サラリーマンが会社を買うには?個人M&Aのやり方・流れ・リスクをプロが徹底解説
サラリーマンが会社を買う方法を解説。個人M&Aの基本、案件探し〜交渉・DD・契約までの流れ、必要資金や融資の考え方、簿外債務・人材離職などのリスクと回避策、失敗しない案件選びのポイントをわかりやすく整理。副業での注意点や買収後のPMIの進め方も紹介します。
「いつかは自分の城を持ちたい」「会社員としての給与以外に収入の柱が欲しい」と考えながらも、ゼロから起業するリスクや準備の大変さを前に、最初の一歩を踏み出せずに悩んではいないでしょうか。
実は近年、起業や独立の新たな手段として、会社員の信用力や収入を活かしながら既存の企業や事業を買収する個人M&Aが、現実的な選択肢として注目されています。
本記事では、サラリーマンが会社を買う際の基本的な流れ、メリットとデメリット、案件選びで注意すべきポイントについて、実務の視点から解説します。
この記事を読み進めることで、あなたは会社員としての安定した生活基盤を維持しながら、経営者としてのキャリアと資産形成を同時にスタートさせるための具体的なロードマップを手に入れることができるでしょう。
リスクを最小限に抑え、確実な成功を目指すための知識を身につけ、ぜひ経営者への扉を開くための行動を開始してください。
サラリーマンでも会社は買える?個人M&Aが注目される背景
「サラリーマンが会社を買う」と聞くと、多額の資金を持つ一部の人に限られる印象を持たれがちですが、現在では条件次第で一般的な会社員でも検討可能なケースがあります。
なぜ今、個人の会社買収が注目されているのか、その背景には社会構造の変化と市場環境の成熟が大きく関係しており、これらを理解することでチャンスの大きさに気づくことができるはずです。
「会社を買う」選択肢の現実化
かつてM&Aといえば大企業同士の戦略的な統合を指しましたが、近年ではサラリーマンが脱サラや副業の一環として会社を買収するケースが急増しています。
これは働き方の多様化に加え、個人のキャリア形成において「経営者」というポジションがより身近なものとして捉えられ始めたことが要因の一つと言えるでしょう。
スモールM&A市場の活発化
日本国内では深刻な後継者不足が社会問題化しており、黒字経営でありながら廃業を検討せざるを得ない中小企業が数多く存在しているのが現状です。
その結果、譲渡価格が数百万円から1,000万円以下という、個人の貯蓄や小規模な融資で検討できるスモールM&A案件も増加しています。
ポジティブな「社会貢献」への変化
かつて企業買収には「乗っ取り」のようなネガティブなイメージが付きまといましたが、現在ではその認識は大きく変わりつつあります。
後継者不在の企業を引き継ぐことは、その会社が培ってきた技術や従業員の雇用を守ることに直結するため、非常に意義のある「社会貢献」として高く評価されるようになりました。
参入障壁の低下
インターネットの発達により、M&Aマッチングプラットフォームが普及したことが、個人が会社を買うハードルを劇的に下げる決定的な要因となりました。
スマホやPCから手軽に売り案件を検索し、直接オーナーと交渉できる環境が整ったことで、
サラリーマンが会社を買うメリット
会社員という安定した地位を維持しながら、あるいはその信用力を活用して会社を買収することには、ゼロからの起業にはない多大なメリットが存在します。
ここでは、サラリーマンがM&Aを通じて事業オーナーとなることで得られる主なメリットを整理します。
ゼロからの起業より成功確率が高い
既存の会社を買う最大の利点は、すでに顧客、取引先、従業員、そして事業ノウハウといった経営資源が一通り揃っている「完成された事業」を引き継げる点にあります。
ゼロからの起業において最も生存率が低く困難な「0から1」の立ち上げフェーズをスキップできるため、事業継続の見通しを立てやすくなります。
また、過去の実績があるため将来の予測が立てやすく、まったく未知の市場に飛び込むようなギャンブル性を排除してビジネスを始められるのは大きな強みです。
買収初月から安定した収益・役員報酬を得られる
新規創業の場合、最初の売上が立つまでに数ヶ月から数年かかることも珍しくありませんが、既存事業の買収であれば、引き継いだ初月から売上が発生します。
過去の財務諸表に基づいた収益予測が可能であるため、買収後の資金繰りや自身の報酬設計も立てやすく、収支の見通しを立てたうえで事業を開始しやすくなります。
会社員としての給与に加え、買収した会社からの役員報酬(インカムゲイン)を早期に確保できることは、生活の安定と精神的な余裕に直結するでしょう。
経営者としての「時間」と「信用」を即座に買える
事業をゼロから立ち上げて安定させるまでには、一般的に数年にわたる時間と大きな労力が必要ですが、M&Aはそのプロセスを資金によって大幅に短縮する手段と言えます。
ショートカットした時間を使ってさらなる事業拡大に注力できるほか、設立から年数が経過した法人の代表者となることで、対外的な信用も即座に手に入れることができます。
銀行融資や新規取引の際にも、実績のない新設法人より、歴史ある法人のほうが圧倒的に有利に働くため、ビジネスの加速装置として機能します。
将来的な会社売却(キャピタルゲイン)の可能性
買収した事業を、自身のスキルや経験を投入して磨き上げ、企業価値を向上させることができれば、将来的にさらに高い価格で売却することも可能です。
単に役員報酬を得るだけでなく、会社そのものを商品として捉え、売却益(キャピタルゲイン)を狙うという、投資家やシリアルアントレプレナー的な視点で資産形成を目指せます。
サラリーマンが会社を買うデメリット
多くのメリットがある一方で、個人で会社を所有する場合には、事前に理解しておくべきリスクや注意点も存在します。
安易な参入で後悔しないよう、事前に想定されるネガティブな要素についても正しく理解しておく必要があります。
個人で負債や借入を背負うリスク
会社を買収するための資金を、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けて調達する場合、借入条件によっては、代表者個人が返済責任を負うケースもあります。
万が一、事業が計画通りに進まず失敗してしまった場合でも、借入金だけが個人の負債として残ってしまうリスクは、M&Aにおける最大の懸念点です。
心理的なプレッシャーも大きいため、自己資金とのバランスを考え、返済可能な範囲での資金計画を慎重に策定することが求められます。
簿外債務や偶発債務を引き継ぐリスク
デューデリジェンス(買収監査)を行っても発見しきれない、決算書に記載されていない「簿外債務」が存在するリスクもゼロではありません。
未払いの残業代や社会保険料、将来的に発生する可能性のある訴訟リスクや連帯保証などが、買収後に突如として発覚し、経営を揺るがす事態になることも考えられます。
これらのリスクを抑えるためには、表明保証条項の確認や、税理士・弁護士など専門家による調査が重要です。
従業員の離職や企業文化のミスマッチ
M&Aにおいて最もデリケートなのが「人」の問題であり、オーナーが変わることに対する従業員の不安や反発は決して軽視できません。
特に「サラリーマン出身の未経験オーナー」に対して現場が不信感を抱き、事業の要となるキーマンが退職してしまうと、ノウハウが流出して事業が立ち行かなくなる恐れがあります。
既存の企業文化を尊重し、従業員との信頼関係を段階的に築いていく姿勢が、事業安定のために重要になります。
サラリーマンが会社を買う具体的な流れ
会社を買うという行為は大きな決断ですが、そのプロセスは体系化されており、一つひとつのステップを着実に踏んでいけば決して難しいものではありません。
ここでは、サラリーマンが個人でM&Aを検討し始めてから、成約して経営権を引き継ぐまでの一般的な流れを解説します。
STEP①:買収目的の明確化と予算策定
まずは、なぜ会社を買うのかという目的を明確にし、「脱サラして独立するのか」それとも「今の仕事を続けながら副業オーナーになるのか」といった方向性を定めます。
その上で、自身の自己資金と調達可能な融資額を試算し、無理のない現実的な予算上限(買収に使える金額)を決定することがスタートラインです。
STEP②:案件探しと秘密保持契約(NDA)の締結
M&Aマッチングサイトや仲介会社を利用して、自身の希望する業種や地域、予算感に合った案件(ノンネーム情報)を幅広くリサーチします。
興味のある案件が見つかったら、より詳細な情報を得るために売り手側と「秘密保持契約(NDA)」を締結し、企業名や財務内容などが開示される実名交渉の段階へと進みます。
STEP③:トップ面談(現オーナーとの交渉)
開示された資料を検討した後は、現オーナーと直接会って話をする「トップ面談」を行いますが、M&Aの成否に大きく影響する重要なプロセスです。
数字上のデータだけでは分からない、オーナーの事業に対する想いや売却の真意、現場の雰囲気などを肌感覚で確認し、自身が後継者として適任かどうかを見極めます。
STEP④:基本合意書の締結
トップ面談を経て双方が前向きになれば、譲渡価格やスキーム、スケジュールといった主要な条件について話し合い、大枠での合意形成を図ります。
合意に至った内容を「基本合意書」として締結し、買い手側には独占交渉権が付与されることが一般的で、ここから最終的な詳細調査へと進みます。
STEP⑤:デューデリジェンス(買収監査)の実施
基本合意後は、税理士や会計士、弁護士などの専門家に依頼し、買収対象企業の財務状況や法務リスクを徹底的に調査する「デューデリジェンス(DD)」を行います。
提示された情報に虚偽や見落としがないかを確認し、買収価格が妥当かを客観的に検証します。
STEP⑥:最終契約の締結とクロージング
デューデリジェンスの結果に問題がなければ、最終的な条件を確定させて「株式譲渡契約書」などの正式な契約書に署名・捺印を行います。
その後、譲渡代金の決済と、株主名簿の書き換えや役員変更登記といった経営権の移転手続き(クロージング)を完了させ、経営権の移転が完了し、新たな経営体制が正式にスタートします。
サラリーマンが会社を買う際の探し方のポイント
数ある案件の中から最適な一社を見つけるのは容易ではありませんが、重要な視点を押さえることで失敗のリスクを下げられます。
サラリーマンというバックグラウンドを持つ買い手が、特に意識すべき選定基準について解説します。
自身の経験やスキルが活かせる業種を選ぶ
全く未知の分野に飛び込むよりも、これまでの会社員生活で培った業界知識や職務経験、人脈などをシナジーとして活用できる領域を選ぶことが成功への近道です。
自分の強みを活かせる業種であれば、買収後の経営改善や販路拡大のイメージが湧きやすく、結果として事業の成長の可能性を高めやすくなります。
自分がいなくても「現場が回る仕組み」があるか
特に本業を持ちながら副業で経営する場合、オーナーが現場に張り付かなくても業務が円滑に回る仕組みができているかは極めて重要なチェックポイントです。
マニュアル化が進んでいるか、あるいはオーナーの指示がなくとも自律的に動ける信頼できる現場責任者が存在するかどうかを、必ず確認する必要があります。
財務諸表だけでなく「現場の生の声」を重視する
帳簿上の数字がきれいに整っていても、実際には設備の老朽化が進んでいたり、従業員間の人間関係が悪化していたりするケースは少なくありません。
デューデリジェンスでは把握しきれない定性的なリスクを確認するためにも、可能な限り実地調査を行うことが重要です。
アドバイザーや専門家を適切に活用する
初めてのM&Aをすべて独力で完遂しようとするのは難しい側面も多く、複雑な法務契約や税務処理については、初期段階からプロのサポートを仰ぐことも手段のひとつです。
専門家への報酬はコストではなく投資と考え、アドバイザーの知見を借りることも、結果的に致命的なミスを防ぐリスクヘッジとなります。
300万〜500万円で買える会社・事業例
「会社を買う」といっても、必ずしも億単位の資金が必要なわけではなく、サラリーマンの個人資金でも十分に手が届くスモールM&A案件は豊富にあります。
ここでは、実際に300万〜500万円程度の予算で購入可能な、代表的な事業モデルを紹介します。
収益化済みのWebメディア・ECサイト
物理的な店舗を持たず、在庫リスクも少ないWebメディアやECサイトは、場所や時間を選ばずに運営できるため、副業サラリーマンに最も人気のある案件です。
すでに一定のアクセス数や売上があり、運営マニュアルも整備されているケースが多いため、引き継ぎ後すぐに収益化できる点が大きな魅力です。
地域密着型の学習塾・エステサロン
地域に根ざした学習塾やエステサロンなどは、店舗や設備をそのまま引き継ぐ「居抜き」での譲渡が多く、初期投資を抑えて開業できるメリットがあります。
固定客や在籍スタッフもセットで引き継げるため、広告宣伝費をかけずとも安定した現金収入が見込め、地域社会との繋がりも感じられる事業です。
コインランドリー・自動販売機ルート事業
装置産業であるコインランドリーや自動販売機のルート事業は、特段の専門スキルを必要とせず、日々の管理工数も極めて低いため、手離れが良いのが特徴です。
忙しい会社員でも無理なくオーナー業を兼務しやすく、比較的安定した収益が見込める事業モデルとして、一定の人気があります。
サラリーマンが会社を買う際の注意点
サラリーマンの個人M&Aには大きなチャンスがある一方で、組織に属している個人ならではの法的・実務的な落とし穴も存在します。
契約直前や買収後にトラブルを避けるため、事前に押さえておくべき注意点を解説します。
勤務先の副業規定と利益相反の確認
会社を辞めずに副業としてM&Aを行う場合、勤務先の就業規則で副業が許可されているか、また許可が必要な場合はどのような手続きが必要かを確認することは必須です。
さらに、買収する事業が本業と競合する場合、顧客の奪い合いなどの「利益相反行為」とみなされ、懲戒処分の対象となるリスクがあるため、法的な観点からの慎重な検討が求められます。
連帯保証の引き継ぎと個人保証の解除
買収対象企業が銀行から借入を行っている場合、その借入金には前オーナーの個人保証(連帯保証)がついていることが一般的です。
M&Aを行う際には、この個人保証を前オーナーから外し、新オーナーである自分に切り替える(あるいは解除する)ことが承認されるか、事前に金融機関と入念な調整を行う必要があります。
買収後の100日間(PMI)が成否を分ける
M&Aは契約完了がゴールではなく、そこからの統合プロセス(PMI)こそが本番であり、特に最初の100日間での振る舞いがその後の成否を決定づけます。
「新社長」として従業員と対話の機会を設け、信頼関係を構築し、新たな経営方針の共有を怠ると、組織運営に支障が出る可能性があります。
コストを抑えて理想の案件を探すなら「TRANBI(トランビ)」
個人M&Aを成功させるためには、良質な案件といかに出会えるかが鍵となりますが、そこでおすすめなのが国内最大級の事業承継・M&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」です。
TRANBIの最大の特徴は、M&A仲介会社を介さずに、売り手である経営者と買い手が直接交渉できるシステムを採用している点にあります。
これにより、通常であれば数百万円かかることもある高額な仲介手数料を節約でき、その分の資金を買収予算や運転資金に充てることが可能になります。
また、ユーザー数は20万人を超え、全国各地から後継者不在の優良案件が集まっているため、条件に合う案件を探しやすい点が特徴です。
さらに、交渉の初期段階では匿名性を保持できるため、会社員であることを伏せたまま安心して理想の買収先を探せる点も、サラリーマンにとって大きなメリットと言えるでしょう。
サラリーマンの会社買収に関するよくある質問
最後に、会社買収を検討しているサラリーマンの方から多く寄せられる質問に対し、回答をまとめました。
不安や疑問を解消し、M&Aに向けた準備を進める際の参考にしてください。
経営未経験でも本当に大丈夫でしょうか?
現場を熟知した従業員が継続して勤務する体制であれば、経営未経験でも運営は可能です。
オーナーの役割は現場の実務をこなすことではなく、事業の改善点を見つけたり資金繰りを管理したりすることにあるため、従業員と適切な役割分担ができれば問題ありません。
買収資金の融資は個人でも受けられますか?
近年、日本政策金融公庫では事業承継・M&Aに活用できる融資制度(例:事業承継・集約・活性化支援資金)が充実してきています。
しっかりとした事業計画書を作成し、経営者としての資質を示すことができれば、個人であっても金融機関から融資を受けることは十分に可能です。
赤字が出た場合、個人の給与で補填することになりますか?
会社の資金(キャッシュ)が枯渇して支払いができなくなった場合、オーナーとして資金を注入する必要が出てくるため、個人の資産を持ち出す可能性はあります。
そうした事態を防ぐためにも、ギリギリの資金で買収するのではなく、買収価格とは別に、当面の赤字にも耐えられる余裕を持った運転資金を確保しておくことが極めて重要です。
まとめ
サラリーマンが会社を買うという選択は、以前ほど特別なものではなく、現代では現実的なキャリア形成や資産形成の手段のひとつになっています。
ゼロから事業を立ち上げるリスクを回避し、既存の資産を活用して経営者としての時間を手に入れる「個人M&A」は、あなたの人生を大きく変える可能性を秘めています。
もちろん、そこには資金的なリスクや経営上の難しさも存在しますが、正しい知識を持ち、適切なプロセスを踏めば、それらは十分にコントロール可能なものです。
まずはマッチングサイトなどを活用して実際の案件情報に触れ、自分にはどのような会社が買えるのかを知ることから、「リスクを抑えた賢い一歩」を踏み出してみてはいかがでしょうか。