M&Aにおける銀行の役割とは?融資・アドバイザリーの特徴や手数料、注意点を網羅解説
M&Aにおける銀行の役割(融資・FA/仲介・債権者)を整理し、融資審査のポイント、手数料体系、メリット・デメリットや利益相反の注意点まで網羅解説。賢い相談先の選び方もわかります。
- 02 銀行がM&A融資の審査で重視する5つのポイント
- 損益状況とキャッシュフローの確実性
- 買収価格の妥当性とのれんの評価
- 有形固定資産の価値と担保能力
- 買い手(借り手)企業の信用力と実績
- 経営統合後(PMI)の事業計画の合理性
- 03 銀行にM&A支援(アドバイザリー)を依頼するメリット
- メインバンクとしての圧倒的な信頼感と安心感
- 広範な顧客ネットワークを活用したマッチング力
- 資金調達とアドバイザリーのワンストップ対応
- 高度な財務・法務知識を持つ専門チームの支援
- 04 銀行にM&Aを相談する際のデメリット・リスク
- 「利益相反」による不利益が生じる懸念
- 手数料(報酬)が比較的高額に設定されている
- 小規模案件(スモールM&A)への対応が限定的
- 融資審査が通らない場合、ディール自体がストップする
- 08 銀行が関与するM&Aの手続き・流れ
- STEP①:経営相談・ニーズの掘り起こし
- STEP②:アドバイザリー契約と相手探し(ソーシング)
- STEP③:トップ面談・基本合意書の締結
- STEP④:デューデリジェンス(DD)と融資審査
- STEP⑤:最終契約書の締結(DA)と決済(クロージング)
M&Aを検討する際、資金調達や専門的なアドバイスをどこに相談すべきか迷う経営者は少なくありません。
銀行はM&Aにおいて、買収資金の融資やアドバイザリー業務を通じて、成約に関与する重要な存在となります。本記事では、銀行が担う3つの役割や融資審査のポイント、依頼するメリット・デメリット、そして手数料体系までを網羅的に解説します。
この記事を読めば、自社の状況に合わせて銀行を賢く活用する方法が明確になり、理想的な事業承継やM&Aの成功へと大きく近づくことができるでしょう。まずは銀行との適切な付き合い方を理解し、M&A戦略の第一歩を確実に踏み出してください。
M&Aにおける銀行の3つの役割・立ち位置
銀行は単なる資金の貸し手にとどまらず、M&Aのプロセス全体において多面的な役割を果たします。
主に「資金供給者」、「アドバイザー」、そして「既存債権者」という3つの異なる立ち位置から、企業のM&A戦略に深く関与することになります。
買収資金の供給者(融資・M&Aローン)
銀行の最も代表的な役割は、買い手企業に対する買収資金の融資です。
数億円から数百億円規模にのぼるM&A案件では、自己資金のみでの買収は困難であるケースが多く、銀行からの借入が必要不可欠となります。
通常の事業性融資に加え、対象会社のキャッシュフロー等を返済原資とするLBO(レバレッジド・バイアウト)ローンを検討するケースもあります。
これにより、買い手は自社の信用力以上の大型買収に挑戦することが可能となります。
M&Aアドバイザー(FA・仲介業務)
銀行は資金を貸すだけでなく、M&Aのアドバイザー(FA)や仲介役としても機能します。
売り手・買い手に対して、戦略立案から企業価値評価(バリュエーション)、相手先のマッチング、そして契約交渉の支援までをトータルで行います。
商業銀行(メガバンク・地銀)と投資銀行では役割が異なり、商業銀行は既存取引先を中心とした幅広い顧客層への対応を行います。
豊富な情報を武器に、企業の成長戦略に合致した最適なパートナー選定をサポートします。
既存融資の債権者(債権保全・事業再生)
売り手企業に既存の借入金がある場合、銀行は債権者としての立場からM&Aに関与します。
経営権が移転する際には、銀行にとっても貸付金の回収リスクが変動するため、重要な利害関係者となります。
M&Aのスキームによっては会社法に基づく「債権者保護手続き」への対応が必要になるほか、再生案件では債権放棄やDES(デット・エクイティ・スワップ)などの金融支援を検討することもあります。
スムーズなM&A実行のためには、既存借入先銀行との調整が欠かせません。
参考: GVA法人登記 債権者保護手続きとは?必要な場合や方法、注意点をわかりやすく解説
銀行がM&A融資の審査で重視する5つのポイント
M&A融資は通常の運転資金の融資とは異なり、将来の事業計画や統合効果など、より複合的な視点で審査が行われます。
銀行がM&A融資を検討する際に、一般的に重視される5つのポイントを解説します。
損益状況とキャッシュフローの確実性
審査において最も重要視されるのは、返済原資となるキャッシュフローの確実性です。
買収側と譲渡側双方のPL(損益計算書)を精査し、借入金の元利返済が可能かどうかをシビアに見極めます。
将来の収益予測だけでなく、過去の実績に基づいた堅実なキャッシュフロー推移が求められます。一時的な利益ではなく、安定的に返済を続けられる事業基盤があるかが焦点となります。
買収価格の妥当性とのれんの評価
提示された買収価格が、対象企業の企業価値と比較して適正であるかも厳格に審査されます。特に、純資産を上回る買収価格部分である「のれん」が過大でないかは重要なチェックポイントです。
のれん代が大きすぎると、将来的に収益が悪化した際に減損処理が必要となり、買い手の財務を大きく毀損するリスクがあります。
銀行は、この減損リスクが許容範囲内であるかを慎重に判定します。
有形固定資産の価値と担保能力
万が一事業計画通りに進まなかった場合に備え、保全措置としての担保価値も評価されます。
対象企業や買い手企業が保有する不動産(土地・建物)や有価証券などが、どの程度の換金性を持っているかが確認されます。
特にLBOローンの場合は、対象会社の資産そのものが担保となるため、資産の実在性と価値評価は融資可否を左右する大きな要素となります。担保余力がある場合、融資判断において一定の評価要素となることがあります。
買い手(借り手)企業の信用力と実績
買い手企業のこれまでの実績や、経営者の資質も審査の対象です。
過去の債務履行状況に問題がないか、既存事業が健全に運営されているかといった「信用力」が問われます。
特に銀行との取引が新規である場合や、過去に返済遅延などがある場合は、審査のハードルが格段に上がります。現任経営者の経営手腕やM&Aに対する姿勢も、定性評価として加味されます。
経営統合後(PMI)の事業計画の合理性
M&Aは買収して終わりではなく、その後の統合プロセス(PMI)が成功の鍵を握ります。銀行は、統合後の事業計画に合理的な根拠があるか、シナジー効果が数値として現実的かをチェックします。
単なるバラ色の計画ではなく、リスク要因まで考慮された堅実な計画である必要があります。統合に伴う組織的な混乱やコスト増への対策が講じられているかも、評価のポイントとなります。
銀行にM&A支援(アドバイザリー)を依頼するメリット
数あるM&A支援機関の中で、銀行に依頼することには特有の強みがあります。
長年の取引関係に基づく深い理解と、金融機関ならではの総合力を活かした、銀行ならではの4つのメリットを紹介します。
メインバンクとしての圧倒的な信頼感と安心感
普段から取引のあるメインバンクであれば、自社の財務状況や事業内容を既に深く理解しています。そのため、ゼロから会社説明をする手間が省け、スムーズに本題に入ることができます。
また、M&Aという機密性の高い情報を扱う上で、長年の信頼関係がある銀行は安心できる相談相手です。情報漏洩のリスクを最小限に抑えつつ、腹を割って相談できる点は大きなメリットです。
広範な顧客ネットワークを活用したマッチング力
銀行は全国、場合によっては世界中に支店網と顧客基盤を持っています。この膨大な取引先データを活用することで、同業種だけでなく、異業種も含めた幅広い候補先とのマッチングが可能です。
自力では到底たどり着けないような優良企業や、意外なシナジーが見込めるパートナーを紹介してもらえる可能性があります。地域密着の地銀であれば、地元の優良企業同士の縁談にも強みを発揮します。
資金調達とアドバイザリーのワンストップ対応
銀行に依頼する利点の一つは、買収先の検討と買収資金の融資相談を同時に進められる点です。通常であれば別々の窓口で行う手続きを一本化できるため、コミュニケーションコストを大幅に削減できます。
融資の可能性を早期に見極めながら交渉を進められるため、ディールのスピード感と確実性が高まります。「相手は見つかったが資金がつかない」という最悪の事態を避けることができます。
高度な財務・法務知識を持つ専門チームの支援
多くの銀行には、M&A専門の部署や関連会社があり、高度な専門知識を持ったスタッフが在籍しています。複雑なストラクチャーの構築や、税務・法務リスクの洗い出しなど、専門的な見地からのアドバイスが受けられます。
単なる仲介だけでなく、ファイナンスの視点を含めた総合的なソリューションを提供できるのが銀行の強みです。専門家の知見を借りることで、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。
銀行にM&Aを相談する際のデメリット・リスク
銀行への依頼はメリットが多い反面、特有のデメリットや構造的なリスクも存在します。
相談する前に知っておくべき「利益相反」の問題や、コスト面でのハードルについて解説します。
「利益相反」による不利益が生じる懸念
銀行がFA業務を行う際、構造的に「利益相反」が生じるリスクがあります。銀行は融資回収を最優先に考えるため、売り手への支援よりも、融資先である買い手に有利な条件へと誘導する可能性があります。
例えば、売り手にとってはもっと高く売れる可能性があるにもかかわらず、買い手が無理なく返済できる価格での合意を促されるケースなどです。依頼する際は、銀行の利益相反管理方針(コンフリクト・マネジメント)をしっかりと確認する必要があります。
手数料(報酬)が比較的高額に設定されている
銀行、特に大手行のM&A手数料は、案件規模によってはM&A仲介会社より高額になるケースがあります。数億円規模以上の大型案件を主なターゲットとしているため、最低報酬額(ミニマムフィー)が高めに設定されていることが多いです。
そのため、成約しなくても発生する着手金や、高額な成功報酬が、中小企業のM&Aにおいては重い負担となる場合があります。費用対効果を慎重にシミュレーションする必要があります。
小規模案件(スモールM&A)への対応が限定的
数千万円規模のスモールM&A案件では、銀行によっては対応が限定的になる場合があります。コストパフォーマンスの観点から、地銀であっても受託を断られるケースも珍しくありません。
銀行のリソースは限られているため、どうしても規模の大きな案件や、融資が見込める案件が優先されがちです。小規模案件の場合は、他の支援機関の利用も視野に入れる必要があります。
融資審査が通らない場合、ディール自体がストップする
銀行がアドバイザーと融資元を兼ねる場合、その銀行の融資審査結果がディールの成否に大きく影響します。もし銀行が「リスクが高い」と判断して融資を否決すれば、買い手は資金調達ができず、買収自体を断念せざるを得なくなります。
他の金融機関に融資を打診すること自体は可能ですが、メインバンクが否決した案件は、他行でも慎重に審査される傾向があります。結果として、M&Aのプロセス全体が中断するリスクがあります。
銀行のM&Aアドバイザリー手数料(報酬)の仕組み
銀行にM&Aを依頼した場合、手数料体系は一般的なM&A仲介会社と異なる点があります。
どのようなタイミングで費用が発生するのか、その内訳と相場感について詳しく見ていきましょう。
相談料・着手金(初期費用)
契約を締結した段階で発生するのが「着手金」です。これは、マッチングのための資料作成や初期的な企業評価、検討への対価として支払われるもので、成約しなくても返還されません。
銀行によっては、最初の相談料は無料でも、本格的な業務委託契約を結ぶ際に数百万円程度の着手金を求められることがあります。初期投資が必要となる点を、あらかじめ予算に組み込んでおく必要があります。
リテイナーフィー(月額報酬)
大手銀行や外資系投資銀行などで見られるのが、案件が継続している期間中に毎月発生する「リテイナーフィー」です。これはアドバイザーの稼働に対する定額報酬であり、ディールが長期化すればするほどコストが嵩みます。
月額数十万円から百万円程度となる場合もあり、案件の進捗に関わらず発生する固定費となります。中小規模の案件を扱う仲介会社や地銀では、この費用を設定していないところも多いです。
中間報酬(基本合意時点)
売り手と買い手が大枠の条件で合意し、基本合意書(MOU)を締結した時点で発生するのが「中間報酬」です。一般的には、最終的な成功報酬の10%〜30%程度を中間金として支払います。
この段階で支払った報酬は、最終的に破談になったとしても返金されないケースがほとんどです。ディールが確実に進んでいる証でもありますが、キャッシュアウトのタイミングとして認識しておく必要があります。
成功報酬(レーマン方式)
M&Aが最終的に成約した(クロージング)時点で支払うのが「成功報酬」です。多くの銀行では、取引金額に応じて料率が逓減する「レーマン方式」を採用しています。
注意が必要なのは、算出基準が「株式譲渡価格」か、負債を含めた「移動総資産」かによって、支払額が大きく変わる可能性があることです。契約前に、どの基準で計算されるのかを必ず確認しておくことが不可欠です。
メガバンクと地方銀行(地銀)の支援体制の違い
一口に「銀行」といっても、メガバンクと地方銀行では、得意とする案件の規模や支援の内容が大きく異なります。
自社の規模やM&Aの目的に合わせて、どちらに相談すべきかを見極めるポイントを解説します。
メガバンク:大規模案件・海外進出(クロスボーダー)に強み
メガバンクは、上場企業同士の統合や、数十億〜数千億円規模の大型案件を主戦場としています。
また、海外に広がるネットワークを活かし、海外企業の買収(クロスボーダーM&A)においても強力な支援体制を持っています。
高度な専門知識を要する複雑なスキームや、巨額のシンジケートローン組成が必要な案件では、メガバンクの強みが発揮されます。グローバル展開や業界再編を見据えた戦略的なM&Aを目指す場合に適しています。
地方銀行:地域密着の事業承継・地元企業同士のマッチング
地方銀行は、地域経済の担い手である地元中小企業の支援に特化しています。
特に後継者不在による事業承継問題に深く関与しており、地域の雇用維持や技術継承を重視した親身な対応が特徴です。
地元企業同士のマッチングや、近隣県への商圏拡大を狙うM&Aにおいては、地銀の持つ濃密な情報網が強みとなります。相手の顔が見える安心感のある取引を望む場合、地銀は頼れるパートナーとなります。
銀行とM&A仲介会社・専門ブティックの選び方
M&Aの相談先は銀行だけではありません。仲介会社や専門ブティックなど、選択肢は多岐にわたります。
自社のニーズに最適なパートナーを選ぶために考慮すべき、3つの判断基準をご紹介します。
ディールの規模(スモールかミドル・ラージか)
扱う案件の規模によって、適切な依頼先は変わります。
取引金額が1億円未満のスモールM&Aであれば、手数料の安い仲介会社やマッチングプラットフォームが適しています。
数億円〜数十億円規模であれば、地銀やM&A専門会社が有力な選択肢となります。
さらに数十億円を超える大型案件であれば、メガバンクや大手証券会社など、組織力のある機関への依頼が必須となります。
求める立場(中立的な仲介か、片側に付くFAか)
「仲介」か「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」か、どちらの形式を求めるかも重要です。
双方の間に入って合意形成を急ぎたい場合は、中立的な立場の「仲介会社」がスムーズです。
一方で、相手との交渉において自社の利益を最大限に追求したい場合は、片側の代理人として動く「FA(銀行等)」が適しています。
対立構造になりやすい案件や、条件交渉を有利に進めたい場合はFA形式を選ぶべきです。
資金調達の必要性
M&Aの実行にあたり、買収資金の融資が前提となる場合は、銀行への相談が最も効率的です。早い段階で融資元となる銀行に相談することで、資金調達の可否を確認しながら案件を進められます。
仲介会社に依頼した場合でも、最終的には銀行への融資相談が必要となります。
資金調達のハードルが高いと予想される案件では、入り口から銀行を巻き込んでおくことが成功への近道です。
銀行が関与するM&Aの手続き・流れ
銀行にM&A支援を依頼した場合、具体的にどのようなプロセスで進んでいくのでしょうか。
最初の相談から最終的なクロージングまで、一般的な5つのステップに沿って流れを解説します。
STEP①:経営相談・ニーズの掘り起こし
まずは、日常の融資取引や担当者との会話の中で、事業承継や事業拡大のニーズを伝えることから始まります。銀行側も、経営課題をヒアリングする中で、M&Aが解決策になり得ると判断すれば提案を行います。
この段階では、まだ具体的な案件が動いているわけではありません。将来的なビジョンを共有し、銀行と共にM&Aの可能性を検討する段階です。
STEP②:アドバイザリー契約と相手探し(ソーシング)
M&Aの方針が固まったら、銀行と秘密保持契約(NDA)を締結し、その後にアドバイザリー契約を結ぶのが一般的です。その後、銀行は自社のネットワークを活用して、条件に合う相手候補の探索(ソーシング)を開始します。
候補先には、企業名を伏せたノンネームシートを提示し、関心の有無を確認します。興味を示した先がいれば、詳細な情報開示へと進み、マッチングを図ります。
STEP③:トップ面談・基本合意書の締結
有望な候補先が見つかれば、経営者同士のトップ面談を実施します。この場で企業文化や経営理念の相性を確認し、信頼関係を築けるかを見極めることが重要です。
双方が前向きになれば、譲渡価格やスキームなどの主要条件を調整し、基本合意書(MOU)を締結します。基本合意書の締結により、一定期間の独占交渉権が付与され、本格的な交渉段階へ進みます。
STEP④:デューデリジェンス(DD)と融資審査
買い手企業は、対象企業に対する詳細な調査であるデューデリジェンス(DD)を実施します。財務、法務、税務、事業内容など多角的な視点から、リスクや買収後の課題を洗い出します。
これと並行して、銀行内部では買収資金の融資に関する本審査が行われます。DDの結果や統合計画の妥当性を踏まえ、最終的な融資の可否が判断されます。
STEP⑤:最終契約書の締結(DA)と決済(クロージング)
全ての条件が整い、融資の承認が下りた段階で、最終譲渡契約書(DA)を締結します。その後、株式や事業の譲渡対価の決済(クロージング)が行われ、晴れて経営権が移転します。
銀行は融資実行と同時に、決済資金の送金手続きなどもサポートします。クロージング後も、PMI(統合プロセス)に関する助言やモニタリングを通じて、銀行との関係が続く場合があります。
コストを抑えて相手を探すならM&Aプラットフォームの活用を
銀行や仲介会社への依頼は手厚いサポートが魅力ですが、コスト面がネックになることもあります。
初期費用や中間金を抑え、より手軽に相手を探したい場合は、「M&Aプラットフォーム」の活用も検討すべきです。
M&Aプラットフォームとは、インターネット上で売り手と買い手が情報を掲載し、直接交渉につながる仕組みを持つサービスです。銀行を通さずに経営者同士が直接交渉できるため、仲介手数料などのコストを大幅に削減できる点が最大のメリットです。
例えば、国内最大級のM&Aプラットフォームとして知られる「TRANBI(トランビ)」では、豊富なユーザーネットワークから候補を探せます。匿名で情報を掲載できるため、風評被害を気にせず、全国の買い手・売り手候補にアプローチすることが可能です。
自分のペースで交渉を進められる自由度の高さも、プラットフォームならではの魅力です。銀行に本格的に相談する前の段階で、自社の市場価値を把握したり、候補先の幅を広げるために併用したりするのも賢い方法です。
銀行のM&A活用に関するよくある質問
最後に、銀行へのM&A相談に関して、多くの経営者が抱える疑問や不安を整理します。
メインバンクとの関係性や査定の妥当性など、実務的な観点からのQ&Aをまとめました。
メインバンクに売却相談をすると「経営悪化」とみなされないか?
「会社を売りたい」と相談することで、資金繰りが苦しいと誤解され、融資を引き揚げられないか不安になる経営者は多いです。しかし、後継者不足の解消や、選択と集中を目的とした前向きな事業譲渡であれば、銀行も将来の安定性につながる取り組みとして受け止める傾向があります。
銀行にとっても、取引先が廃業してしまうより、M&Aで存続し、融資取引が継続する方がメリットがあります。
相談の際は、あくまで前向きな戦略であることを明確に伝えることが重要です。
銀行が提示する「企業評価額(査定)」はそのまま信じて良い?
銀行による企業価値評価は、融資の安全性を最優先に考えるため、保守的(低め)に見積もられる傾向があります。担保価値や確実なキャッシュフローを重視するため、将来の成長性(のれん)が控えめに評価されがちです。
提示された金額をそのまま受け入れるのではなく、M&A仲介会社や公認会計士などから第三者の意見を得ることが有効です。複数の視点から自社の価値を客観的に把握することが、適正価格での取引につながります。
融資審査に落ちた場合、他行なら通る可能性はある?
一つの銀行で融資を断られたからといって、全ての道が閉ざされたわけではありません。銀行ごとに融資方針やリスクの許容度、注力している業種は異なるため、他行であれば審査に通る可能性は十分にあります。
特に、地銀とメガバンク、信用金庫では、融資審査で重視するポイントが異なる場合があります。
諦めずに、複数の金融機関に打診し、可能性を模索する価値はあります。
まとめ
M&Aにおける銀行は、資金調達、助言、債権管理といった複数の側面から関与する存在です。メインバンクならではの深い信頼関係や、圧倒的な情報ネットワークは、M&Aを成功に導くための大きな武器となります。
一方で、利益相反のリスクや高額な手数料、スモール案件への対応の限界といった側面も理解しておく必要があります。
重要なのは、銀行のメリットとデメリットを天秤にかけ、自社のフェーズや目的に合致しているかを冷静に見極めることです。
ディールの規模や緊急度に応じて、銀行、M&A仲介会社、プラットフォームを適切に使い分けることが、最適な成約への近道です。
本記事で解説したポイントを参考に、自社にとって最良のパートナーを選定し、M&A戦略を成功させてください。