整体・整骨・鍼灸院のM&A実務ガイド|知るべきポイント・相場・流れ・注意点をわかりやすく解説

整体・整骨・鍼灸院のM&A実務ガイド|知るべきポイント・相場・流れ・注意点をわかりやすく解説

整体・整骨・鍼灸院のM&Aを検討する方向けに、売却相場の考え方や進め方、成功のポイントと注意点を実務目線で解説します。資格ビジネス特有の論点や、小規模院でもM&Aが成立する理由がわかります。

目次
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事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】

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整体院・整骨院・鍼灸院を取り巻く環境は、近年大きく変化しています。
健康志向の高まりにより需要は一定数ある一方で、資格者の確保や人件費の上昇、競合の増加などにより、個人経営や小規模院ほど将来への不安を感じやすい状況になっています。

こうした中で注目されているのが、整体・整骨・鍼灸院をM&Aという形で引き継ぐ、あるいは引き継がれる選択肢です。従来は廃業が一般的だった小規模院でも、事業としての価値を評価され、売却や承継が成立するケースが増えています。

本記事では、整体・整骨・鍼灸院のM&Aについて、売却相場の考え方や進め方、成功のポイント、注意点までを実務目線でわかりやすく解説します。
これから売却を検討する方にも、買い手として検討する方にも参考になる内容です。

整体・整骨・鍼灸業界の現状

整体院・整骨院・鍼灸院は、慢性的な肩こり・腰痛・疲労回復といったニーズに支えられ、長年にわたり安定した需要を持つ業界です。近年は、健康志向の高まりや高齢化の進行、デスクワーク人口の増加などを背景に、リラクゼーションやもみほぐしを含めた周辺業態も拡大しています。

一方で、この業界は資格制度・法規制・診療形態の違いが非常に複雑であり、外部から参入する人にとっては分かりづらい構造を持っています。そのことが、M&Aを検討する際の評価やリスク判断を難しくしている側面もあります。

整体院・整骨院・鍼灸院の違いと法的位置づけ

整体・整骨・鍼灸は似た業態に見えますが、法律上の位置づけや提供できるサービス内容は大きく異なります。

【整骨院(接骨院)】

国家資格である柔道整復師が施術を行います。
骨折・脱臼・打撲・捻挫などの外傷性疾患については保険診療が可能であり、保険収入がある点が特徴です。一方で、慢性的な肩こりや疲労回復などは保険適用外となります。

【鍼灸院】

鍼灸師(はり師・きゅう師)という国家資格が必要です。
医師の同意がある場合、一部の症状については保険診療が可能ですが、実務上は自由診療が中心となるケースが多く見られます。

【整体院・リラクゼーションサロン】

国家資格は不要で、整体師・按摩師などの民間資格や無資格者が運営するケースもあります。
原則としてすべて自由診療で、価格設定の自由度が高い反面、参入障壁が低く競争が激しい点が特徴です。

このように、資格の有無・保険診療の可否によって、収益構造やリスクは大きく変わります。
M&Aにおいては、どの業態に該当するのかを正確に把握することが最初の重要ポイントとなります。

業界規模と人材構造の変化

厚生労働省が公表している「令和4年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、柔道整復師・鍼灸師といった有資格者の数は年々増加傾向にあります。
一見すると人材は潤沢に見えますが、現場では次のような課題が顕在化しています。

  • 有資格者の都市部集中
  • 長時間労働による離職率の高さ
  • 独立志向が強く、定着しにくい
  • 多店舗展開に必要な管理者人材の不足

その結果、「店舗はあるが資格者が足りない」「オーナーが現場に立たないと回らない」といった状態の院も少なくありません。
この構造が、M&A市場において「人材=最大の価値」として評価される理由にもなっています。

厚生労働省 令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

多店舗化・FC展開の進行

近年は、整体・整骨・鍼灸業界でも多店舗展開やFC(フランチャイズ)化が進んでいます。

  • ブランド力を活かした集客
  • 研修・マニュアルによる施術の標準化
  • 加盟料・ロイヤリティモデルによる収益安定
といったメリットがある一方で、

  • FC契約の引き継ぎ可否
  • 加盟料・ロイヤリティの条件
  • 本部依存度の高さ
などが、M&A時の制約条件になることもあります。

特に居抜き物件+FC加盟という形態は、初期投資を抑えやすい反面、契約条件の確認を怠るとトラブルになりやすいため注意が必要です。

M&Aが注目される背景

こうした業界構造の中で、整体・整骨・鍼灸院のM&Aは次のような理由から注目を集めています。

  • オーナーの高齢化・体力的限界
  • 資格者の確保が難しくなっている
  • 黒字だが将来に不安がある
  • 多店舗展開のスピードを上げたい買い手の存在

「廃業」ではなく「誰かに引き継ぐ」という選択肢として、M&Aが現実的な出口戦略になりつつあるのが、現在の業界の大きな特徴です。

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整体・整骨・鍼灸院のM&Aの相場・売却価格の決まり方

整体院・整骨院・鍼灸院のM&Aにおける売却価格は、上場企業のように明確な算定式があるわけではありません。 実務では、収益力・人材・運営の再現性を軸に、個別事情を踏まえて総合的に判断されます。
特にこの業界では、「どの業態か」「誰が施術をしているか」によって、評価が大きく変わる点が特徴です。

基本となる価格レンジの考え方

小規模な整体・整骨・鍼灸院では、売却価格は概ね以下のような考え方をベースに決まることが多くなっています。

  • 年間営業利益(またはオーナー報酬控除前利益)の1年分〜3年分程度
  • 月商×数ヶ月分(6〜24ヶ月)

ただし、これはあくまで目安であり、資格者の在籍状況や保険診療の有無によって上下します。

保険診療か自由診療かで評価は大きく変わる

整骨院や一部の鍼灸院では、保険診療収入がある点が特徴です。
保険収入は一定の安定性がある一方で、以下のような側面もあります。

  • 診療報酬改定の影響を受けやすい
  • 運営ルールが厳格
  • 不正請求リスクが常にチェックされる

そのため、「保険診療がある=必ず高評価」とは限らず、自由診療比率がどの程度あるか、将来的に自由診療へ移行できるかといった点が、買い手からは重視されます。
整体院やリラクゼーションサロンのように完全自由診療の場合は、価格設定の自由度が高い反面、競争が激しいため、集客力とリピート率が評価の中心になります。

最大の評価ポイントは「資格者が残るかどうか」

整体・整骨・鍼灸院のM&Aで、最も価格に影響するのが資格者の確保です。

柔道整復師、鍼灸師、按摩師といった国家資格者が、売却後も継続勤務するのか、管理者として残れるのかによって、評価は大きく変わります。
特に整骨院の場合、柔道整復師がいなければ事業継続自体が不可能になるため、オーナー資格者が退職前提の場合は、価格が大きく下がるか、そもそも成立しないケースもあります。

オーナー依存度が高い院は評価が下がりやすい

以下のような状態の院は、売却価格が伸びにくくなります。

  • オーナー自身が施術の大半を担っている
  • 指名がオーナーに集中している
  • マニュアルや教育体制が整っていない

買い手からすると、「引き継いだ瞬間に売上が落ちるリスク」が高いためです。
一方で、以下のような院は、同じ売上規模でも高く評価されやすくなります。

  • 複数スタッフで施術を分担できている
  • 新人でも一定水準のサービスを提供できる
  • 運営が仕組み化されている

居抜き・立地・賃貸借契約の影響

整体・整骨・鍼灸院は、居抜きで引き継げるかどうかも重要な評価ポイントです。

  • ベッドや施術機器がそのまま使える
  • 内装工事が不要
  • 開業までの期間が短い

上記のようなメリットがある場合、買い手の初期負担が軽くなるため、価格交渉がスムーズになります。

また、以下の内容も、実務では必ずチェックされます。

  • 賃貸借契約が引き継げるか
  • 家賃が売上に対して適正か
  • 更新条件・解約条項に問題がないか

多店舗・FC展開は評価が分かれやすい

複数店舗を運営している場合や、FC加盟店の場合は、以下の内容が精査されます。

  • 店舗ごとの収益性
  • 管理体制の再現性
  • FC本部との契約条件(加盟料・ロイヤリティ)

多店舗であっても、「人に依存しすぎていない」「管理が回っている」状態であれば、評価は高くなります。
一方で、FCの場合は契約の引き継ぎ可否が最大の論点になるため、事前確認が不可欠です。

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整体・整骨・鍼灸院のM&Aのメリット

整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、単なる事業売買ではなく、人材・ノウハウ・地域に根付いた顧客基盤を引き継ぐ手段として活用されています。
ここでは、買い手側・売り手側それぞれの視点から、代表的なメリットを整理します。

買い手側のメリット

【① 開業リスクを抑えて事業をスタートできる】

新規開業の場合、物件選定・内装工事・設備導入・集客など、立ち上げに多くの時間とコストがかかります。
一方、M&Aで既存院を引き継げば、以下のような状態からスタートできるため、立ち上げリスクを大きく抑えることができます。

  • すでに営業実績がある
  • 顧客が存在する
  • 施術設備や内装が整っている

特に居抜きで引き継げる場合は、初期投資を抑えながら、早期に収益化しやすい点が魅力です。

【② 資格者・スタッフをまとめて確保できる】

整体・整骨・鍼灸業界では、資格者の確保が最大のハードルになることも少なくありません。
M&Aであれば、下記のような人材をまとめて引き継げる可能性があります。

  • 柔道整復師
  • 鍼灸師
  • 按摩師
  • 既存スタッフ

人材採用が難しい環境下では、「人がついてくるM&A」は非常に大きな価値を持ちます。

【③ 立地・顧客・地域ブランドを引き継げる】

長年運営されてきた院ほど、運営に必要な以下の要素が蓄積されています。

  • 近隣住民からの認知
  • リピーター顧客
  • 地域内での信頼

これらはゼロから作ることが難しく、買い手にとっては時間を買う投資とも言えます。

【④ 多店舗展開・FC展開の足がかりになる】

すでに運営ノウハウが確立された院を取得することで、下記のような戦略等、次の成長フェーズに進みやすくなります。

  • 多店舗展開
  • エリアドミナント戦略
  • FC本部化

売り手側のメリット

【① 廃業せず、事業と顧客を引き継げる】

整体・整骨・鍼灸院は、オーナーの体力やライフイベントによって継続が難しくなるケースが多い業態です。
M&Aを選択すれば、事業として積み重ねた以下の内容を次の担い手に引き継ぐことができます。

  • 通ってくれている患者・顧客
  • 一緒に働いてきたスタッフ
  • 積み上げた技術やノウハウ

これは、単なる閉院では得られない大きな価値です。

【② 設備・内装の投資を回収できる】

施術ベッドや機器、内装工事などに投じた資金は、廃業してしまうとほとんど回収できません。
M&Aであれば、居抜き譲渡や営業権込みでの売却等により、一定の価値として評価される可能性があります。

【③ スタッフの雇用を守れる】

スタッフを抱えたまま閉院することに不安を感じるオーナーは少なくありません。
M&Aによって、以下のような形で、スタッフにとっても前向きな承継につながるケースがあります。

  • 雇用の継続
  • 勤務環境の改善
  • キャリアの選択肢拡大

【④ 黒字のうちに価値を確定できる】

赤字になってからでは、選択肢が大きく狭まります。
黒字・安定期のうちにM&Aを検討することで、

  • 条件交渉がしやすい
  • 引き継ぎもスムーズ
  • 心理的負担が少ない
というメリットがあります。

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整体・整骨・鍼灸院のM&Aのデメリット

整体・整骨・鍼灸院のM&Aは多くのメリットがある一方で、業態特有の注意点も存在します。
ここでは、買い手側・売り手側それぞれが事前に理解しておくべきデメリットを整理します。

買い手側のデメリット

【① オーナー依存度が高いケースが多い】

この業界で最も多いリスクが、「院の価値=前オーナー本人」になっているケースです。

  • 指名患者がオーナーに集中している
  • 技術や判断が属人化している
  • オーナー不在になると顧客が離れる

こうした状態のまま引き継ぐと、売上が大きく落ち込むリスクがあります。
そのため、M&A前に「誰が施術しているのか」「再現性はあるのか」を慎重に見極める必要があります。

【② 資格者の継続勤務が不透明】

資格者が引き継げることはメリットですが、

  • 実は退職予定だった
  • 条件変更でモチベーションが下がる
  • 経営者が変わることで離職する
といったケースもあります。

人材が前提の事業である以上、引き継ぎ後の人員体制には不確実性が残る点は、買い手側のリスクです。

【③ 保険診療の運用リスク】

整骨院・鍼灸院では、保険診療を行っているケースも多く、

• 算定ルールの理解不足
  • 算定ルールの理解不足
  • 過去の運用にグレーな部分がある
  • 行政指導や返還リスク
といった問題が、M&A後に表面化する可能性があります。

財務だけでなく、運営実態の確認(実質的なデューデリジェンス)が不可欠です。

【④ 設備の老朽化・追加投資の必要性】

施術機器や内装は、一見問題なく見えても、

  • 老朽化が進んでいる
  • 近いうちに更新が必要
  • メンテナンス費用が想定以上
というケースがあります。

取得後に想定外の投資が発生すると、回収計画が崩れる可能性があります。

売り手側のデメリット

【① 思ったほど高く売れないことがある】

整体・整骨・鍼灸院は、

  • 無形資産(人・技術)への依存度が高い
  • 将来の再現性が評価されにくい
という特性があります。

そのため、「長年やってきたから高く売れるはず」と考えていると、期待とのギャップが生じやすい点は注意が必要です。

【② 条件交渉に時間がかかる】

売却価格だけでなく、

  • スタッフの処遇
  • オーナーの引き継ぎ期間
  • 施術への関与範囲
など、細かい条件調整が必要になるケースが多く、交渉が長期化しやすい傾向があります。

【③ 一定期間の引き継ぎが求められる】

M&A後すぐに完全に離れたいと考えていても、

  • 顧客の引き継ぎ
  • スタッフへの説明
  • 運営ノウハウの共有
のため、一定期間の協力が条件になることが一般的です。

ライフプランによっては、負担に感じることもあります。

【④ 情報開示への心理的ハードル】

M&Aでは、

  • 財務状況
  • 契約関係
  • 過去の運営実態
など、多くの情報開示が求められます。

特に個人経営の院では、「きちんと整理できていない」「見せたくない部分がある」と感じることも少なくありません。

デメリットを理解したうえで進めることが重要

これらのデメリットは、事前に理解し、準備すれば多くがコントロール可能です。
重要なのは、デメリットを知らずに進めないこと、「想定内のリスク」にしておくことです。

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整体・整骨・鍼灸院のM&Aの流れ

整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、一般的な中小企業のM&Aと基本構造は同じですが、「人」「資格」「現場運営」が価値の中心になる点が大きな特徴です。
そのため、各ステップで確認すべきポイントも業態特有のものになります。

STEP1:売却・買収の目的整理(戦略設計)

最初に行うべきなのは、「なぜM&Aをするのか」を明確にすることです。
売り手の場合は、

  • 引退・働き方の見直し
  • 多店舗展開に向けた資本整理
  • 後継者不在の解消
といった背景が整理されます。

買い手側では、

  • 新規出店よりも早くエリアを押さえたい
  • 資格者を含めて引き継ぎたい
  • 多店舗化・FC展開の足がかりにしたい
など、目的によって見るべきポイントが変わります。

この段階で目的が曖昧だと、後の条件交渉や判断がブレやすくなります。

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M&A戦略は、経営戦略と事業戦略に基づいて策定します。目標を明確にした上で、M&A成立後の経営統合プロセスも含めた戦略を練りましょう。戦略策定に役立つ自社分析のフレームワークや、ターゲット選定のポイントも解説します。

STEP2:案件探し・マッチング

次に、M&Aプラットフォームや仲介サービスを活用して案件を探します。

整体・整骨・鍼灸院の場合、

  • 居抜き譲渡案件
  • 個人経営の非公開案件
  • FC本部からの譲渡案件
など、表に出ていない案件も多いため、複数の情報源を併用することが重要です。

買い手は、

  • 立地
  • 売上構造
  • 資格者の在籍状況
といった基本情報を確認し、売り手は事前に簡易的な情報整理を行います。

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STEP3:交渉開始・秘密保持契約(NDA)

興味を持った案件が見つかると、交渉に進みます。

この段階で必ず締結されるのが秘密保持契約(NDA)です。
NDA締結後、

  • 詳細な売上・利益
  • スタッフ構成
  • 資格の有無
  • 保険診療の有無
といった、より踏み込んだ情報が開示されます。

整体・整骨・鍼灸院では、「数字」と「現場実態」のズレがないかを早めに確認することが重要です。

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M&Aにおける秘密保持契約(NDA)とは何かを基礎から解説します。情報漏洩や目的外利用の防止、不正競争防止法との関係、機密情報の管理方法、損害賠償や契約期間の考え方まで、安心してM&A交渉を進めるために知っておきたいポイントを整理します。

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M&Aで重要な秘密保持契約(NDA)と実名交渉の役割をわかりやすく解説。売り手が安心して情報開示できる環境を整え、交渉を前進させるために、買い手が早期に実名交渉へ進むことがなぜ大きなメリットになるのかを具体的に紹介します。

STEP4:基本合意の締結

条件面について大枠の合意ができたら、基本合意書を締結します。

ここでは、

  • 譲渡価格の目安
  • 譲渡スキーム(事業譲渡・株式譲渡など)
  • 引き継ぎ期間
  • 独占交渉期間
などが整理されます。

特にこの業界では、

  • オーナーがどこまで関与するか
  • 施術や経営への関与範囲
  • スタッフ対応の方針
を明文化しておくことが、後のトラブル防止につながります。

M&Aにおける基本合意書とは。必要になる理由とタイミングを確認
用語説明
M&Aにおける基本合意書とは。必要になる理由とタイミングを確認

基本合意書は、売り手と買い手との間で交わす合意文書です。合意形成を図るほか、M&Aのスケジュールを確認したり、買い手の交渉力を強化したりする役目もあります。基本合意書を交わすタイミングや他の契約書との違いを解説します。

優先交渉権と独占交渉権の違いとは。基本合意書における注意点
用語説明
優先交渉権と独占交渉権の違いとは。基本合意書における注意点

M&Aを行う際に、優先交渉権を設ける場合があります。設定することにより、買い手と売り手にどのような影響を与えるのでしょうか?得られるメリットを見ていきましょう。また優先交渉権を得るタイミングについても紹介します。

STEP5:デューデリジェンス(詳細調査)

基本合意後に行われるのがデューデリジェンス(DD)です。

整体・整骨・鍼灸院では、以下の点が特に重視されます。

  • 財務内容(実態利益)
  • 保険診療の運用状況
  • 資格者の在籍・雇用契約
  • 賃貸借契約の引き継ぎ可否
  • 設備・機器の状態

書類上の問題だけでなく、実際に現場が回るかどうかという視点での確認が欠かせません。

デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など
手法
デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など

M&Aの最終合意に至る上で、デュー・デリジェンス(DD)は欠かすことのできない重要なプロセスです。資金に限りのある中小企業や個人事業主は、何をどのように実行すればよいのでしょうか?DDの種類や費用、期間について理解を深めましょう。

M&AにおけるDDとは何か?買収監査の手順、種類、注意点を解説
用語説明
M&AにおけるDDとは何か?買収監査の手順、種類、注意点を解説

『DD』とは、M&Aにおける買収監査を指します。買い手は最終決定を下す前に、買収対象会社が重大なリスクや問題を抱えていないかを調査する必要があるでしょう。DDの手順や、問題が発覚した際の対処法についても解説します。

STEP6:最終契約締結

デューデリジェンスを経て問題がなければ、最終契約書を締結します。

この段階では、

  • 最終譲渡価格
  • 支払い条件
  • 引き継ぎ内容
  • 競業避止義務
などが法的に確定します。

曖昧な口約束は避け、「人」「運営」「引き継ぎ」については特に明文化することが重要です。

表明保証の主な三つの目的とは。内容、リスク回避で重要なポイントも
用語説明
表明保証の主な三つの目的とは。内容、リスク回避で重要なポイントも

M&Aにおける表明保証は、主に買い手を保護する目的で最終契約書に記載される条項です。内容を正しく理解しておけば、安心してM&Aを進められるでしょう。表明保証の役割や重要性を、主に買い手の視点から解説します。

M&Aにおける競業避止義務をわかりやすく解説。トラブルになる点は?
用語説明
M&Aにおける競業避止義務をわかりやすく解説。トラブルになる点は?

競業避止義務はM&Aの売り手に課せられる義務です。買い手の利益の保護を目的として契約書に盛り込まれるものの、内容によっては有効性が認められない場合もあります。トラブルの事例や書き方のポイントを交えて、競業避止義務をわかりやすく解説します。

STEP7:クロージング・引き継ぎ(PMI)

契約締結後、譲渡代金の支払いと同時にクロージングが行われます。

その後は、

  • スタッフ・顧客への説明
  • 運営体制の移行
  • 予約管理・会計の引き継ぎ
など、実務的な引き継ぎ期間に入ります。

整体・整骨・鍼灸院では、PMI(引き継ぎ・統合プロセス)の出来が成否を左右すると言っても過言ではありません。


整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、「契約して終わり」ではなく、引き継ぎまで含めて初めて成功といえます。

M&Aクロージングとは?最終契約から引き渡しまでの流れと注意点を徹底解説
用語説明
M&Aクロージングとは?最終契約から引き渡しまでの流れと注意点を徹底解説

M&Aの最終局面であるクロージングを実務目線で解説。最終契約、代金決済、引き渡し、経営権の移転といった手続きに加え、表明保証や競業避止などの注意点を、スモールM&Aにも触れながら詳しく紹介します。

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用語説明
PMIはM&Aの成否を分けるプロセス。重要性や必要な期間を解説

PMI(Post Merger Integration)の進め方を実務視点で解説。ランディングプラン/100日プランの設計、業績管理・決算体制や社内システムの統合、人事制度見直し、企業文化の浸透、従業員ケアまで網羅。クロージング後にシナジーを早期実現し、離職や混乱を防ぐチェックポイントをまとめました。

M&Aの流れを11ステップで徹底解説!準備からPMIまで全手順と成功のポイント
事業承継
M&Aの流れを11ステップで徹底解説!準備からPMIまで全手順と成功のポイント

M&Aは大企業だけでなく、零細企業にとっても事業承継や成長戦略に有効な選択肢です。や具体的な手法、メリット・デメリット、成功に向けた進め方まで、網羅的に解説します。

整体・整骨・鍼灸院のM&A成功のポイント

整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、数字だけを見て判断すると失敗しやすい業態です。
成功のカギは、「人・資格・現場運営」をどう引き継ぐかにあります。

① オーナー依存度を下げておく

成功する案件の多くは、オーナーがいなくても一定期間回る体制が整っています。

売り手側は、

  • 施術・接客を標準化している
  • 予約・会計・顧客管理が仕組み化されている
  • スタッフに役割分担ができている
といった状態をつくっておくことで、「引き継ぎやすい事業」として評価されやすくなります。

買い手側も「この院は誰がいなくなった後も運営はできるのか」という視点でオーナー依存度を見極めることが重要です。

② 資格者の確保と定着を重視する

整骨院・鍼灸院では、柔道整復師・鍼灸師などの資格者の在籍状況が事業価値を左右します。

成功するM&Aでは、

  • 資格者が複数在籍している
  • 雇用条件が明確で継続勤務の意思がある
  • 特定の一人に依存していない
といった点が確認されています。

売り手は、「誰が、どの資格で、どんな役割を担っているか」を事前に整理しておくことが重要です。

③ 保険診療・自由診療のバランスを把握する

整体・整骨・鍼灸院では、保険診療と自由診療の構成比が収益の安定性に直結します。
成功しやすい院は、以下のような傾向があります。

  • 自由診療の比率が一定以上ある
  • 単価アップの余地がある
  • 自費メニューが仕組み化されている

買い手は、「今の売上」だけでなく、引き継ぎ後にどう伸ばせるかを見ています。

④ 賃貸借契約と居抜き条件を早めに確認する

立地は整体・整骨・鍼灸院の生命線です。

成功事例では、

  • 賃貸借契約の引き継ぎ可否が明確
  • 家賃水準が売上に対して適正
  • 居抜き譲渡が可能
といった条件が事前に整理されています。

契約条件の確認を後回しにすると、「買えない案件」になるケースも少なくありません。

⑤ 引き継ぎ期間と関与範囲を明文化する

成約後のトラブルで多いのが、「どこまで教えてくれると思っていたか」「いつまで関与してくれると思っていたか」という認識のズレです。
成功するM&Aでは、以下の内容が契約書で明確に定義されています。

  • 引き継ぎ期間
  • オーナーの関与内容
  • スタッフ・顧客対応の役割

⑥ 多店舗・FC展開を見据えた視点を持つ

買い手側が、以下の内容を視野に入れている場合、再現性の高い運営モデルかどうかが重要になります。

  • 多店舗展開
  • FC本部化
  • 既存院との統合

売り手も、「1店舗目として優秀か」という視点で整理できると、評価が高まりやすくなります。

成功の本質は「引き継いだ後に伸ばせるか」

整体・整骨・鍼灸院のM&Aでは、「今の数字が良いか」よりも、「引き継いだ後に安定して運営できるか」が重視されます。

  • 人が残るか
  • 運営が回るか
  • 伸ばせる余地があるか

この3点を丁寧に整理できた案件ほど、納得感のあるM&Aにつながりやすいと言えるでしょう。

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整体・整骨・鍼灸院のM&Aに際して注意点

整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、「成立しやすい一方で、引き継ぎ後の失敗も起きやすい」業態です。
ここでは、実際に多い注意点を整理します。

① 資格・法規制の理解不足によるリスク

整骨院・鍼灸院は、国家資格と法律に強く紐づいた事業<.span>です。

  • 柔道整復師・鍼灸師がいなければ提供できない施術
  • 保険診療の取り扱いルール
  • 広告表現や施術内容の制限

これらを正しく理解せずに引き継ぐと、営業継続そのものが難しくなるリスクがあります。

買い手は、

  • 誰の資格で運営しているのか
  • 資格者が退職した場合の代替策
  • 保険診療の適正運用状況
を必ず確認する必要があります。

② 保険診療の取り扱いと過去リスク

特に整骨院では、保険請求の運用状況が重要なチェックポイントです。

  • グレーな請求が行われていないか
  • 指導・監査歴はないか
  • 将来的な返還リスクはないか

過去の請求内容に問題がある場合、買収後にトラブルが顕在化する可能性もあります。
デューデリジェンスでは、売上構成だけでなく「請求の質」も確認しましょう。

③ スタッフの離職リスクを過小評価しない

整体・整骨・鍼灸院の最大の資産は「人」です。

M&A後に、

  • オーナー交代への不安
  • 待遇変更への懸念
  • 職場環境の変化
を理由に、スタッフが一斉に離職するケースも珍しくありません。

注意すべきポイントは、以下の点です。

  • 雇用条件の引き継ぎ内容
  • 説明タイミングと方法
  • 継続勤務の意思確認

M&Aは「人の承継」でもある、という意識が不可欠です。

④ 口約束に頼りすぎない

業界的に多いのが、「これくらいは大丈夫だろう」という口約束です。

例えば、以下のような事項を曖昧にしたまま成約すると、成約後に認識のズレが表面化します。

  • 引き継ぎ期間
  • オーナーの関与範囲
  • スタッフ対応のサポート

成功する案件ほど、細かい内容まで書面で整理されています。

⑤ 居抜き条件・設備の老朽化を見落とさない

整体・整骨・鍼灸院は、設備投資額が比較的少ない一方で、

  • ベッド
  • 医療機器
  • 内装
の老朽化が一気に表面化することがあります。

注意点として、

  • 修繕・入れ替え費用の想定
  • 居抜き条件の範囲
  • 賃貸借契約の制限
を事前に確認しておかないと、想定外のコストが発生します。

⑥ 多店舗・FC展開を前提にしすぎない

買い手側が、

  • 多店舗化
  • FC加盟・本部化
を前提に考える場合でも、1店舗としての完成度を軽視してはいけません。

  • 現場が安定しているか
  • 人材が育っているか
  • 運営が属人化していないか
これらが整っていないまま拡大すると、失敗のリスクが高まります。

注意点の本質は「引き継ぎ後の現実」

整体・整骨・鍼灸院のM&Aでは、成約そのものより、成約後の運営が重要です。

  • 法律・資格の壁
  • 人材の継続
  • 現場オペレーション

これらを現実的に見据えて準備することで、トラブルを避け、長期的に成功するM&Aにつながります。

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整体・整骨・鍼灸院のM&Aでよくある質問

Q1. 整体院・整骨院・鍼灸院は本当にM&Aで売却できますか?

はい、可能です。
近年は、整体院・整骨院・鍼灸院ともに小規模でもM&Aが成立するケースが増えています。
特に、スタッフが在籍し、一定の顧客基盤がある院は評価されやすい傾向にあります。
個人経営だから売れない、ということはありません。

Q2. 赤字や売上が小さい院でも売却できますか?

赤字=売れない、とは限りません。
一時的な赤字や、オーナー依存が原因の場合は、「引き継ぎ後に改善できる余地がある」と判断されるケースもあります。

ただし、以下に該当する場合は、評価が大きく下がる可能性があります

  • 資格者がいない
  • 運営が完全に属人化している

Q3. 保険診療を行っている整骨院は注意点がありますか?

あります。
整骨院のM&Aでは、過去の保険請求の適正性が必ずチェックされます。

  • グレーな請求が行われていないか
  • 指導・監査歴はないか

これらはデューデリジェンスで重要な確認事項です。
不安要素がある場合、事前に専門家へ相談することが推奨されます。

Q4. スタッフにはいつM&Aの話を伝えるべきですか?

基本的には、成約が近づいた段階で丁寧に説明するのが一般的です。

早すぎると不安を招き、遅すぎると不信感につながるため、タイミングと説明方法が非常に重要です。
成功事例では、「雇用条件は原則維持される」「今後の方針が明確に示される」といった説明が行われています。

Q5. 居抜き物件でもM&Aは可能ですか?

可能です。
整体・整骨・鍼灸院では、居抜き譲渡が前提となるケースも多く見られます。

ただし、下記については、必ず事前に確認が必要です。

  • 賃貸借契約の引き継ぎ可否
  • 原状回復義務
  • 内装・設備の範囲

Q6. FC加盟店でもM&Aはできますか?

可能ですが、注意が必要です。
FC本部との契約内容によっては、

  • 譲渡時に承認が必要
  • 加盟料や再契約費用が発生
  • 買い手がFC契約を結び直す必要がある
といった条件が設定されている場合がありますので、契約書の内容は必ず確認しましょう。

Q7. M&Aにはどれくらいの期間がかかりますか?

案件によりますが、3〜6ヶ月程度がひとつの目安です。

  • 事前準備が整っている
  • 条件が明確
  • 引き継ぎ内容が整理されている

上記に該当する場合は、比較的スムーズに進む傾向があります。

Q8. M&A後、オーナーはどこまで関与しますか?

これは契約次第です。
多くの場合、以下のような内容が設定されます。

  • 数週間〜数ヶ月の引き継ぎ期間
  • スタッフ・顧客対応のサポート

関与範囲を事前に明文化しておくことで、トラブルを防げます。

まとめ|整体・整骨・鍼灸院のM&Aは「小規模でも現実的な選択肢」

整体院・整骨院・鍼灸院は、オーナーの技術や人柄に支えられて成り立ってきた業態です。
その一方で、資格者確保の難しさや体力的な負担、将来への不安から、「この先も続けられるだろうか」と悩む経営者が少なくありません。

こうした背景の中で、M&Aは単なる撤退手段ではなく、積み上げてきた事業や顧客、スタッフの雇用を次につなぐための前向きな選択肢として注目されています。

買い手側にとっても、整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、ゼロから開業するよりもリスクを抑えながら事業を引き継げる点が大きな魅力です。
既存の立地や設備、顧客基盤、スタッフ体制を活かすことで、早期に安定した運営を実現できる可能性があります。

一方で、資格者への依存度、保険診療の適正性、賃貸借契約や居抜き条件、引き継ぎ期間やフォロー体制といった点は、M&A特有の重要なチェックポイントです。
これらを曖昧にしたまま進めてしまうと、成約後のトラブルにつながりかねません。

整体・整骨・鍼灸院のM&Aを成功させるために大切なのは、「売れるかどうか」ではなく、「引き継げる状態になっているか」という視点です。
数字だけでなく、運営体制や説明できる背景を整理しておくことが、納得感のあるM&Aへの近道になります。

事業を終わらせるのではなく、次に託す。
そして、新たな形で価値を広げていく。

整体・整骨・鍼灸院のM&Aは、これからの時代において、事業承継と成長の両方を実現できる現実的な選択肢と言えるでしょう。

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