休眠会社の買取方法は?活用メリット・相場・注意点を徹底解説

休眠会社の買取方法は?活用メリット・相場・注意点を徹底解説

休眠会社の買取方法をわかりやすく解説。低コストで法人格・許認可・社歴を活用できるメリットから、簿外債務・税務リスクなどの注意点、価格相場、デューデリジェンスや契約手続きの流れまで網羅。リスクを避けながら事業を迅速に立ち上げたい企業のための実践ガイドです。

目次
休眠会社の買い取りにはリスクがつきもの?おすすめの案件の探し方
用語説明
休眠会社の買い取りにはリスクがつきもの?おすすめの案件の探し方

事業を停止している休眠会社を買い取ると、具体的にどんなものが手に入るのでしょうか?休眠会社を選び買収する理由や、デメリットを見ていきましょう。買収できる休眠会社を探す方法や、事業を再開するために必要な手続きも確認します。

後継者のいない会社を買うリスクは?事業承継で廃業を回避する
事業承継
後継者のいない会社を買うリスクは?事業承継で廃業を回避する

M&Aには『後継者のいない会社を買う』という選択肢があります。昨今の日本は、黒字経営でありながら、後継者が見つからずに廃業を余儀なくされる中小企業が多いのが現状です。事業承継に悩む企業を買収する意義や、売り手の見つけ方を解説します。

「休眠会社を買い取って、新規事業を迅速に立ち上げたい」「法人設立の手間やコストを削減できる方法はないか」とお考えの企業経営者やM&A担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

休眠会社の買取は、許認可や社歴をそのまま活用でき、新規設立よりも低コストかつ短期間で事業を始められる方法です。
一方で、簿外債務や税務上の問題など、見落としやすいリスクがある点には注意が必要です。本記事では、休眠会社の買取のメリット・デメリット、相場、手続きの流れ、注意点をわかりやすく解説します。

最後までお読みいただくことで、休眠会社の買取の全体像を理解し、リスクを避けながら事業をスムーズに始めるための判断材料としてご活用いただけます。ぜひ本記事を参考に、貴社のM&A戦略にお役立てください。

休眠会社の買取とは?概要と需要

休眠会社とは、登記簿上は存在しているものの、一定期間事業活動を行っていない会社のことです。休眠会社の買取とは、休眠状態の会社を主に株式譲渡で取得するM&A手法です。

主な目的は、新規設立に比べて時間とコストを抑えられる点にあります。具体的には、定款認証や設立登記といった手続きが不要なため「迅速」であり、登録免許税や専門家への設立報酬が発生しないため「低コスト」で法人格を取得できます。
特に、許認可の取得が困難な業種(例:建設業、宅地建物取引業、古物商など)への新規参入や、公的機関の入札参加に必要な社歴(実績)の獲得を目指す場合に、休眠会社の活用は非常に有効な戦略となります。

近年、M&A市場の活性化に伴い、こうした実務的なメリットを求めて休眠会社を買い取りたいというニーズは、企業経営者やM&A担当者の間で高まっています。

M&Aとは?基本知識から種類やメリット、成功のポイントなどを解説
手法
M&Aとは?基本知識から種類やメリット、成功のポイントなどを解説

後継者不在の解決や新規事業の加速に——いま、M&Aを活用する企業が急増中。事業承継・株式譲渡・事業譲渡の違いや、成功事例・メリット・進め方までをわかりやすく紹介します。

休眠会社の買取のメリット

休眠会社の買取には、コストを抑えつつ事業開始を早められるなど、さまざまなメリットがあります。
これらを正しく理解し活用することが、M&Aを成功させるうえで重要です。

ここでは、代表的な5つのメリットを順に見ていきます。

メリット①:安価な価格で法人取得が可能

最大のメリットは、法人取得の初期コストを抑えやすい点です。株式会社を新規設立する場合、定款認証手数料(約5万円)、登録免許税(最低15万円)、その他諸費用で、少なくとも20万円以上の実費が発生します。

一方、休眠会社は事業実態がないため、価格は主に純資産や許認可の価値で決まります。その結果、10万円から50万円程度で売買される例も多く、初期投資をできるだけ小さく始めたい場合に向いています。

メリット②:許認可・社歴・法人格の活用

休眠会社が保有している許認可は、条件を満たせば買収後も引き継げる場合があります。

許認可を一から取得すると数カ月かかることも多いため、事業開始までの時間を大きく短縮できる点は大きなメリットです。例えば、建設業許可や宅地建物取引業免許、古物商許可、旅行業登録などは、新規取得のハードルが高い代表的な例です。
これらを既に保有する休眠会社を買収すれば、その期間を丸ごと短縮できます。また、長い社歴そのものが信用力につながることもあります。「設立したばかりの会社」よりも「設立から年数が経っている会社」の方が、融資や入札、与信審査で有利になるケースが少なくありません。

新設法人では得にくい「時間による信用」をまとめて取得できる点も、休眠会社を活用するメリットと言えます。

メリット③:事業の即時立ち上げ・再開

新規で法人を設立する場合、前述の通り、登記申請や各種届出の完了までに数週間を要することもあります。

休眠会社を買収すれば、法人格はすでにあるため、役員変更や事業目的の変更などの登記を行うだけで事業を開始できます。
M&A戦略の一環として、あるいは新規プロジェクトの迅速な立ち上げ(スモールスタート)や、既存事業の再生を図る上でも、この「すぐに動ける」というスピード感は大きな武器となります。

メリット④:銀行口座・各種契約を引き継げる可能性

休眠会社が維持している法人口座や、オフィス・車両のリース契約、賃貸借契約などをそのまま引き継げる場合があります。

特に法人口座の開設は、近年、反社会的勢力の排除やマネーロンダリング防止の観点から審査が非常に厳格化しており、新設法人が口座を開設するまでに数週間かかるケースも珍しくありません。
すでにある口座や契約を活用できれば、実務上の負担を減らせます。ただし、代表者変更に伴う名義変更手続きや、契約相手方(銀行やリース会社など)による再審査が必要となる場合がほとんどであるため、事前の確認は不可欠です。

メリット⑤:資本金・決算履歴を活用できる

休眠会社に既存の資本金がある場合、それを元手に事業を開始できます。新設法人のように、発起人が資本金を払い込む手間と資金移動が不要になります。
また、赤字決算を含めて過去の決算書があること自体が、「実際に活動していた会社」であることを示す材料になる場合があります。例えば、数年間の決算書が存在すること自体が、金融機関や取引先に対して「ペーパーカンパニーではない」という一定の証左になる場合があります。

新設法人と比較して、過去の実績があることは、新規取引先の開拓においてもスムーズに進みやすい要因となり得ます。

M&A戦略はなぜ重要?自社の課題や目的、資金調達方法の整理を
手法
M&A戦略はなぜ重要?自社の課題や目的、資金調達方法の整理を

M&A戦略は、経営戦略と事業戦略に基づいて策定します。目標を明確にした上で、M&A成立後の経営統合プロセスも含めた戦略を練りましょう。戦略策定に役立つ自社分析のフレームワークや、ターゲット選定のポイントも解説します。

M&Aの買い手の目的は?メリット・デメリットと流れを徹底解説!
事業承継
M&Aの買い手の目的は?メリット・デメリットと流れを徹底解説!

自社の成長戦略としてM&Aの成功の鍵は、目的を明確にし、相乗効果が見込める相手を選び、手順に沿って着実に進めることです。M&Aにおける買い手の主な目的等を明確にし、M成長を加速させる具体的な第一歩を踏み出しましょう。

休眠会社の買取のデメリット・注意点

多くのメリットがある一方、休眠会社の買取には見落としやすいリスクもあります。価格が安い背景を理解しないまま進めてしまうと、買収後に思わぬトラブルが発生するおそれもあります。
ここでは、特に注意すべき5つのデメリットとリスクについて解説します。

デメリット・注意点①:簿外債務・未払税金リスク

最も注意すべきなのは、帳簿に載っていない債務(簿外債務)や、未払いの税金・社会保険料が残っているリスクです。

休眠前の取引に伴う買掛金や未払費用、リース残債、従業員への未払給与・退職金などが、買収後に判明するケースもあります。また、過去の経営状態によっては、金融機関のブラックリストに登録されている可能性も否定できません。
こうしたリスクを避けるには、法務・財務・税務の専門家によるデューデリジェンス(買収監査)を行うことが不可欠であり、省略すべきではありません。

デメリット・注意点②:青色申告承認取消等の税務リスク

法人が休眠状態に入り、2事業年度連続して期限内に確定申告書を提出していない場合(無申告または連続した期限後申告を含む)、税務署によって青色申告の承認が取り消されている可能性があります。

青色申告は、欠損金(赤字)の繰越控除や各種税額控除などの優遇を受けられる制度です。承認が取り消されていると、過去の赤字と将来の黒字を相殺するといった節税策が使えず、資金繰りに影響する場合があります。そのため、事業再開前に税務上のステータスを確認しておくことが重要です。

デメリット・注意点③:譲渡価格の低さ・売却益が限定的

これは主に売り手側の視点ですが、買い手側も価格交渉のために理解しておくべき点です。休眠会社は事業実態がなく、将来的な収益性(いわゆる「のれん」や「営業権」)も評価されないため、保有する純資産(資産から負債を引いた額)や許認可の価値が、そのまま評価額となります。

そのため、譲渡価格は低くなりがちで、売り手が得られる売却益は限定的です。また、許認可に有効期間が設定されている場合(例:建設業許可は5年ごと)、残り期間が短いと評価額はさらに低くなる傾向があります。

デメリット・注意点④:表明保証・契約条項で責任を明確化

買収後に簿外債務や未発覚の訴訟リスクなどが顕在化した場合に備え、買い手側は自身を守る手立てを講じる必要があります。そのために最も重要なのが、M&Aの最終契約書における「表明保証条項」です。

表明保証条項とは、売り手が会社の法務・財務・税務などに関する情報が真実であり、隠れた債務がないことを約束する仕組みです。もし買収後にこの約束と異なる事実が見つかった場合、買い手は契約に基づき損害賠償を請求できます。そのため、リスクヘッジの観点から非常に重要な条項と言えます。

デメリット・注意点⑤:事業再開時の手続き負担が大きい

休眠会社は、その名の通り「眠っている」状態です。法的には存在していても、行政機関などには「活動停止中」として扱われています。

事業を再開するためには、まず税務署や都道府県税事務所、市町村役場へ「異動届出書」(事業再開の届出)を提出する必要があります。また、法務局での役員変更登記は必須であり、事業目的に変更があればそれも登記します。
社会保険事務所への手続きや、場合によっては許認可の再取得・変更手続きも発生します。こうした手続きには時間と手間がかかるため、買収価格だけでなく、事業再開にかかるコストもあらかじめ見込んでおくことが重要です。

簿外債務の危険性とは?買い手が把握しておかなければならない理由
用語説明
簿外債務の危険性とは?買い手が把握しておかなければならない理由

簿外債務とは、帳簿に記載されていない債務です。M&Aで中小企業を買収する際には、特に簿外債務に注意しましょう。M&A完了後に簿外債務があると判明し、思わぬ損害を被るケースもあります。簿外債務の具体例や損害を防ぐ方法を確認しましょう。

M&AにおけるDDとは何か?買収監査の手順、種類、注意点を解説
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M&AにおけるDDとは何か?買収監査の手順、種類、注意点を解説

『DD』とは、M&Aにおける買収監査を指します。買い手は最終決定を下す前に、買収対象会社が重大なリスクや問題を抱えていないかを調査する必要があるでしょう。DDの手順や、問題が発覚した際の対処法についても解説します。

休眠会社の買取の流れ

休眠会社の買取を成功させるためには、正しいステップを踏みながら、慎重に進めることが大切です。案件探しから事業開始までの流れには、一般的なM&Aプロセスとは異なる休眠会社特有のポイントもあります。
ここでは、休眠会社の買取の具体的な流れを、5つのステップに分けて解説します。

STEP①:相場比較・案件リサーチ

まずは、どのような休眠会社が市場に出ているか情報を収集します。「休眠会社 一覧」「休眠会社 買いたい」などのキーワードで検索し、M&A仲介業者のウェブサイトや、TRANBI(トランビ)のようなM&Aプラットフォームを活用すると効率的です。

自社が必要とする業種の許認可の有無、希望する社歴、予算、活動地域などを明確にし、候補となる案件を絞り込みます。この段階で、複数の案件を比較し、おおよその相場感を掴んでおくことも、後の交渉のために重要です。

M&Aマッチングサイトの特徴は?利用するメリットや注意点を解説
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M&Aマッチングサイトの特徴は?利用するメリットや注意点を解説

M&Aの相手を見つける上で、顧問税理士や取引先の金融機関などに相談する方法や、仲介業者に依頼する方法などがあります。しかし近年は、M&Aマッチングサイトの利用が広まっています。マッチングサイトのメリットや注意点を知っておきましょう。

STEP②:デューデリジェンス

候補案件が見つかり、売り手と基本的なコンタクトが取れたら、徹底的なデューデリジェンス(買収監査)を実施します。これは、休眠会社M&Aの中でも特に重要なステップです。
特に休眠会社の場合、前述の簿外債務や未払税金、税務上のステータス(青色申告の有無など)の確認が最優先事項です。

登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の取得、過去の決算書や申告書(最低でも直近3〜5年分)の精査、許認可の有効期限とステータスの確認などを進めます。

反社会的勢力との関わりの有無や、主要な取引先・金融機関との過去の関係性も確認し、大きなリスクがないかを慎重に見ていきます。
このプロセスは高度な専門知識が必要となるため、公認会計士や弁護士、税理士など外部専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など
手法
デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など

M&Aの最終合意に至る上で、デュー・デリジェンス(DD)は欠かすことのできない重要なプロセスです。資金に限りのある中小企業や個人事業主は、何をどのように実行すればよいのでしょうか?DDの種類や費用、期間について理解を深めましょう。

財務デュー・デリジェンスの調査内容や必要性とは。主な二つの役割
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財務デュー・デリジェンスの調査内容や必要性とは。主な二つの役割

財務デュー・デリジェンスとは、買い手が対象企業の財務状況や資金繰りを調査することです。最終契約の締結前に行われるのが一般的で、簿外債務などの財務リスクを洗い出します。財務デュー・デリジェンスの意義や調査内容について解説します。

STEP③:条件交渉・基本合意

デューデリジェンスで大きな問題が発見されなかった場合(あるいは発見された問題を価格に反映する前提で)、売り手側と具体的な条件交渉に入ります。
譲渡価格はもちろんのこと、引き継ぐ資産や負債の範囲、従業員(もし存在する場合)の処遇、譲渡のスケジュールなどを詳細にすり合わせます。
交渉がまとまった段階で、主要な合意事項を「基本合意書(LOI:Letter of Intent)」として文書化します。

一般的に、基本合意書は法的拘束力を持たない(または一部のみ持つ)形で作成されることが多いですが、最終契約に向けた交渉の土台を整え、お互いの認識のズレを防ぐ役割を果たします。

M&Aにおける基本合意書とは。必要になる理由とタイミングを確認
用語説明
M&Aにおける基本合意書とは。必要になる理由とタイミングを確認

基本合意書は、売り手と買い手との間で交わす合意文書です。合意形成を図るほか、M&Aのスケジュールを確認したり、買い手の交渉力を強化したりする役目もあります。基本合意書を交わすタイミングや他の契約書との違いを解説します。

M&Aで取り交わすLOIとは何か。記載内容や法的拘束力を解説
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M&Aで取り交わすLOIとは何か。記載内容や法的拘束力を解説

M&Aの交渉初期で取り交わされる『LOI』は、基本的な合意内容や価格を定めた仮の契約書です。独占交渉権や秘密保持義務の条項には法的効力があるため、条件をよく確認する必要があります。記載すべき事項や作成方法について解説します。

STEP④:契約・買取手続き

基本合意に基づき、M&Aの最終契約である「株式譲渡契約書(SPA:Stock Purchase Agreement)」を締結します。これが、法的に両者を拘束する本契約です。

この契約書には、デューデリジェンスの結果や交渉内容を全て反映し、特に表明保証条項を詳細に盛り込むことが、買い手のリスク管理上、極めて重要です。
契約締結後、買い手は譲渡代金を支払い、売り手は株券(発行している場合)や印鑑証明書、会社の重要書類(定款、議事録、印鑑カードなど)一式を引き渡します。これをクロージングと呼びます。
法務局での登記手続き(役員変更など)や、債務・資産の引継ぎに関する実務もこの段階で進めます。

M&Aの株式譲渡ではSPAの作成が必須。作成のポイントを確認
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M&Aの株式譲渡ではSPAの作成が必須。作成のポイントを確認

M&Aで出てくる『SPA』とは、株の相対取引で締結される株式譲渡契約書のことです。契約書には、交渉で合意した内容のほかに株主名簿の書換やクロージング条件、表明保証などを細かく盛り込む必要があります。作成時のポイントや注意点を解説します。

表明保証の主な三つの目的とは。内容、リスク回避で重要なポイントも
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表明保証の主な三つの目的とは。内容、リスク回避で重要なポイントも

M&Aにおける表明保証は、主に買い手を保護する目的で最終契約書に記載される条項です。内容を正しく理解しておけば、安心してM&Aを進められるでしょう。表明保証の役割や重要性を、主に買い手の視点から解説します。

STEP⑤:名義変更・各種届出・事業開始

クロージングが完了し、会社の登記上の代表者変更(役員変更登記)が完了したら、速やかに各種の名義変更と届出を行います。

税務署や自治体への事業再開の届出(異動届出書)、金融機関の口座名義変更、取引先への代表者変更の通知など、行うべき作業は多岐にわたります。許認可の変更届出や更新手続きも忘れてはなりません。
これらの手続きを全て完了させ、策定した事業計画に沿って、休眠会社を実動する事業体として本格的にスタートさせます。

M&Aの流れを11ステップで徹底解説!準備からPMIまで全手順と成功のポイント
事業承継
M&Aの流れを11ステップで徹底解説!準備からPMIまで全手順と成功のポイント

M&Aは大企業だけでなく、零細企業にとっても事業承継や成長戦略に有効な選択肢です。や具体的な手法、メリット・デメリット、成功に向けた進め方まで、網羅的に解説します。

M&Aの種類を徹底解説!目的別の選び方やスキーム比較ガイド
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M&Aの種類を徹底解説!目的別の選び方やスキーム比較ガイド

M&Aの手法についてお悩みはありませんか?自社の目的や状況に適したスキームの選択がM&Aを成功に導きます。判断基準を確立し、最適な手法でM&Aに臨みましょう。

休眠会社の買取の相場と市場動向

休眠会社の買取価格は、その会社が持つ資産や特性によって大きく変動します。安価な案件には魅力がありますが、価格差が生まれる背景を理解し、市場の動向を把握することが重要です。
ここでは、休眠会社の売買における相場観と価格決定の要因について解説します。

売買価格帯

休眠会社の売買価格は、市場では3万円程度から50万円前後で取引されるケースが多く見られます。
中には「1円」で譲渡される案件もありますが、これは実質的に簿外債務や何らかの負債の引継ぎが条件となっている(=買い手が負債を肩代わりする)場合が多いため、価格の額面だけで判断してはいけません。

一方で、価値の高い許認可(例:特定の建設業許可や医療法人格、広範なエリアをカバーする運送業許可など)を保有している場合や、優良な立地に不動産などの資産を保有している場合は、数百万から数千万円と高額になることもあります。

価格差を生む要素

価格を決める主な要因は、その会社が持つ価値です。具体的には、建設業や宅建業、運送業、医療法人、人材派遣業など、新規取得が困難な許認可の有無が最も大きな価格決定要素となります。
その他、繰越欠損金の額(将来の黒字と相殺できるため税務メリットがある)、保有資産(現金、不動産、有価証券など)、負債の有無と金額、社歴の長さ、そして買い手の新規事業への適合性などが総合的に評価され、価格が決定されます。

安価購入・激安案件探しの注意点

「10万円」といった安価な案件は、初期コストを抑えたい買い手にとって魅力的に見えます。
しかし、安価であることには理由があるケースが大半です。「価値ある許認可がすでに失効している」「多額の簿外債務が隠れている」「税務上の重大な問題(青色申告取消など)を抱えている」「過去の訴訟リスクがある」といったリスクが潜んでいる可能性が高くなります。

価格だけで判断せず、STEP②で解説したデューデリジェンスを、高額案件以上に慎重に行うことが大切です。
「購入費用を節約したつもりが、後から発覚した債務の支払いで何倍もの出費になった」という事態を避けるためです。

個人で後継者のいない会社を買う方法と注意点|メリット・デメリット・探し方を徹底解説
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個人で後継者のいない会社を買う方法と注意点|メリット・デメリット・探し方を徹底解説

個人で後継者不在の会社を買う方法を徹底解説。スモールM&Aの探し方・相場と資金調達、買収の流れ、DD・契約〜PMI、注意点と失敗回避を事例とQ&Aで網羅。

廃業する会社を買うメリット。選び方や注意点、会社の探し方を解説
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廃業する会社を買うメリット。選び方や注意点、会社の探し方を解説

後継者の不在によって廃業する会社は、比較的安価で買える可能性があります。買収で失敗しないためには、廃業する会社を買うメリットやリスクを理解しておくことが重要です。価格の決まり方や案件の探し方についても、理解を深めておきましょう。

休眠会社の買取の案件探しのポイント

休眠会社の買取のM&Aは、通常の事業承継とは異なる特有のリスクが伴います。
失敗を避け、価値ある買収を実現するためには、案件や仲介業者を慎重に選定する必要があります。
ここでは、失敗しないために押さえておくべき5つの重要なポイントを解説します。

① 許認可や登記情報が整った案件を選ぶ

買収の目的が許認可の取得である場合、その許認可が現在も有効であり、名義変更や更新が可能であることを必ず確認してください。管轄する行政庁への事前確認も有効です。

また、法務局で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得し、役員構成や資本金の状況、本店所在地などが正確に登記されているかを確認します。これは誰でも取得可能な公開情報であり、M&Aの検討における最初のステップです。
基本的な情報が整備されていない案件は、管理体制に問題がある可能性が高いため、慎重に検討する必要があります。

② 簿外債務や未納税金の有無を確認する

休眠会社M&Aにおける最大のリスクである簿外債務や未納税金の有無は、徹底的に調査する必要があります。これはデューデリジェンスの核となる部分です。
売り手からの情報提供だけに頼らず、公認会計士や税理士といった専門家を通じて、過去の決算書や勘定科目内訳書、税務申告書を精査し、少しでも疑わしい点があれば明確にする姿勢が重要です。

売り手の説明だけを鵜呑みにせず、税務署発行の納税証明書など客観的な資料に基づいて判断することが重要です。

③ 売り手情報と会社の履歴を詳細に調べる

なぜ会社を休眠させ、なぜ今売却しようとしているのか、その背景を理解することも重要です。
単なる「後継者不在」や「事業転換」といった理由であれば問題は少ないですが、「トラブルから逃れるため」といったネガティブな理由である可能性もゼロではありません。

売り手の信頼性や、会社の過去の事業内容、休眠に至った経緯などを詳細にヒアリングし、不自然な点がないかを確認します。過去にコンプライアンス違反や訴訟などを起こしていないかも、可能な限り調査すべきです。

④ 表明保証や契約条件が明確な業者を選ぶ

M&A仲介業者やプラットフォームを選定する際は、休眠会社の取り扱い実績が豊富かどうかを確認しましょう。
特に、リスクヘッジのための表明保証条項や契約条件の整備に関して、買い手側の立場に立って的確なアドバイスとサポートを提供してくれる業者を選ぶことが極めて重要です。

手数料の安さだけでなく、契約交渉のノウハウや、法務・税務の専門家との連携体制など、専門性と信頼性を見極めてください。信頼できる仲介会社は、売り手だけでなく買い手の利益も意識してサポートしてくれます。

⑤ 再開手続きやサポート体制を確認する

買収はゴールではなくスタートです。
買収後の実務(PMI:ポスト・マージャー・インテグレーション)が円滑に進まなければ、M&Aは成功とは言えません。
買収後の事業再開に必要な諸手続き(登記、税務届出、許認可変更など)をスムーズに進めるためのサポート体制が整っているかも、業者選びの重要なポイントです。

M&Aプロセスだけでなく、買収後の実務まで見据えた支援が期待できるパートナーを選びましょう。

株式譲渡とは?メリットデメリットから手続きのポイントまで紹介
手法
株式譲渡とは?メリットデメリットから手続きのポイントまで紹介

株式譲渡は中小企業のM&Aで多く用いられる手法です。手続き後は会社の経営権が買い手側に移りますが、会社自体は存続します。買い手と売り手にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?手続きの流れや譲渡所得税の計算方法も解説します。

M&Aでスピーディーに起業。予算、具体的な買収の方法を解説
具体的事例
M&Aでスピーディーに起業。予算、具体的な買収の方法を解説

M&Aを活用するとスムーズに起業しやすいでしょう。買収する対象会社の探し方や、買収に必要な準備について解説します。小規模なM&Aでよく用いられる、株式譲渡や事業譲渡の手法についても確認しましょう。買収後の失敗を防ぐ方法も紹介します。

休眠会社の買取に役立つおすすめサービス

休眠会社の買取を検討する際、自社だけですべてのプロセスを進めるのは困難であり、リスクも伴います。専門的な知見を持つサービスや専門家を活用することで、リスクを最小限に抑え、M&Aを円滑に進めることができます。
目的に応じて、以下のサービスを使い分けることを推奨します。

おすすめ会社・サービス①:M&Aプラットフォーム

近年、オンライン上でM&A案件を検索・マッチングできるプラットフォームが普及しています。
多くの休眠会社案件が掲載されており、「休眠会社 一覧」として比較検討するのに非常に便利です。

匿名での交渉開始や、相場観の把握、希望条件に合う案件のスクリーニング(絞り込み)に適しています。
TRANBI(トランビ)のような大手プラットフォームでは、多様な業種・価格帯の案件が見つかる可能性があります。
ただし、交渉やデューデリジェンスは当事者間で進める必要があり、自己責任の部分が大きくなる点には留意が必要です。

おすすめ会社・サービス②:専門アドバイザー(M&A・会計士・税理士)

休眠会社特有のリスクを回避するためには、専門家の力が不可欠です。
M&AアドバイザーやM&A仲介会社は、案件の発掘から交渉、デューデリジェンスの調整、契約手続きまでを一貫してサポートしてくれます。
特に、公認会計士や税理士は、デューデリジェンスにおける財務・税務リスクの洗い出し、資産状況の正確な調査において中心的な役割を果たします。契約書作成においては、M&Aに精通した弁護士の関与も重要です。

おすすめ会社・サービス③:許認可・法人格復活支援会社

買収の主目的が許認可の引継ぎである場合、その許認可の特性を熟知した専門家の支援が有効です。

建設業や運送業、医療・介護分野など、業種に特化した行政書士やコンサルティング会社は、許認可の引継ぎや法人格の復活に関する複雑な行政手続きを効率化し、確実な事業再開をサポートしてくれます。
M&A仲介業者と並行して、こうした専門家にも相談すると万全です。

M&Aのおすすめの相談先は?特徴や利用するメリットを解説
事業承継
M&Aのおすすめの相談先は?特徴や利用するメリットを解説

M&Aを検討している人の中には、誰に何を相談したらいいかで悩むケースも少なくありません。相談先によってサポート内容や料金、実績などが異なるため、目的に応じてうまく使い分けましょう。M&Aの相談先の一覧と、利用するメリットを紹介します。

M&Aの相談は誰に頼む?相談先の選び方・料金を徹底解説!
事業承継
M&Aの相談は誰に頼む?相談先の選び方・料金を徹底解説!

M&Aの成功は、自社の状況や目的に合う適切な相談先を見つけられるかに左右されます。自社の現状を把握し、M&A成功のパートナーとなる相談先を見つけることから始めましょう。

休眠会社の買取に関するよくある質問

休眠会社の買取を検討する上で、多くの経営者や担当者が抱く疑問があります。特にリスクや手続きに関する質問は多く寄せられます。
ここでは、よくある3つの質問について回答します。

10万円など激安案件はなぜ安い?リスクは?

10万円などの激安価格で売買される休眠会社には、安いなりの理由が存在します。
最も多い理由は、許認可がすでに失効している、あるいは価値のある資産を一切保有していない「法人格」だけが残っているケースです。

売り手にとっては、廃業コストをかけるよりは10万円でも売却したいという意図があります。リスクとしては、前述の通り、帳簿に載っていない簿外債務や未払税金、社会保険料の滞納が潜んでいる可能性が考えられます。
また、過去の代表者が反社会的勢力と関係していたなど、表面化しづらい重大なレピテーションリスク(風評リスク)を抱えている場合もあり、価格の安さだけで飛びつくのは非常に危険です。デューデリジェンスは必須です。

休眠会社買収後、許認可や社会的信用は維持できる?

許認可の維持は、その許認可の種類や管轄する行政庁の規定によります。「法人が持つ許可」なのか「経営者が持つ許可」なのかによっても異なります。
多くの場合、代表者や役員の変更、本店の移転などを行った際には「変更届出」が必要です。
これを怠ると許可が取り消されることもあります。有効期限が切れている場合は、当然ながら再取得が必要です。社歴(社会的信用)については、法人格自体は存続するため、設立年月日(=社歴)を引き継ぐことは可能です。

ただし、休眠期間が長いことが信用情報機関などでマイナスに評価される可能性もあり、社歴が即座に高い信用につながるとは限らない点に注意が必要です。結局のところ、信用は買収後の事業運営によって再構築していくものです。

売買後に必要な手続き・注意すべき税務対応は?

売買後(=株式譲渡後)、まずは法務局で役員変更の登記申請を行います。これは会社法で定められた義務です。
その後、税務署、都道府県税事務所、市町村役場に「異動届出書」を提出し、事業を再開した旨を届け出ます。社会保険事務所(年金事務所)にも、役員変更や事業再開の手続きが必要です。

税務上の注意点として、休眠期間中に青色申告の承認が取り消されていないかを確認することが最重要です。
もし取り消されている場合、事業再開後に再度、期限内に青色申告の承認申請を行う必要があります。
また、デューデリジェンスで見落とした未納税金がないか、税務署に「納税証明書(その3の3など)」を請求して最終確認することも有効な手段です。

まとめ

休眠会社の買取は、新規設立にはない「低コスト」「迅速な事業開始」「許認可・社歴の活用」といった大きなメリットがあり、事業拡大の有効な戦略です。
しかし本記事で解説した通り、「簿外債務」や「税務リスク」といった重大なデメリットも潜んでいます。これらのリスクを回避するには、徹底したデューデリジェンスが不可欠です。

こうした休眠会社の売買ニーズと、リスクを理解した上での効率的な案件探しを両立させる場として、M&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」の活用をおすすめします。
TRANBIには、許認可付きの案件から安価な法人格まで、多様な休眠会社案件が掲載されています。
本記事の内容を参考に、TRANBIをはじめとしたM&Aプラットフォームで、自社の戦略に合う案件を検討してみてください。

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