M&A業界の動向は?代表的な業態やサービス、今後の動きを解説

M&A業界の動向は?代表的な業態やサービス、今後の動きを解説

中小企業・小規模事業者のM&Aが増加しています。ここ数年は事業承継型のM&Aが注目されており、国を挙げて環境整備も進んでいます。M&Aが活発化する背景には何があるのでしょうか?今後のM&A業界の動向や支援機関についても解説します。

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M&A業界の最新動向

M&A(Mergers and Acquisitions)は『企業の合併と買収』を意味する言葉です。ここ数年の間、「ビジネスシーンでM&Aをよく耳にするようになった」という人も多いのではないでしょうか?

それもそのはずで、国内のM&A件数は過去最高を記録しており、中小企業や個人事業主の間でも重要性が認識され始めています。

国内のM&A件数は順調に増加

M&A先進国のアメリカに比べ、日本のM&A件数は決して多くはありません。しかし近年は、国内の中小企業によるM&Aが増えており、2021年のM&A成約件数は過去最高の4,280件を記録しました。この数字は、1985年(約260件)のおよそ16倍です。

レコフデータの調査によると、M&Aの成約件数は2011年を底に2012年以降、ほぼ右肩上がりで推移しています。2020年は新型コロナウイルスの影響で件数がやや減ったものの、大きな落ち込みはありませんでした。事業承継型のM&Aを中心に、今後も堅調に推移すると考えられます。

参考: グラフで見るM&A動向 : M&A情報データサイト | レコフデータ運営のマールオンライン

M&A関連会社の現状

中小企業や個人事業主のM&Aが増加するのに伴い、M&A関連会社の数も増えています。M&A関連会社とは、M&A仲介業者やファイナンシャル・アドバイザー(FA)をはじめとするM&A支援機関を指します。

中小企業庁では、M&A支援機関に関する登録制度を創設し、2021年8月24日~9月21日の期間に公募を行いました。登録された業者は全2,278件で、種類別の内訳は以下の通りです(一部抜粋)。

  • M&A専門業者(仲介):544件
  • 士業等専門家(税理士):517件
  • M&A専門業者(FA):394件
  • 士業等専門家(公認会計士):233件
  • 地方銀行:75件
  • 信用金庫・信用組合:50件
  • 士業等専門家(弁護士):39件
  • M&Aプラットフォーマー:16件

参考: M&A支援機関登録制度に係る登録ファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者の最終公表について|中小企業庁

参考: 別紙1 登録状況について(10月15日現在)|中小企業庁

M&A業界の代表的な業態

M&Aの経験があっても、案件探しから最終契約まで自社のみで行うのは大変です。企業や個人のM&Aをサポートする、代表的な支援機関やサービスについて理解を深めましょう。

M&A仲介業者

M&A仲介業者は、売り手と買い手の両方と契約を結びます(両手取引)。ニーズが合致する企業同士を引き合わせたり、両者の言い分を調整したりして、交渉がスピーディーかつ円満に進むように尽力するのが役目です。

仲介という言葉の通り、どちらか片方の期待だけに応えることはありません。条件交渉に関与しすぎると利益相反につながるため、基本的には『マッチング』や『手続きのアドバイス』などをメイン業務とするケースが多いでしょう。

ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)

ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(以下FAS)では、FAがM&Aの業務全般をサポートします。

具体的には、戦略の立案や交渉、契約書の作成などの場面において、利用者にさまざまな助言を行います。FAには、税務・財務・法務などの専門知識のほか、高いコミュニケーション能力や交渉力が求められるのです。

仲介業者と混同されやすいですが、FAは仲介業務を行いません。売り手・買い手のいずれかと契約をし、契約者の利益が最大化するように尽力します。

銀行や証券会社

M&Aを実行する際にはまとまった資金が必要になるため、経営者は最初に金融機関に相談するケースが多いでしょう。

大手金融機関では、『融資』と『M&Aアドバイザリー業務』の二つのサービスを提供しているのが一般的です。

主な業務は融資ですが、金融機関によってはM&Aの専門部署があり、経験豊富なアドバイザーが在籍しています。金融機関の強みであるネットワークの広さを活用し、さまざまな助言をしてくれるでしょう。

M&Aマッチングサービス

M&Aマッチングサービスは、買い手と売り手をつなぐオンライン上のプラットフォームです。仲介業者が間に入らないケースが多く、多額の手数料が発生しないのが特徴です。そのほかに、以下のようなメリットがあります。

  • 案件数が充実している
  • 24時間365日いつでも利用できる
  • 売り手(買い手)に直接アプローチできる
  • 1,000万円以下の小規模案件も多い

なお、サービスには専門的なサポートが含まれていないため、煩雑な交渉や契約の際には専門家に協力を依頼しましょう。

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どういったサービスを受けられる?

M&Aの支援機関では、M&Aを検討している人に対してどのようなサービスを提供しているのでしょうか?一部の業務に特化する場合もあれば、プロセスをフルサポートしてくれる機関もあるため、業務範囲をよく把握しておきましょう。

M&A案件のマッチング

マッチング(matching)には『組み合わせる』という意味があります。M&Aにおけるマッチングとは、売り手と買い手の希望を聞いた上で、それぞれにふさわしい相手を探すことです。

M&A仲介業者や金融機関、M&Aマッチングサービスなどは、豊富なデータとネットワークを有しています。各サービスを活用することで、案件の開拓がスピーディーに進むでしょう。

国が設置する相談窓口『事業承継・引継ぎ支援センター』や、政策金融機関の『日本政策金融公庫(日本公庫)』でもマッチングを支援しています。

M&Aマッチングサービスの場合、希望する相手の条件(地域・業種・取引規模など)を検索画面で絞り込めます。

 事業承継・M&A売却案件一覧|トランビ 【M&Aプラットフォーム】
案件一覧
事業承継・M&A売却案件一覧|トランビ 【M&Aプラットフォーム】

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契約のサポートとスキームの提案

M&Aを自社に有利に進めていくには、経営はもちろん、税務・財務・法務などの専門知識が必要です。取引規模が大きくなればなるほど、専門家の支援は欠かせないものとなるでしょう。

M&A仲介業者や金融機関、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)では、スキームの提案や交渉・契約手続きのサポートなどが受けられます。スキームとは、M&Aを実行するための手法のことです。中小企業のM&Aでは『株式譲渡』と『事業譲渡』が多く用いられます。

経営への影響や税金の負担、手続きのプロセスはスキームごとに異なるため、自社にとってベストな選択をしなければなりません。M&Aスキームの種類と特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。

 M&Aスキームごとの特徴と目的を確認。実際の取引事例も紹介
手法
M&Aスキームごとの特徴と目的を確認。実際の取引事例も紹介

M&Aでは目的によってスキームを使い分けます。スキームごとの特徴を把握し、どのようなシーンに適するのかチェックしましょう。加えて、使用する際の注意点や、実際の取引でよく用いられるスキームも紹介します。

デュー・デリジェンス(DD)

デュー・デリジェンス(以下DD)とは、買い手が売り手に対して行う事前調査です。売り手の企業価値やリスクの有無を知るため、専門家の協力の下で以下のようなさまざまな調査を行います。

  • 事業DD
  • 財務DD
  • 法務DD
  • 税務DD
  • 人事DD

例えば税務DDは、公認会計士や税理士、経営コンサルティング会社などが担当します。M&A仲介業者を利用した場合、DDに精通した専門家を紹介してもらえるのが通常です。

M&A仲介業者やFAは成約をサポートするのが役目なので、困ったときは遠慮なく相談しましょう。デュー・デリジェンスの進め方や費用は、以下のコラムを参考にしてください。

 デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など
手法
デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など

M&Aの最終合意に至る上で、デュー・デリジェンス(DD)は欠かすことのできない重要なプロセスです。資金に限りのある中小企業や個人事業主は、何をどのように実行すればよいのでしょうか?DDの種類や費用、期間について理解を深めましょう。

今後のM&A業界はどうなる?

国内のM&A件数は、増減を繰り返しながらも全体的には増加傾向にあります。今後は、M&Aが中小企業や個人事業主の間でさらに普及し、企業や事業の売買が当たり前な時代になるかもしれません。

M&Aによる第三者承継の増加

少子高齢化や人口減少により、国内市場は年々縮小しています。企業として利益を上げ続けるには、今までとは異なる視点の戦略が必要です。今後は、買収に抵抗感を持つ中小企業が減り、成長戦略としてのM&Aが当たり前になると考えられます。

また、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は2025年までに約245万人に達する見込みですが、その半数は後継者が決定していません。後継者不足で中小企業の廃業が増えれば、日本経済の衰退は免れないでしょう。

中小企業庁では『事業承継ガイドライン』を掲げ、M&Aによる第三者承継を推進しています。M&A環境の整備が着々と進んでおり、今後はスモールM&Aのニーズが増えると予想されます。

参考:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題|中小企業庁

各業界のM&Aの動向は?

M&Aの動向は業界・業種によっても異なります。ここでは、国内でとくに注目されている業界をいくつかピックアップして、それぞれの動向について解説します。

IT業界

IT業界では技術革新が進むとともに、IT業界全体での労働人口不足が懸念されています。経済産業省の発表によれば、2030年にはおよそ79万人ものIT人材が不足するとの予測も発表されているのです。

そうした需要の高まり、人材不足の解消手段として、M&Aを選択する経営者も増えています。システムやソフトウェアの開発・運営はチーム単位で管理しているケースも多く、チームごと売買できるのは、経営者にとって大きなメリットがあるためです。

DX化・多層化が進むIT業界では、今後もM&Aの需要は増え続けることが予想されます。

調剤薬局

元々日本では、医師が薬を処方する診療方式が一般的でしたが、医薬分業が進み、現在では病院と調剤薬局が分けられるのが一般的となっています。それに伴い、調剤薬局の分野は近年大きな成長を遂げてきました。

大手調剤薬局チェーンやドラッグストアが躍進しているものの、個人経営の薬局もまだまだ多く、調剤薬局の後継者不在問題や薬価改定や調剤報酬改定に対応するために、M&Aによる事業拡大を行う調剤薬局チェーン店も増えています。

また今後は、コンビニエンスストアや家電量販店なども調剤薬局を出店するケースが増加することが予想されており、M&Aが活性化する見通しです。

不動産

2010年のリーマンショックにより、不動産市場は大きく落ち込みました。2020年の東京オリンピックなどにより回復の兆候は見せ始めているものの、コロナウイルスの影響や労働人口の減少などもあり、業界全体としては縮小傾向にあると言えます。

そうした中、不動産業界におけるM&Aの件数は、ピーク時と比べると減少しているものの、近年は比較的増加傾向にあります。その要因としては、不動産テックの波により法人数が増え続けていることや、既存不動産法人の後継者不足、利益確保のためにM&A需要がある点です。

今後もM&A件数は増加が予想されますが、景気に左右されやすいため減少に転じることもあるでしょう。

食品

食品業界の会社は、食材・原料の供給を行う素材型と、食材や原料を加工して販売・出荷する加工型の会社に分けられます。

近年の円高や原料高騰を受けて、素材型の会社は厳しい状況が続いているようです。しかしながら、コストの削減やスケールメリットのため、また加工品を製造するノウハウの獲得・事業買収のためにM&Aを行うケースも見られます。

加工型の会社も、事業の多角化を進めるためのM&Aや、海外進出のためにM&Aを活用する傾向にあるようです。

個人商店や小規模な会社では、経営者の高齢化による事業継承のためのM&Aも行われています。また、健康志向ブームが続く中で健康食品を扱う会社がM&Aを行うといったケースも増えています。

物流

物流業界は輸送・運送だけではなく、商品在庫の保管や仕分け、検品などの幅広い業務があります。とくに近年は、ECショップや個人向け通販の利用が増えたことで、宅配便の利用が物流業界の活性化を後押ししています。

物流業界の法人数自体は、長期で見ると増加の傾向にあります。その理由は、1990年に運送・物流業界の規制が緩和されたことで登記しやすくなったことが挙げられるでしょう。

一方で、法人が増えたことによる競争の激化と、ドライバー不足や長時間労働といった問題に悩まされる企業は少なくありません。事業継承の問題もあり、M&Aの件数は増加傾向にあります。

まとめ

M&Aは会社の乗っ取りや身売りではなく、さまざまな経営課題を解決するための手段の一つです。「M&Aに興味はあってもなかなか一歩が踏み出せない」という企業や個人は、国が設置する相談窓口などで一度話を聞いてみるのがよいでしょう。

今後は事業承継型のM&AやスモールM&Aが増加すると予想されます。「実際にどのようなM&Aが行われているの?」と興味を持った人は、TRANBIの成功・成約実績や成功事例インタビューをチェックしてみましょう。業界の実態や経験者のリアルな声が分かります。

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