で双方を調整し、早期に合意形成を図れる点が理由です。
M&Aアドバイザリーの分類と専門家チーム
M&Aは非常に高度な専門性の掛け合わせが必要なため、通常はチームでプロジェクトを進行します。
どのような専門家がどのような役割を担っているのか、それぞれの分類を確認していきましょう。
財務アドバイザー(Financial Advisor / FA)
財務アドバイザー(FA)は、M&Aプロジェクト全体をマネジメントする「主幹事」のような存在です。
企業価値の算定(バリュエーション)やスキームの設計、相手方とのタフな条件交渉を一手に引き受けます。
ディールの成功確率を高める全体戦略を設計し、他の専門家を統括する役割も担います。
投資銀行や証券会社、独立系のM&Aブティックがこの役割を担うのが一般的です。
法務アドバイザー(Legal Advisor / LA)
法務アドバイザー(LA)は、主に弁護士が中心となり、ディールに伴う法的リスクの管理を行います。
法務デューデリジェンス(DD)を通じて潜在的な訴訟リスクや契約上の不備を洗い出し、
また、最終契約書(SPA)の作成やリーガルチェック、さらには独占禁止法などの関連法規への対応も担います。
法的な観点から取引の安全性を担保する、M&Aにおける重要な役割を果たします。
FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)
FASは、主に公認会計士を中心としたプロフェッショナル集団による実務支援サービスです。
財務デューデリジェンスの実行や、高度な手法を用いた株価算定、会計処理のアドバイスに特化しています。
Big4に代表される大手会計事務所系ファームが有名で、中大型案件の透明性を確保するために欠かせません。
数字の側面から、取引価格の妥当性や財務健全性を客観的に証明する役割を担います。
その他の専門アドバイザー
M&Aの内容に応じて、税務、人事、IT、環境といった特定の分野に特化したアドバイザーが参加します。
例えば、買収後の人事制度の統合をスムーズにするために、人事コンサルタントがプランを策定することもあります。
また、反社会的勢力との関わりがないかを調べる調査機関や、取引価格の公正性を証明する「フェアネス・オピニオン」の発行機関も重要です。
多角的な視点でリスクを管理することで、M&A後のトラブルを防ぎやすくなります。
M&Aアドバイザリーの具体的な業務内容
M&Aアドバイザリーがどのようなステップで支援を行うのか、具体的な業務フローを解説します。
各フェーズでアドバイザーがどのような介在価値を発揮するのか、詳細を見ていきましょう。
①M&A戦略の立案とスキーム検討
まずは経営課題を深く掘り下げ、「なぜ今M&Aが必要なのか」という目的を明確にすることから始まります。
目的達成の手段として、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併などのスキームを比較検討します。
税務的な影響や法的な制約を考慮し、最も効率的でリスクの低い構造を初期段階で組み上げます。
この初期設計が不十分な場合、後の交渉段階で条件面の齟齬が生じやすくなります。
②企業価値評価(バリュエーション)の実施
次に、対象となる企業の価値を客観的な指標に基づいて算定します。
将来のキャッシュフローを現在価値に割り引くDCF法や、類似企業の指標を用いるマルチプル法が一般的に用いられます。
アドバイザーは、依頼主にとって有利かつ、相手方が納得できる論理的な根拠を持った価格レンジを提示します。
感覚的な値付けではなく、数値根拠に基づくことで、交渉の場での説得力が格段に高まります。
③ソーシング(相手探し)とIM作成
最適なパートナーを探すために、まずは匿名形式の「ノンネームシート」を作成して候補先へ打診します。
関心を示した相手に対しては、秘密保持契約を締結した上で、詳細な情報を盛り込んだ「企業概要書(IM)」を開示します。
アドバイザーの持つ独自のネットワークやデータベースを活用し、シナジーが最大化される相手をリストアップします。
自社単独では接点を持ちにくい買い手・売り手候補を効率的に探索できる点が特徴です。
④デューデリジェンス(買収監査)の実行支援
買い手による詳細な調査である「デューデリジェンス(DD)」が円滑に進むよう、アドバイザーが伴走します。
売り手側のアドバイザーであれば、膨大な資料の準備や、買い手からの鋭いQ&Aへの回答をサポートします。
リスクを適切に開示した上で、その影響を整理し、交渉に耐えうる説明を組み立てます。
DDは非常に負荷の高い作業ですが、アドバイザーの支援により経営者は日常業務を継続することが可能になります。
⑤条件交渉と最終契約締結
DDの結果を踏まえ、最終的な譲渡価格や契約条項の調整を行います。
価格交渉はもちろんですが、表明保証条項、従業員の継続雇用、競業避止義務など、細かな条件の詰めが焦点となります。
感情的になりがちな交渉の場で、アドバイザーがクッションとなり、論理的な落とし所を見つけ出します。
最後に双方が合意に至った後、最終契約書(SPA)を締結し、取引は最終段階に進みます。
⑥クロージングとPMI(統合プロセス)支援
契約締結後、代金の支払いと株式・資産の引き渡しを行う「クロージング」の立ち会いを行います。
さらに重要なのが、成約後の統合プロセスである「PMI」の支援です。
組織文化の融合やシステムの統合、シナジー効果の発現に向けたロードマップの策定をサポートします。
成約後の事業成長まで見据えて支援する点が、アドバイザリーの重要な役割です。
M&Aアドバイザリーの費用・手数料体系
M&Aアドバイザリーの利用には、決して安くないコストがかかります。
どのような名目で、いつ、いくら支払う必要があるのか、標準的な手数料体系を理解しておきましょう。
着手金
アドバイザリー契約を締結した際に支払う初期費用です。
案件の分析や資料作成、マッチングの開始にかかる実費としての性質を持っており、相場は50万〜200万円程度です。
着手金無料を掲げる会社もありますが、資料作成や初期分析に十分な工数をかける場合、着手金が設定されるケースが一般的です。
「無料」という言葉だけで選ばず、支援内容の充実度とのバランスで判断しましょう。
月額報酬(リテイナー)
プロジェクト期間中に毎月発生する顧問料を指します。
主に投資銀行や大手FASなどの大型案件において、専門スタッフを専属で張り付けるためのコストとして設定されます。
中小規模の案件では設定されないことも多いですが、交渉が長期化する場合には注意が必要です。
あらかじめ月額報酬の有無と、その期間の上限などを確認しておくことがトラブル防止に繋がります。
中間報酬(成功報酬の一部)
基本合意書(LOI)を締結したタイミングで支払う報酬です。
通常、最終的な成功報酬の10%〜20%程度が充当される形式が多く、プロジェクトが一定の進捗を見せたことへの対価となります。
中間報酬を支払った後に破談になった場合でも、原則として返金されないことが多いため留意が必要です。
中間報酬は、プロジェクトが一定段階まで進んだことへの対価として位置づけられます。
成功報酬と「レーマン方式」の仕組み
M&Aが成約した際に支払う、最も大きなウェイトを占める報酬です。
多くの会社が、取引金額に応じて料率が下がる「レーマン方式」という段階的な算出方法を採用しています。
例えば「5億円以下の部分は5%」「5億円超〜10億円の部分は4%」といった具合に設定されます。
最低成功報酬額(例:500万円以上など)が設定されていることもあるため、事前に確認しておきましょう。
注意点:報酬基準額の違い(株式価値 vs 企業価値)
レーマン方式を適用する際の「基準となる金額」の定義には、非常に注意が必要です。
「株式の譲渡価格」を基準にする場合と、負債等も含めた「移動総資産(企業価値)」を基準にする場合があります。
負債が多い企業の場合、移動総資産ベースで計算すると、株式価値ベースよりも手数料が数百万円以上高くなることがあります。
見積もり時には、料率の算定基準が株式価値か企業価値かを明確に確認する必要があります。
M&Aアドバイザリーを活用するメリット
プロのアドバイザリーを雇うことには、コスト以上の大きなメリットがあります。
自社だけで進めるリスクを回避し、結果的にどのようなリターンが得られるのかを整理しましょう。
メリット①:高度な専門知識による「利益の最大化」
専門的なバリュエーション手法や、数多くのディールで培った交渉術を活用できることが最大のメリットです。
買い手の提示額に対して、客観的な根拠を持って対抗し、より有利な譲渡条件を引き出すことができます。
個人や自社だけの交渉では気づけなかった「自社の価値」を再発見し、価格に転嫁できる可能性も高まります。
結果として、手数料を考慮しても、最終的な手取り額が増えるケースも見られます。
メリット②:リスクの早期特定と回避
M&Aには、簿外債務や係争リスク、従業員トラブルなど、多くの「目に見えないリスク」が潜んでいます。
プロのアドバイザーは、デューデリジェンスや契約書の作り込みを通じて、これらを事前に洗い出します。
表明保証条項などのリーガルテクニックを駆使し、将来的に損害賠償を請求されるような事態を未然に防ぎます。
「知らなかった」では済まされない経営リスクを最小化できる安心感は、何物にも代えがたいメリットです。
メリット③:経営者の負担軽減と本業への集中
M&Aのプロセスでは、膨大な資料作成や相手先との日常的な連絡、Q&A対応など、凄まじい事務作業が発生します。
これらを全て経営者が一人でこなそうとすると、本業が疎かになり、業績が悪化してディール自体が破談になる恐れがあります。
実務作業をアドバイザーに丸投げできることで、経営者は重要な意思決定のみに集中することが可能です。
会社の業績や体制を維持しながらM&Aを進めるうえで、専門家の支援は有効です。
M&Aアドバイザリーを活用するデメリットと注意点
一方で、アドバイザリーの活用にはデメリットやリスクも存在します。
事前にデメリットを把握しておくことで、想定外の失敗を避けやすくなります。
デメリット①:多額のコスト負担
高い専門性が求められるため、手数料が高額になりやすい点がデメリットです。
特に譲渡価格が数千万円程度の小規模案件では、最低成功報酬額が重荷になり、費用対効果が悪くなる場合があります。
手数料の支払いに見合うだけのメリット(価格の上昇やリスク回避)が期待できるかを冷静に判断する必要があります。
コストを抑えたい場合は、後述するM&Aプラットフォームの活用なども検討すべきでしょう。
デメリット②:交渉の長期化と決裂リスク
アドバイザリーは依頼主の利益を最大化しようとするため、相手方のアドバイザーと主張がぶつかりやすくなります。
双方の主張が強い場合、調整に時間を要し、交渉が不成立となる可能性もあります。
仲介は双方調整を担う一方、アドバイザリーは依頼主側の立場で交渉を支援します。
「絶対に譲れない一線」を明確にしつつも、どこで折り合いをつけるかのアドバイザーとの連携が重要になります。
注意点:情報漏洩による組織崩壊のリスク
M&Aを検討していることが従業員や取引先に漏れると、雇用や取引継続への不安が広がる可能性があります。
重要人物の離職や取引停止、さらには競合他社による顧客の引き抜きといった組織崩壊を招きかねません。
そのため、秘密保持契約(NDA)と情報管理ルールの運用が重要になります。
情報の開示範囲やタイミングは、関係者を限定し、段階的に設計して進めます。
信頼できるM&Aアドバイザリー会社の選び方
世の中には多くのM&A会社がありますが、得意領域や品質に差があります。
自社の大切な将来を預けるパートナーをどのように選ぶべきか、4つの判断基準を紹介します。
自社業界・規模での支援実績があるか
IT、製造、医療、物流など、業界ごとに特有の商慣習や法規制、バリュエーションの考え方が異なります。
その業界に精通している会社であれば、より精度の高いアドバイスと、質の高い買い手候補のリストアップが期待できます。
また、数千億円の案件を得意とする会社に数億円の案件を依頼しても、優先順位を下げられてしまう可能性があります。
自社と同規模の成約実績が豊富にあるか、事前に確認することが重要です。
報酬体系が透明かつ合理的か
成功報酬の料率に加え、基準額の定義と追加費用の条件を提示できる会社を候補に入れます。
「成約しなかった場合の実費負担」や、契約終了後も一定期間報酬義務が残る「テール条項」の有無も重要です。
契約内容の説明が具体的で、質問に対して根拠を示せるかが判断材料になります。
コストの透明性は、そのまま信頼関係の土台となります。
担当アドバイザーとの相性と信頼性
M&Aは半年から1年以上にわたる長期戦であり、その間、担当者とは密にコミュニケーションを取ることになります。
本音で話せる人物か、専門用語を並べ立てずに分かりやすく説明してくれるか、といった相性は非常に重要です。
また、レスポンスの速さや約束を守る姿勢も、ディールの緊迫した場面では大きな差となります。
会社の看板だけでなく、担当者の経験や説明力、対応品質も評価軸に選定すると良いでしょう。
組織的なバックアップ体制があるか
担当者の力量に加え、法務・税務・会計の支援体制があるかも確認します。
一人のアドバイザーが全てを完璧にこなすのは限界があり、組織としての知見が求められる場面が必ず訪れます。
社内に専門部署があるか、あるいは外部の士業事務所と強固な連携体制が築かれているかを確認しましょう。
チーム一丸となってサポートしてくれる体制こそが、不測の事態を防ぐ鍵となります。
M&Aアドバイザリーに求められるスキル・資格
M&Aアドバイザーは資格要件がない一方、実務では会計・法務・税務の専門性が強く求められます。
どのような素養を持ったチームが信頼に値するのかを知っておきましょう。
必須の国家資格(公認会計士・税理士・弁護士)
財務デューデリジェンスや適正な税務処理、複雑な契約書の作成には、国家資格者の関与が欠かせません。
チーム内に会計士や弁護士が在籍していることは、アドバイザリー会社の専門性を担保する大きな指標となります。
特にクロスボーダー案件や上場企業絡みの案件では、一分の隙もない専門知識が求められます。
資格者が実務の最前線にいるか、あるいはバックオフィスとして機能しているかをチェックしましょう。
専門的な民間資格(M&Aエキスパート等)
国家資格以外にも、M&AエキスパートやJMAA認定M&Aアドバイザーなどの民間資格が存在します。これらはM&A実務に必要な知識を体系的に習得していることを証明するものであり、アドバイザーの熱意を測る目安になります。
資格そのものよりも、常に最新の事例や法改正をキャッチアップしようとする姿勢があるかが重要です。
実務経験と知識のバランスが取れているアドバイザーこそ、頼りになる存在です。
交渉力・コミュニケーション能力
意外と見落とされがちなのが、経営者の心情に寄り添う高いコミュニケーション能力です。
M&Aは数字だけの取引ではなく、オーナーにとって心理的負担が大きい意思決定にもなります。
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オーナーの意向を整理しつつ、相手方には論理的に交渉し、合意形成へ導く力が求められます。
この「人間力」ともいえるスキルこそが、最後に成約へと導く決定打となるのです。
主なM&Aアドバイザリーの種類と代表的企業
依頼先は大きく分けて4つのカテゴリーがあります。
それぞれの得意分野と特徴を理解し、自社のニーズに合った候補を絞り込みましょう。
証券会社・投資銀行(野村、大和、外資系等)
上場企業同士の統合や数千億円規模の超大型ディール、海外企業が絡むクロスボーダー案件に圧倒的な強みを持ちます。
高度な金融工学を駆使したスキーム設計と、世界規模のネットワークが最大の特徴です。
主な代表企業としては、国内では野村證券や大和証券、外資系ではゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンなどが挙げられます。
マーケットへの影響力が大きい案件を確実に完遂させるための、最高峰のプロフェッショナル集団といえます。
会計系ファーム(Big4 FAS等)
デロイト、PwC、EY、KPMGといった世界四大会計事務所を母体とするFAS(Financial Advisory Services)です。
財務デューデリジェンスや企業価値算定の精度が極めて高く、中〜大型案件の支援を中心としています。
代表例として、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、PwCアドバイザリー、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMG FASが挙げられます。
監査法人としての厳格なコンプライアンス意識を持っており、クリーンで透明性の高いディールを支えます。
独立系M&Aブティック(M&Aキャピタルパートナーズ、fundbook等)
特定の銀行や系列に属さない中立性と、機動力の高さが武器の専門会社です。
中小企業の事業承継から、上場企業によるベンチャー買収まで、幅広い案件に柔軟に対応します。
主な代表企業として、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、fundbook、M&A総合研究所などが挙げられます。
最近では成約までのスピード感や、経営者に寄り添った手厚いサポートを売りにする会社が急成長しています。
金融機関(メガバンク、地方銀行)
既存の融資先ネットワークを活かし、地域密着で事業承継を支援できる点が強みです。
長年の付き合いがある銀行であれば、経営者の性格や財務状況を熟知しているため、相談のハードルが低いのがメリットです。
代表例として、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク各社のほか、横浜銀行や千葉銀行といった各地域の地方銀行が挙げられます。
最近では本部に専門チームを置く銀行も増えており、信頼性を重視するオーナーに選ばれています。
コストを抑えて相手を探すならM&Aプラットフォーム「TRANBI」がおすすめ
「手数料を抑えたい」「まずはどんな買い手がいるか知りたい」という方には、テクノロジーを活用したプラットフォームの利用が有効です。
アドバイザリーと並行して検討すべき選択肢を紹介します。
国内最大級のプラットフォーム「TRANBI」の特徴
TRANBI(トランビ)は、アドバイザーを介さずに、全国の買い手・売り手候補と直接マッチングできる国内最大級のサービスです。
費用面では、売り手は案件掲載から成約まで無料で利用でき、買い手は月額課金プランで交渉申込みが可能です。
匿名のまま案件を掲載し、関心を持った相手とチャット形式で直接やり取りできるため、小規模案件や、まずは買い手候補の反応を見たいケースで有効な選択肢となります。
特に、アドバイザリー会社が引き受けにくい小規模案件や、スピーディに相手を探したい場合に非常に威力を発揮します。
プラットフォームと専門家の「ハイブリッド利用」
全てを自力で進めることに不安がある場合は、プラットフォームと専門家支援を組み合わせる方法もあります。
相手探し(マッチング)はコストの低いプラットフォームで行い、具体的な条件交渉やDD、契約実務のみをスポットで専門家に依頼する手法です。
これにより、高額な成功報酬を大幅に削減しつつ、重要局面での安全性を確保することができます。
現代のM&Aにおいて、テクノロジーとプロの知見を組み合わせる手法は、最も賢い戦略の一つといえるでしょう。
M&Aアドバイザリーに関するよくある質問
最後に、M&Aを検討し始めた方が抱きやすい疑問についてお答えします。
アドバイザーを入れずにM&Aを進めることは可能?
アドバイザーなしでも進行は可能ですが、価格交渉やリスク評価で不利になり得る点は留意が必要です。 企業価値の評価を誤ったり、契約書の条項一つで将来数億円の損害賠償を請求されたりするリスクもあります。
M&Aは一生に一度の大きな決断であることが多いため、安全と納得感を確保するために、何らかの形でプロを関与させることを強く推奨します。
どのタイミングで相談するのがベスト?
売却・買収の構想が固まり始めた段階で相談すると、準備期間を確保しやすくなります。 M&Aには、企業価値を高めるための「磨き上げ」の期間が必要であり、準備が早いほど有利な条件で成約できるからです。 早期に相談し、準備期間を確保したうえで実行時期を検討するケースもあります。
まずは「今、自社はいくらで売れるのか?」という相談から始めてみてはいかがでしょうか。
セカンドオピニオンとして別の会社に相談しても良い?
はい、セカンドオピニオンとして別のプロから意見を聞くことは非常に一般的です。 既に他社と専任契約を結んでいる場合は、その契約内容(排他条項)を確認する必要がありますが、比較検討のために複数の意見を聞くことは賢明な判断です。 アドバイザーによって提示するバリュエーションや戦略が異なることもあるため、納得のいくまで話し合える相手を見つけましょう。
まとめ
M&Aアドバイザリーは、経営者の「決心」を「成功」という確かな形に変えるための、不可欠なパートナーです。
アドバイザリーが依頼主側の立場で利益最大化を図る点を踏まえ、仲介との違いとコスト構造を整理することが重要です。
自社の業界や規模に合った実績があるか、そして何より担当者と信頼関係を築けるかという視点で選ぶことが重要です。
コストを抑えたい場合には、M&Aプラットフォームの活用も視野に入れ、柔軟に支援体制を構築しましょう。
M&Aはゴールではなく、新しい未来へのスタートです。
専門家の知見を活用し、会社と従業員にとって納得度の高い取引設計を目指しましょう。