ホテル・旅館のM&A・事業承継|相場・流れ・許可の引き継ぎを解説
ホテル・旅館のM&Aは相場・流れ・許認可の理解がカギ。民泊〜大型ホテルまで規模別の価格イメージ、株式譲渡・事業譲渡・会社分割で旅館業許可の引き継ぎがどう変わるか、赤字でも売却できる理由や買い手のDD注意点まで、売り手・買い手双方の視点で解説します。
インバウンド需要の急回復で、ホテル・旅館業界は活況を取り戻しています。その一方で、人手不足やコスト高騰、後継者不在といった課題を抱え、事業の先行きに悩む経営者も少なくありません。こうしたなか、廃業ではなくM&Aという形で事業を次の担い手へ引き継ぐ動きが広がっています。
ただしホテル・旅館のM&Aには、他業種にはない固有のポイントがあります。とくに旅館業営業許可をどう引き継ぐかは、選ぶスキームによって扱いが大きく変わるため、事前の理解が欠かせません。巨額の設備投資が必要な装置産業ならではのリスク確認も重要です。
本記事では、ホテル・旅館M&Aの相場や売却・買収の流れ、スキーム別の許認可の承継、成功のポイントまでを、売り手・買い手双方の視点から実務目線でわかりやすく解説します。
ホテル・旅館業界の現状とM&A動向
ホテル・旅館のM&Aを考えるうえで、まず押さえておきたいのが業界全体の動きです。市場は回復しているものの、その内実は「勝ち組」と「負け組」に分かれつつあります。
インバウンドで市場は過去最高水準へ
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日外国人旅行者数は約4,268万人となり、初めて4,000万人を突破して過去最高を更新しました。旅行消費額も約9.5兆円と過去最高に達し、なかでも宿泊費の構成比が高まるなど、滞在・体験型への支出シフトが鮮明です。外国人延べ宿泊者数も過去最高水準となり、地方部の伸びが都市部を上回る傾向も見られます。
円安を追い風にした訪日需要の拡大により、都市部や主要観光地では客室稼働率と客室単価(ADR)がコロナ禍以前を上回る水準で推移しています。ホテル・旅館業界の市場規模は過去最高を更新するなど、業界全体としては力強い回復を見せています。
※参考:訪日外客数(2025年12月推計値)|日本政府観光局(JNTO)
一方で進む「二極化」と後継者不在
ただし、すべての施設が恩恵を受けているわけではありません。帝国データバンクの調査では、2025年の宿泊業の倒産は89件と2年連続で増加し、休廃業・解散を含めると年間で250件を超える事業者が市場から退出したとされています。人件費・光熱費・食材費の高騰や、コロナ禍のいわゆるゼロゼロ融資の返済開始により、収益改善が追いつかず資金繰りが詰まるケースが目立ちます。
「高付加価値」を求める訪日需要に応える設備投資ができる施設と、そうでない施設との二極化が鮮明になっているのが現状です。とくに大都市圏に比べてインバウンドの取り込みが限定的な地方の小規模旅館・ホテルで、淘汰が進みやすい傾向があります。
さらに深刻なのが後継者不在です。宿泊業は経営者の高齢化が進んでおり、旅館業では経営者の6割前後が60歳以上ともいわれます。仲居や料理人といった現場を支える人材の高齢化も同時に進み、技術やおもてなしの継承そのものが経営継続の大きな論点になっています。
※参考:「宿泊業」の倒産は 89 件 2年連続で増加 目立つ「老朽化倒産」|帝国データバンク
廃業を避ける選択肢としてのM&A
後継者が見つからない場合、かつては廃業という選択肢しかありませんでした。しかし廃業には、従業員の雇用喪失、取引先との関係断絶、そして何より長年培ってきたブランドや常連客との関係が失われるという大きなデメリットがあります。
そこで近年広がっているのが、第三者へ事業を引き継ぐM&A (第三者承継)です。ホテル・旅館業では、規模拡大を狙う同業チェーン、リブランドを進める大手グループ、再生・リノベーションを手がけるファンドなど、買い手(受け皿)が確実に育っています。M&A戦略を踏まえたうえで、廃業ではなくM&Aで価値を次につなぐ動きが加速しているのです。
ホテル・旅館M&Aの相場・価格の決まり方
「うちのホテルはいくらで売れるのか」は、多くの経営者が最初に気にする点です。ホテル・旅館のM&A価格は、業種や規模によって幅が大きく、一律の相場はありません。ただし価格の考え方には一定のパターンがあります。
基本は「時価純資産+営業利益の数年分」に不動産価値を加味
中小規模のホテル・旅館では、M&Aの一般的な価格算定方法をベースに価格を検討するケースが一般的です。これは時価純資産(資産から負債を引いた純資産を時価評価した額)に、営業利益の数年分(のれん)を加えるという考え方で、年買法(年倍法)とも呼ばれます。
ホテル・旅館の場合、この「時価純資産」に占める土地・建物といった不動産の比重が大きいのが特徴です。自社所有の物件か賃借かによって評価は大きく変わり、立地の良い自社物件を持つ施設は、それ自体が価格の下支えになります。逆に、のれん(収益力)は稼働率や客室単価、ブランド力によって上下します。
規模・タイプ別の価格イメージ
あくまで目安ですが、規模やタイプごとの価格イメージを整理すると次のようになります。実際の価格は個別の収益力・物件条件で大きく変動します。
| タイプ | 規模の目安 | 価格イメージ | 主な買い手 |
|---|---|---|---|
| 民泊・簡易宿所 | 1棟〜数室 | 数百万円〜 | 個人・副業・小規模法人 |
| 小規模旅館・ビジネスホテル | 数室〜数十室 | 数千万円〜数億円 | 個人・中小企業 |
| 中規模シティ/リゾートホテル | 〜100室超 | 数億円〜十数億円 | 事業会社・ファンド |
| 大規模・レジャーホテル | 大型・複数館 | 数十億円規模 | 大手チェーン・ファンド |
民泊・簡易宿所といった小規模な宿泊事業は、制度や価格の考え方がホテル・旅館とは異なります。詳しくは民泊のM&A・事業承継の記事をご覧ください。
価格を左右する5つの要素
ホテル・旅館の売却価格は、次のような要素で大きく変わります。
- 立地と物件:観光動線・駅近・自社所有か賃借か
- 収益力:客室稼働率・客室単価(ADR)・営業利益の安定性
- 施設の状態:築年数・設備の更新状況・必要な修繕費(CAPEX)
- 許認可:旅館業許可の種類と引き継ぎのしやすさ
- 運営体制:支配人・料理長などキーパーソンの有無、人材の定着
とくに施設の状態は、装置産業であるホテル・旅館ならではの重要ポイントです。買収後に大規模修繕が必要と判明すれば、その分は価格交渉の材料になります。
赤字・債務超過でも売却できる理由
「赤字だから売れないのでは」と考える経営者は多いですが、実際には赤字や債務超過でも売却が成立するケースは珍しくありません。買い手は現在の損益だけでなく、立地・物件の価値、リブランドによる改善余地、許認可の希少性などを総合的に評価するためです。
とくに好立地で自社物件を持つ施設や、旅館業許可を取得済みの物件は、買い手にとって「時間を買う」価値があります。早期売却希望・後継者不在の案件でも、条件が整えば十分にマッチングは成立します。
ホテル・旅館をM&Aで売却・買収するメリット
M&Aは、売り手・買い手の双方にメリットがあるからこそ成立します。ホテル・旅館ならではの利点を整理します。
売り手側のメリット
売り手にとって最大のメリットは、廃業ではなく承継という形で事業を残せることです。雇用や常連客・取引先との関係を維持しやすくなります。
また、これまで築いてきたブランドや自社物件、旅館業許可といった資産を「事業価値」として評価してもらえるため、単に物件を売却するよりも有利な条件になりやすい点も魅力です。創業者利益を確保して次のステージに進む、いわゆるハッピーリタイアも実現しやすくなります。
買い手側のメリット
買い手にとっては、ゼロから宿泊事業を立ち上げるリスクと時間を大幅に削減できます。用地取得・建設・許認可取得・人材採用・集客導線の構築には膨大な労力がかかりますが、M&Aであれば稼働している事業をまるごと引き継げるため、ゼロから立ち上げる場合に比べ早期に売上を確保しやすくなります。
とくに旅館業許可を取得できた物件は、新規で取得するハードルの高さを考えると大きな価値があります。既存の予約実績・レビュー・運営ノウハウも含めて、実績を確認したうえで投資判断できる点も、買い手にとって安心材料です。
主な買い手は誰か
ホテル・旅館M&Aの買い手は、シナジー効果(相乗効果)を期待できる事業者が中心です。
- 同業チェーン:規模拡大による仕入れ・運営コストの削減、稼働の平準化
- 関連事業者:飲食・観光・不動産・Webマーケティングなど、自社ノウハウとの組み合わせ
- 大手グループ・ファンド:リブランドや再生を前提とした買収・リノベーション
同業による買収では、宿泊予約サイトの一括管理や人材の相互活用でコスト削減が進みます。関連事業者による買収では、集客力の強化や食事・体験プランの充実といった相乗効果が期待できます。
ホテル・旅館M&Aのデメリット・注意点
メリットの多いホテル・旅館M&Aですが、装置産業ならではの注意点があります。事前に把握しておくことで、多くのリスクは軽減できます。
装置産業ゆえの設備投資・修繕リスク(CAPEX)
ホテル・旅館は、建物・客室・大浴場・厨房・空調など、巨額の設備を抱える装置産業です。表面的な収益が良くても、必要な設備更新が先送りされていると、買収後に多額の修繕費(CAPEX)が発生するおそれがあります。
そのため買い手は、建物の耐震性や老朽化の度合い、設備の更新履歴を専門家による調査で確認することが不可欠です。修繕費の見積もりを事前に把握しておけば、その分を価格交渉に反映できます。
簿外債務・偶発債務に注意
財務諸表に表れにくい簿外債務・偶発債務にも注意が必要です。ホテル・旅館では、未払いの残業代や退職給付引当金の不足、宿泊予約の前受金の扱いなどが、買収後に思わぬ負担となることがあります。労務関連の調査は慎重に行うべきです。
こうしたリスクを洗い出す工程がデューデリジェンス(DD)です。財務・税務・法務・労務など多角的に対象施設を調べ、不明点を明らかにしたうえで最終判断を行います。
季節変動・立地依存とスタッフの引き継ぎ
ホテル・旅館の収益は、繁忙期と閑散期の差が大きく、立地や天候・観光トレンドにも左右されます。単月の好調な数字だけでなく、通年での稼働の安定性を確認することが大切です。
また、現経営者や支配人・料理長といったキーパーソンに魅力を感じているスタッフが多い場合、経営者交代を機に離職が発生することもあります。現経営者に一定期間残ってもらい、引き継ぎをサポートしてもらうと、スタッフの不安を和らげられます。老舗ほど変化を嫌う傾向があるため、段階的な移行が有効です。
ホテル・旅館M&Aの流れ
ホテル・旅館のM&Aは、一般的な事業承継と同じ流れで進みますが、許認可や設備の確認に固有の重みがあります。基本的な流れを見ていきましょう。
STEP1:戦略・目的の整理と準備
まずは「なぜ売る/買うのか」という目的を整理します。売り手は完全にリタイアしたいのか、一定期間は引き継ぎに関与できるのかを明確にします。買い手は、規模拡大なのか新規参入なのか、狙う立地や規模を定めます。売り手側は決算書・許認可の書類・稼働データなどを整理しておくと、その後がスムーズです。
STEP2:案件探し・マッチング
M&Aマッチングプラットフォームを活用すると、地域・許認可・価格帯で横断的に案件を比較できます。ホテル・旅館は小規模案件も多く、当事者同士が直接条件をすり合わせやすい環境が向いています。
STEP3〜4:秘密保持契約(NDA)・基本合意
興味のある案件が見つかったら、秘密保持契約(NDA)を締結したうえで詳細情報の開示を受けます。条件がまとまってきたら、基本合意書を結び、想定価格・対象範囲・スケジュールといった大枠を合意します。
STEP5:デューデリジェンス(DD)
基本合意後、デューデリジェンスを実施します。ホテル・旅館では、財務だけでなく、旅館業許可が実態通り運用されているか、建物・設備の状態、賃貸借契約や消防法への適合、労務関係などを多角的に確認します。ここで重大な問題が見つかれば、条件の再交渉や撤退を判断します。
STEP6〜7:最終契約・クロージング・PMI
DDで問題がなければ、最終契約(株式譲渡契約書など)を締結し、代金決済とともにクロージングを行います。その後はPMI(引き継ぎ・統合)を進め、運営マニュアルの共有、予約システムの移管、スタッフへの説明などを丁寧に行います。ホテル・旅館では、引き継ぎ直後の混乱を防ぐPMIの出来が成否を大きく左右します。
M&A全体の流れをより詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
【重要】スキーム別・旅館業営業許可の承継
ホテル・旅館M&Aで最も重要な固有論点が、旅館業営業許可を引き継げるかどうかです。同じ「事業を引き継ぐ」でも、選ぶスキームによって許可の扱いがまったく異なります。ここを誤ると「買ったのに営業できない」という事態になりかねません。
そもそもホテル運営に必要な許認可
ホテル・旅館を営業するには、旅館業法にもとづく旅館業営業許可(ホテル営業・旅館営業など)が必要です。加えて、館内で食事やアルコールを提供する場合は飲食店営業許可や酒類提供の届出、消防法にもとづく各種届出なども必要になります。
※業種別に必要な許認可の全体像は業種別の資格・許認可一覧の記事も参考になります。
株式譲渡なら許可を「そのまま」引き継げる
株式譲渡は、売り手企業の株式を買い手が取得し、会社ごと経営権を引き継ぐスキームです。法人格はそのまま継続するため、旅館業許可も原則として維持されます。代表者変更などがある場合は、所管保健所等への変更届など所定の手続きが必要です。
手続きが比較的シンプルで、営業を止めずに引き継げるため、中小規模のホテル・旅館では最もよく使われるスキームです。経営者が株式をすべて保有しているケースでは、とくにスムーズに進みます。
事業譲渡は原則「再取得」が必要
事業譲渡は、会社そのものではなく、選んだ事業・資産だけを引き継ぐスキームです。この場合、旅館業許可は引き継げず、買い手が新たに取得(再申請)する必要があります。買い手がすでにホテル事業を行っていない場合は、営業開始までに許可取得の時間を見込んでおかなければなりません。
一方で、特定の施設や事業だけを切り出して譲受できるため、簿外債務などのリスクを遮断しやすいというメリットもあります。許可の再取得というハードルと、リスク遮断のメリットを天秤にかけて判断します。
会社分割は「承継(名義変更)」ができる
会社分割は、事業を切り出して別の会社に承継させるスキームです。旅館業許可については、承継承認など所定の手続きを行うことで、許可を承継できる場合があり、新設分割・吸収分割いずれの場合も、許可を引き継げる道があります。事業の一部だけを切り出しつつ許可も引き継ぎたい、というケースで有効です。
スキーム別の許可承継まとめ
ここまでの内容を表にまとめます。実際の可否は個別の許認可・自治体の運用により異なるため、必ず専門家・所管行政に確認してください。
| スキーム | 旅館業許可の扱い | 主な手続き | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 株式譲渡 | 原則そのまま維持(法人格が継続) | 代表者変更の変更届 | 会社ごと引き継ぎたい |
| 事業譲渡 | 引き継げず、買い手が新規取得(再申請) | 許可の再取得申請 | 特定の事業・施設だけ譲受 |
| 会社分割 | 承継の承認申請で名義変更が可能 | 承継承認申請 | 事業を切り出しつつ許可も承継 |
どのスキームを選ぶかは、許認可の承継可否だけでなく、税務・リスク遮断・手続きの手間などを総合的に考える必要があります。
ホテル・旅館M&Aを成功させるポイント
ホテル・旅館M&Aを成功に近づけるためのポイントを、売り手・買い手それぞれの視点で整理します。
売り手:許認可と数字を「説明できる」状態に
売り手が準備すべきは、許認可の内容と運営実態を資料で説明できる状態に整えておくことです。旅館業許可の種類、消防法対応、稼働率・客室単価の推移などを明確に示せると、買い手は安心して検討でき、価格交渉も有利に進みます。「今いくら儲かっているか」だけでなく、「なぜその収益が出ているのか」を語れることが重要です。
買い手:DDで設備と法務を徹底確認
買い手が最も注力すべきは、デューデリジェンスによる設備・法務の確認です。建物の老朽化や必要な修繕費(CAPEX)、旅館業許可の引き継ぎ可否、賃貸借契約や消防法への適合、簿外債務の有無を丁寧に洗い出しましょう。表面的な数字だけで判断せず、平常時にどれだけ回るかを基準に投資判断することが失敗回避の鍵です。
キーパーソンの引き継ぎを設計する
ホテル・旅館の価値は、支配人や料理長、ベテランスタッフのノウハウに支えられている部分が大きいものです。M&A後も彼らが事業にコミットしてくれるか、引き継ぎ期間をどう設計するかは、成否を左右する重要ポイントです。一定期間の引き継ぎサポートを前提に交渉を進めると、買い手・売り手双方の不安を減らせます。
実際の成功事例からもヒントを得られます。次の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
最後に、ホテル・旅館のM&Aについてよく寄せられる疑問にお答えします。
Q1. ホテル・旅館M&Aの相場はどのくらいですか?
規模やタイプによって大きく異なります。民泊・簡易宿所は数百万円台から、小規模旅館・ビジネスホテルは数千万円〜数億円、中規模以上のホテルは数億円〜数十億円が一つの目安です。中小規模では、時価純資産に営業利益の数年分を加える年買法をベースに、不動産価値を加味して算定するのが一般的です。
Q2. 赤字のホテル・旅館でも売却できますか?
可能です。買い手は現在の損益だけでなく、立地・物件の価値、リブランドによる改善余地、許認可の希少性を総合的に評価します。とくに好立地で自社物件を持つ施設や、旅館業許可を取得済みの物件は、赤字であっても評価されるケースが少なくありません。
Q3. 旅館業許可はM&Aでそのまま引き継げますか?
スキームによります。株式譲渡なら会社ごと引き継ぐため原則そのまま維持され(代表者変更の届出は必要)、会社分割は承継の承認申請で名義変更が可能です。一方、事業譲渡では原則として買い手が新たに取得(再申請)する必要があります。個別の可否は所管行政に確認してください。
Q4. 個人でもホテル・旅館のM&Aに挑戦できますか?
可能です。とくに民泊・簡易宿所などの小規模な宿泊事業は、個人や副業での買収事例が多い分野です。ただし民泊は旅館業法・特区民泊・住宅宿泊事業法など制度が分かれ、ホテル・旅館とは扱いが異なります。詳しくは民泊のM&A・事業承継の記事をご覧ください。
Q5. 従業員はM&A後もそのまま引き継がれますか?
株式譲渡の場合、雇用契約は原則としてそのまま引き継がれます。事業譲渡の場合は、従業員の同意を得て個別に転籍させる形になります。いずれの場合も、現経営者に一定期間残ってもらい引き継ぎをサポートすると、スタッフの不安を和らげ離職を防ぎやすくなります。
Q6. 成約までどのくらいの期間がかかりますか?
案件により幅がありますが、交渉開始から成約まで数か月〜1年程度が一つの目安です。ホテル・旅館は許認可・不動産・設備の確認に時間がかかりやすいため、書類を早めに整理し、DDにスムーズに対応できるよう準備しておくことが期間短縮につながります。
まとめ|ホテル・旅館M&Aは「許可の承継」がカギ
インバウンド需要の回復でホテル・旅館業界の市場は過去最高水準にある一方、コスト高騰・人手不足・後継者不在による二極化が進んでいます。こうしたなか、廃業を避けて価値を次につなぐM&A(第三者承継)は、売り手・買い手双方にとって合理的な選択肢となっています。
ホテル・旅館M&Aで最も重要なことは、旅館業営業許可をどのスキームで引き継ぐかです。株式譲渡なら原則そのまま、会社分割なら承継申請で名義変更、事業譲渡なら再取得——この違いを理解しておくことが成功への第一歩です。あわせて、装置産業ならではの設備投資・修繕リスクや簿外債務の確認、キーパーソンの引き継ぎ設計が、M&Aの成否を左右します。
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