フィットネスジムのM&A完全ガイド|相場・流れ・成功のポイントを徹底解説
フィットネスジムのM&Aについて、業界動向や相場、売却価格の考え方、買い手・売り手それぞれのメリット・注意点、成功のポイントまでを網羅的に解説。スポーツジム、パーソナルジム、ピラティス事業の承継を検討する方に役立つ実務ガイドです。
- 05 フィットネスジムのM&Aの流れ
- STEP1:戦略・目的の整理
- STEP2:案件探し・情報収集
- STEP3:交渉開始・秘密保持契約(NDA)
- STEP4:基本合意の締結
- STEP5:デューデリジェンス(詳細調査)
- STEP6:最終契約締結
- STEP7:クロージング・PMI(引き継ぎ)
- フィットネスジムM&Aは「引き継ぎ」が成功の鍵
- 06 フィットネスジムのM&A成功のポイント
- ① オーナー依存度をできるだけ下げておく
- ② 会員データ・収益構造を「見える化」する
- ③ スタッフの引き継ぎを最優先で考える
- ④ 立地・契約条件を冷静に見直す
- ⑤ PMI(引き継ぎ期間)を軽視しない
- ⑥ 売り手・買い手双方が「ゴール」を共有する
- フィットネスジムM&Aは「人と仕組み」がすべて
- 07 TRANBIを活用したフィットネス・スポーツジムのM&Aの事例
- 人を活かすM&Aという選択。フィットネスジム事業承継のリアル
- 初期費用を抑えた判断が鍵。個人でも挑戦できる事業買収の実例
- 300万円の個人M&Aで実現した、ジム事業承継の成功事例
健康志向の高まりを背景に、フィットネスジムやスポーツジム、パーソナルジム、ピラティススタジオなどの需要は年々拡大しています。
24時間ジムやセルフ型、オンライン指導を組み合わせた業態も増え、フィットネス業界は多様化と競争が同時に進むフェーズに入っています。
一方で、設備投資や人件費、維持費といった固定コストの重さ、オーナー自身の年齢やライフステージの変化を背景に、「この先も今の形で続けられるのか」「事業をどう引き継ぐべきか」と悩む経営者も少なくありません。
こうした中で注目されているのが、フィットネスジムを対象としたM&Aです。
M&Aは、大手企業だけの選択肢ではなく、個人経営や小規模ジムにとっても、成長戦略や事業承継の現実的な手段として広がりつつあります。
本記事では、フィットネス業界の現状を踏まえながら、M&Aの相場や流れ、買い手・売り手それぞれのメリットと注意点、成功のポイントをわかりやすく解説します。
フィットネス業界の現状
フィットネス業界は、日本において中長期的に安定した需要が見込まれる分野のひとつです。
背景にあるのは、単なるブームではなく、社会構造そのものの変化です。
まず大きいのが、健康志向・健康維持意識の定着です。
高齢化の進展により「病気になってから治す」よりも、「日常的に体を動かし、健康を維持する」考え方が一般化しました。これは若年層だけでなく、シニア層にも広がっています。
経済産業省が公表している「特定サービス産業動態統計調査」においても、スポーツ・フィットネス関連サービスは、コロナ禍の影響を受けつつも回復基調にあり、生活インフラに近いサービスとして位置づけられつつあります。
業態の多様化が進むフィットネス市場
一口にフィットネスジムと言っても、現在の業界は非常に細分化されています。
従来型の総合スポーツジムは、トレーニングジムに加えてスタジオプログラムや屋内プールを備え、幅広い年齢層をターゲットにしてきました。
一方で、こうした大型施設は、設備投資額や維持費が高く、運営の難易度も高いという側面があります。
これに対し、近年成長しているのが以下のような業態です。
- パーソナルジム
マンツーマンの専門指導を売りにし、高単価・高付加価値を実現しています。短期間で成果を求める層に支持される一方、トレーナー個人のスキルや集客力に依存しやすい点が特徴です。 - ピラティス・専門特化型スタジオ
女性やシニア層を中心に需要が拡大しています。リハビリや姿勢改善といった文脈で選ばれるケースも多く、専門性が評価されやすい業態です。 - 24時間ジム・セルフ型ジム
人件費を抑え、利便性を重視したモデルです。無人運営やセルフ利用を前提とすることで、再現性の高いビジネスモデルを構築しやすく、M&Aでも評価されやすい傾向があります。 - オンラインフィットネス
ICTの進展により、自宅でのトレーニングやオンライン指導が定着しました。リアル店舗と組み合わせたハイブリッド型の運営も増えています。
このように、フィットネス業界は「縮小か拡大か」という単純な話ではなく、業態転換と再編が同時に進んでいる市場だと言えます。
成長の裏側にある構造的な課題
需要が安定している一方で、フィットネスジムの経営は決して簡単ではありません。
特に多くの事業者が直面しているのが、以下のような課題です。
- 人材依存度の高さ
トレーナーやインストラクターの質が、顧客満足度や継続率に直結します。優秀な人材の確保・定着は、慢性的な課題です。 - 固定費・維持費の重さ
家賃、設備のメンテナンス、屋内プールの管理費など、売上に関係なく発生するコストが大きくなりがちです。 - 価格競争と差別化の難しさ
新規参入が多い一方で、会費を大きく上げにくく、差別化に悩むジムも少なくありません。 - オーナー依存型経営
個人経営や小規模ジムでは、オーナー自身が指導・集客・運営を担っているケースが多く、事業としての持続性に不安を抱えやすい構造があります。
M&Aが注目される理由
こうした状況の中で、フィットネス業界ではM&Aが重要な選択肢として注目されています。
買い手側にとっては、「ゼロから会員を集める」「立地を選定する」「ブランドを作る」といった時間のかかるプロセスを省略できる点が大きな魅力です。
一方、売り手側にとっても、「廃業ではなく、事業として価値を引き継ぐ」「体力やライフステージの変化に合わせて次の選択をする」という前向きな出口として、M&Aが選ばれるケースが増えています。
フィットネス業界のM&Aは、単なる撤退や拡大ではなく、業界再編と事業承継を同時に進めるための現実的な手段として、今後も重要性を増していくでしょう。
フィットネスジムのM&Aの相場・売却価格の決まり方
フィットネスジムのM&Aにおいて、売却価格は「業界で決まった一律の相場」があるわけではありません。
同じ売上規模であっても、業態・収益構造・運営体制によって、評価は大きく変わります。
そのため、売り手・買い手双方が「なぜこの価格になるのか」という考え方を理解しておくことが重要です。
基本となる評価の考え方
フィットネスジムのM&Aでは、以下の2つの視点を軸に価格が検討されるケースが多くなります。
1つ目は、利益を基準にした評価です。
営業利益やEBITDA(利払い・税引き前・減価償却前利益)をもとに、「この利益が何年分続くと想定できるか」という考え方で価格が算出されます。
目安としては、営業利益の2〜5年分程度が一つのレンジとして意識されることが多いですが、これはあくまで出発点に過ぎません。
2つ目は、資産・事業基盤を基準にした評価です。
設備、内装、会員基盤、立地、ブランドといった要素が、どれだけ価値として引き継げるかが見られます。
特にフィットネスジムの場合、「設備はあるが、事業として回らない」状態では評価されにくく、“稼げる仕組み”がどこまで残るかが価格に直結します。
業態によって変わる相場感
フィットネスジムの売却価格は、業態ごとに特徴的な傾向があります。
【パーソナルジムの場合】
パーソナルジムは、単価が高く、利益率も比較的高い傾向にあります。
一方で、売却価格を左右する最大の要素は属人性です。
オーナー自身がトレーナーとして指導の中心を担っている場合、買い手は「引き継いだ後も売上が維持できるか」を慎重に見ます。
そのため、
- 複数トレーナー体制
- マニュアル化された指導内容
- 集客が個人依存でない
【24時間ジム・セルフ型ジムの場合】
24時間ジムやセルフ型ジムは、.再現性の高さが評価されやすい業態です。
人件費が抑えられ、会費モデルが安定している場合、「引き継いでも大きく運営を変えずに済む」点が買い手にとって魅力となります。
一方で、
- 立地
- 家賃
- 設備の老朽化
- 維持費
特に、設備更新のタイミングが近い場合は、将来の投資負担を見越して価格が調整されることもあります。
【総合型スポーツジム・プール併設型の場合】
屋内プールや大型スタジオを備える総合型ジムは、初期投資額が大きい分、維持費・修繕費も高額になりやすいという特徴があります。
会員数が安定していれば一定の評価を受けますが、「今後も同じ水準で運営できるか」という点が、価格交渉の焦点になりやすい傾向があります。
売却価格を左右する具体的な要素
フィットネスジムのM&Aでは、以下の要素が価格に直接影響します。
- 会員数と継続率
一時的なキャンペーンで増えた会員よりも、長期会員の割合が重視されます。 - 売上構成の安定性
月会費・パーソナル・物販など、収益源が分散しているほど評価されやすくなります。 - 人材の定着状況
インストラクターやトレーナーが継続勤務する見込みがあるかどうかは、買い手にとって重要です。 - 立地と契約条件
駅距離、商圏、賃貸借契約の引き継ぎ可否、家賃条件は、将来の収益性に直結します。 - 設備と維持費
マシンや内装の状態、屋内プールの有無、定期的なメンテナンス費用が評価に影響します。
「相場」よりも重視される実務的な視点
フィットネスジムのM&Aでは、「業界相場」に過度に期待しすぎないことが重要です。
買い手が見ているのは、「このジムを引き継いだあと、どれだけ安定して回るか」という一点に集約されます。
そのため、
- 黒字だがオーナー依存度が高い
- 利益は少ないが仕組み化されている
売却価格は、過去の実績だけで決まるものではなく、「将来をどう描けるか」によって決まるものだと言えるでしょう。
フィットネスジムのM&Aのメリット
フィットネスジムのM&Aは、単なる「店舗の売買」ではありません。
既存の会員基盤・運営ノウハウ・立地・人材を引き継ぐことで、ゼロからの立ち上げでは得られないメリットが生まれます。
ここでは、買い手側・売り手側それぞれの視点から、フィットネスジムM&Aのメリットを整理します。
買い手側のメリット
【① 既存会員・売上を引き継げる】
最大のメリットは、開業初日から売上が立っている状態で事業をスタートできる点です。
フィットネスジムは、開業後すぐに会員が集まるとは限らず、集客・口コミ・信頼の積み上げに時間がかかる業態です。
M&Aであれば、
- 月会費を支払う会員
- 定期的に通うリピーター
- パーソナル契約や継続プラン
【② 立地・設備・内装をそのまま活用できる】
フィットネスジムは、
- マシン
- 内装工事
- 屋内プール(ある場合)
M&Aでは、これらをそのまま活用できるケースが多く、新規出店と比べて初期投資を大幅に抑えられる点は大きな魅力です。
特に、24時間ジムやセルフ型ジムでは、設備投資の有無が収益性に直結するため、「すでに整っている環境を引き継げる」こと自体が、買収の価値になります。
【③ 運営ノウハウ・仕組みを引き継げる】
フィットネスジムの運営は、
- 集客(オンライン/オフライン)
- 会員管理
- トレーナーやスタッフのシフト管理
- 清掃や設備管理
M&Aでは、これらの運営ノウハウや業務フローも一緒に引き継ぐことができます。
特に、パーソナルジムやピラティススタジオなど、専門指導が必要な業態では、マニュアルや指導方法が整備されているかどうかが大きな価値になります。
【④ 多店舗展開・FC展開の足がかりになる】
既存ジムの買収は、
- エリア拡大
- ブランド展開
- FC(フランチャイズ)戦略
ゼロから出店するよりも、「すでに地域に根付いているジム」を拠点にすることで、スピード感のある拡大が可能になります。
売り手側のメリット
【① 廃業せずに事業を引き継げる】
フィットネスジムは、
- 体力的な負担
- 長時間労働
- 年齢やライフステージの変化
M&Aを選択することで、閉店ではなく「事業承継」という形でジムを残すことができます。
これは、
- 長年通ってくれた会員
- 共に働いてきたスタッフ
【② 黒字のうちに価値を現金化できる】
フィットネスジムは、売上が安定していても、設備更新や維持費の負担が重くなると、一気に収益性が下がることがあります。
「今は黒字だが、将来の負担が不安」という段階でM&Aを検討することで、事業価値が高いうちに売却できる可能性が高まります。
特に、
- 会員数が安定している
- スタッフ体制が整っている
【③ 人生やキャリアの次の選択肢を広げられる】
売却によって得た資金を、
- 別事業への挑戦
- 投資
- セカンドキャリア
フィットネスジムのM&Aは、「失敗の結果」ではなく、次のステージへ進むための前向きな選択として活用されるケースが増えています。
【④ スタッフや会員への影響を抑えやすい】
買い手と条件をすり合わせることで、
- スタッフの継続雇用
- サービス内容の維持
- ブランドや雰囲気の継承
これは、突然の閉店では実現できない、M&Aならではのメリットと言えるでしょう。
フィットネスジムM&Aのメリットは「時間を買う」こと
フィットネスジムのM&Aに共通するメリットは、買い手にとっては「立ち上げの時間」を、売り手にとっては「積み上げた時間」を価値に変えられる点です。
単なる価格の高低ではなく、
- どんな時間を引き継ぎ
- どんな未来を描けるか
フィットネスジムのM&Aのデメリット
フィットネスジムのM&Aには多くのメリットがある一方で、事前に理解しておかないとトラブルにつながりやすいデメリットも存在します。
ここでは、買い手側・売り手側それぞれの視点から、フィットネスジム特有の注意点を整理します。
買い手側のデメリット
【① オーナーや特定トレーナーへの依存リスク】
フィットネスジム、特にパーソナルジムやピラティススタジオでは、オーナー自身や特定のトレーナーが「ブランド」になっているケースが少なくありません。
その場合、
- オーナー退任後に会員が離脱する
- 人気トレーナーの退職で売上が落ちる
数字上は黒字でも、「誰がその売上を生み出しているのか」を見誤ると、買収後に想定していた収益が維持できない可能性があります。
【② 会員離脱リスクが顕在化しやすい】
フィットネスジムは、
- 価格改定
- 運営方針の変更
- スタッフ交代
M&A後に、「経営者が変わった」「雰囲気が変わった」と感じられるだけで、一定数の退会が発生することも珍しくありません。
そのため、PMI(引き継ぎ期間)での丁寧なコミュニケーションが不可欠になります。
【③ 設備・維持費の負担を過小評価しがち】
フィットネスジムは、
- マシンのメンテナンス
- 設備の更新
- 屋内プールがある場合の水道光熱費
帳簿上の利益だけを見て判断すると、実際のキャッシュフローとの差に後から気づくケースがあります。
特に、
- 老朽化した設備
- 修繕予定の内装
【④ 賃貸借契約の引き継ぎがネックになることがある】
ジムの立地は価値の源泉ですが、賃貸物件の場合、契約名義の変更や再契約が必要になるケースがあります。
- 家賃条件の変更
- 契約更新時の条件悪化
売り手側のデメリット
【① 希望価格で必ず売れるとは限らない】
フィットネスジムは、売上が安定していても、
- オーナー依存度
- スタッフ体制
- 設備状況
「自分が頑張って築いてきた価値」と「第三者が評価する事業価値」には、どうしてもギャップが生まれやすい点は理解しておく必要があります。
【② 情報開示の負担が想像以上に大きい】
M&Aでは、
- 会員数や売上
- 契約書類
- スタッフの雇用条件
日々の運営に追われている中で、これらを整理するのは、売り手にとって大きな負担になります。
特に、
- 数字管理が属人的
- 書面が整っていない
【③ スタッフ・会員への説明に気を使う必要がある】
売却を進める際、
- いつスタッフに伝えるか
- どこまで説明するか
伝え方を誤ると、
- スタッフの離職
- 会員の不安増大
【④ 売却後も一定期間の関与を求められることがある】
買い手から、
- 一定期間の引き継ぎ
- オーナーの継続関与
「売ったらすぐに完全に手を離せる」と考えていると、ギャップを感じることもあるため、事前に条件を整理しておくことが重要です。
デメリットは「想定不足」から生まれる
フィットネスジムM&Aのデメリットの多くは、業態特有の事情を十分に理解しないまま進めてしまうことから生まれます。
- 誰に依存している事業なのか
- 設備や維持費の実態はどうか
- 引き継ぎ後、何が変わるのか
これらを丁寧に整理すれば、多くのデメリットは「リスク管理できる課題」に変わります。
フィットネスジムのM&Aの流れ
フィットネスジムのM&Aは、「売りたい」「買いたい」という気持ちだけで進めるものではありません。
事前準備から引き継ぎ(PMI)まで、段階ごとにやるべきことがあります。
ここでは、一般的な流れをフィットネスジム特有の視点も交えながら整理します。
STEP1:戦略・目的の整理
最初に行うべきは、「なぜM&Aをするのか」を明確にすることです。
売り手であれば、
- 完全に引退したいのか
- 一定期間は現場に関わりたいのか
- スタッフや会員をどう引き継ぎたいのか
買い手であれば、
- 既存事業の拡大なのか
- 新規参入なのか
- パーソナルジム、24時間ジム、ピラティスなど、どの業態を狙うのか
目的が曖昧なまま進めると、途中で条件がブレたり、交渉が長期化しやすくなります。
STEP2:案件探し・情報収集
次に行うのが、具体的な案件探しと市場感の把握です。
M&Aマッチングプラットフォームを活用すれば、
- 立地
- 会員数
- 売上規模
- 業態(24時間・セルフ・パーソナルなど)
この段階では、「良さそうな案件を探す」だけでなく、自分の条件に合わない案件を除外することも重要です。
STEP3:交渉開始・秘密保持契約(NDA)
興味のある案件が見つかったら、交渉に進む前に秘密保持契約(NDA)を締結します。
フィットネスジムは、
- 会員情報
- 売上データ
- スタッフ体制
NDAを結ぶことで、安心して詳細情報を開示できる環境が整います。
STEP4:基本合意の締結
条件面について一定の合意ができたら、基本合意書(LOI)を締結します。
ここでは、
- 想定譲渡価格
- スケジュール
- 独占交渉権
- 引き継ぎ期間の考え方
この時点では、まだ最終契約ではありませんが、方向性を固める重要なステップです。
STEP5:デューデリジェンス(詳細調査)
基本合意後に行われるのが、デューデリジェンス(DD)です。
フィットネスジムのDDでは、
- 売上や利益の実態
- 会員数の推移
- スタッフの雇用条件
- 設備の状態や更新履歴
- 賃貸借契約の内容
特に、「数字に表れないオーナー依存度」「設備の老朽化」は、ここで見落とされやすいポイントです。
STEP6:最終契約締結
デューデリジェンスを踏まえて条件を調整し、最終契約書を締結します。
ここでは、
- 譲渡価格
- 支払い方法
- 引き継ぎ条件
- 表明保証
- 競業避止義務
口約束ではなく、必ず書面で条件を明確にしておくことが重要です。
STEP7:クロージング・PMI(引き継ぎ)
契約締結後、代金決済と経営権移転を行い、クロージングとなります。
その後のPMI(引き継ぎ期間)では、
- スタッフへの説明
- 会員への告知
- 運営フローの引き継ぎ
フィットネスジムでは、PMIが、「M&A後の成否を左右する」と言っても過言ではありません。
フィットネスジムM&Aは「引き継ぎ」が成功の鍵
フィットネスジムのM&Aは、契約がゴールではなく、運営が安定して回り始めることが本当のゴールです。
そのため、段階ごとの準備や丁寧な引き継ぎを意識して進めることが、成功への近道になります。
フィットネスジムのM&A成功のポイント
フィットネスジムのM&Aは、「売れた」「買えた」で終わりではありません。
引き継いだあとに、きちんと運営が続くかどうかが成功の分かれ目になります。
ここでは、売り手・買い手の双方に共通する重要なポイントを整理します。
① オーナー依存度をできるだけ下げておく
フィットネスジムのM&Aで最も多い課題が、オーナー依存度の高さです。
- オーナー自身が人気トレーナー
- 会員の多くがオーナー目当て
- 経営判断や現場対応が属人化している
この状態では、買い手は「引き継いだ後に本当に回るのか?」という不安を抱きます。
売却を見据えるなら、
- 指導内容の標準化
- スタッフ主導でも運営できる体制
- 業務マニュアルの整備
② 会員データ・収益構造を「見える化」する
成功しているフィットネスジムM&Aでは、数字が整理されているという共通点があります。
特に重要なのは、以下のような内容です。
- 会員数の推移
- 退会率
- 客単価
- パーソナル比率
- 月額会費と追加売上の内訳
これらが曖昧だと、買い手はリスクを織り込んで価格を下げざるを得ません。
「感覚的にうまくいっている」ではなく、説明できる数字を用意しておく<.span>ことが成功への近道です。
③ スタッフの引き継ぎを最優先で考える
フィットネスジムは、人が価値をつくるビジネスです。
M&A後に、
- 主要スタッフが退職する
- トレーナーが大量に離脱する
そのため、以下のような内容を事前に考えておくことが非常に重要です。
- 雇用条件の整理
- 引き継ぎ期間の設定
- スタッフへの説明タイミング
④ 立地・契約条件を冷静に見直す
成功するM&Aでは、「今うまくいっている」だけでなく、この先も続くかを重視します。
特に注意すべきなのが、
- 賃貸借契約の更新条件
- 賃料の将来的な増額リスク
- 解約条項や譲渡制限
⑤ PMI(引き継ぎ期間)を軽視しない
フィットネスジムM&Aでは、PMIが成否を分けると言われます。
- 会員への告知方法
- 新体制への移行スケジュール
- サービス内容の変更有無
上記の内容を丁寧に設計することで、不安や混乱を最小限に抑えられます。
特に、「急激な変更をしない」「会員との信頼関係を守る」ことが重要です。
⑥ 売り手・買い手双方が「ゴール」を共有する
成功するM&Aでは、売り手と買い手が「どんなジムを引き継ぎ、どう成長させたいか」を共有できています。
価格だけでなく、
- 理念
- 運営方針
- 会員への向き合い方
フィットネスジムM&Aは「人と仕組み」がすべて
フィットネスジムのM&Aは、設備や数字だけを見る取引ではありません。
- 人
- 仕組み
- 継続性
この3つを意識して準備・交渉を進めることで、小規模でも、十分に成功するM&Aが実現します。
TRANBIを活用したフィットネス・スポーツジムのM&Aの事例
人を活かすM&Aという選択。フィットネスジム事業承継のリアル
Aさんはこれまで中古車販売、不動産、レンタカー、飲食など複数の事業を手掛けてきた経営者。事業の多角化を常に意識し、TRANBIで様々なM&A案件をチェックしていました。あるとき和歌山県にある女性専用フィットネスジムの買収案件を見つけ、興味を持ちます。譲渡額は約190万円と比較的低額で、ネームバリューだけに頼らない事業の可能性を感じ、現地見学に足を運んだその日に即決で買収を決断しました。
即決の決め手は、事業そのものの将来性だけでなく、現場で出会った優秀なスタッフの存在でした。売り手側は赤字続きでの売却を希望していたため、交渉はスムーズに進行。賃料交渉や契約書作成もスピーディーに進み、事業承継は滞りなく完了。スタッフはそのまま雇用契約を継続し、店舗運営にも大きな混乱はありませんでした。
買収後は、スタッフのポテンシャルを武器に新聞折込広告などの宣伝活動を強化。初回の広告で 約12名の新規会員獲得という成果も出ています。Aさんは、初期の赤字は広告投資によって改善できると判断。地域性やターゲット層を踏まえた広告戦略を重視しています。
今回のM&Aを振り返り、Aさんは「M&Aはゼロから新規事業を立ち上げるよりも時間とコストを抑えられる選択肢」と評価。また、スタッフや地域への思いを大切にしつつ、事業成功につなげたいという意気込みを語っています。
※成約・成功事例インタビュー:和歌山のフィットネスジムをM&A!億単位のM&A経験があるベテラン経営者が即決した理由とは
初期費用を抑えた判断が鍵。個人でも挑戦できる事業買収の実例
Bさんは、会社員として証券会社に10年間勤めた後、自分の時間の自由や副業の可能性を広げたいと考え、スモールビジネスとしてのM&Aに挑戦しました。そこで見つけたのが、京都・烏丸御池駅近くのパーソナルトレーニング向けレンタルフィットネスジムの案件です。元々「レンタルスペース×ジム」というビジネスモデルに可能性を感じていたBさんは、立地の良さや固定費の低さ、既存設備の充実に魅力を感じ、売却希望額に応じて100万円以下というリスクの少ない条件で購入を決断しました。
交渉はオンラインで一度話しただけで即決となり、その日の夕方には正式に購入の意思を伝えました。現地下見は購入後でしたが、放置状態だったスペースも清掃すれば十分使えることがわかり、結果的に大きな問題にはなりませんでした。初期費用を抑えられたことで、今後の運営に余裕を持って取り組める点も好条件でした。
引き継いだ後は、元の利用者名簿を活用した案内や、料金設定の見直しなど運営改善を進めています。また、これから集客を強化するためにポスティングやSNS・検索広告を検討しているほか、スペース内でのスムージー販売や関連物販などのクロスセル施策も構想中です。
Bさんは今回のM&Aについて、「スモールスタートで経営ノウハウを学びつつ、将来的には複数スペースへの展開も視野に入れたい」と話しており、副業としてのM&A活用の一例として参考になる事例です。
※成約・成功事例インタビュー:100万円以下でレンタルフィットネスジムをM&A!スムージーやシャワーヘッドも販売する独自のビジネスアイデアを構想中
300万円の個人M&Aで実現した、ジム事業承継の成功事例
Cさんは会社員として経営企画の仕事をしながら、副業としての可能性を感じて個人M&Aに興味を持ちました。複数年にわたりM&A案件を観察した結果、自身の条件に合う案件を探しているうちに、地方のキックボクシング×パーソナルジムの売却案件を発見。ジムは従業員1名で安定収益を上げており、固定費が低く競合が少ない特徴がありました。Cさんは事業の魅力と自分自身の働き方を両立できると判断し、譲渡金額300万円で買収を決断しました。
買収前の面談では、売り手の経営者が次の事業に挑戦したいという意欲を持っていることや、これまでの店舗運営の考え方などを直接聞き、事業価値への納得感を深めたことが決め手に。数字だけではなく、売り手との信頼関係と経営姿勢の共有を重視した判断が成功につながりました。
引き継ぎ後、Cさんは従業員との連携を大切にしながら運営を継続。スタッフが退職を希望した局面では、売り手と協力して求人を実施し、新メンバーを迎え入れることで体制を整えました。運営面では予約管理の改善や顧客台帳の整備、Web広告やSNSを使った集客など、事業価値を高める取り組みも進めています。初月には引き継ぎ前の会員数から増加が見られ、順調な滑り出しとなっています。
Cさんは今回のM&Aを通じて、「会社員としての経験が経営判断や視点に役立った」と語る一方、交渉や数字の確認については一次情報をしっかり押さえる重要性も強調しています。M&Aは単なる買収ではなく、売り手との深い対話と準備が成功のカギであることがこの事例からも分かります。
※成約・成功事例インタビュー:「300万円の個人M&Aで切り拓く新しい働き方」会社員と二足の草鞋で踏み出すキックボクシングジム経営!
よくある質問(FAQ)
Q. 赤字のフィットネスジムでも売れますか?
はい、可能です。
フィットネスジムのM&Aでは、黒字か赤字かだけで判断されることはほとんどありません。
買い手が重視するのは、会員基盤の安定性や立地、運営の再現性、将来的な改善余地です。
たとえば、固定費が重く一時的に赤字になっている場合でも、会員数が安定しており、運営改善で収益化が見込めるジムであれば、十分に買収対象になります。
Q2. パーソナルジムやピラティススタジオでもM&Aは成立しますか?
はい、成立します。
特に近年は、パーソナルジムやピラティススタジオへの買いニーズが高まっています。
専門指導による付加価値や、健康志向の高まりを背景に、複数業態を展開したい企業や個人が積極的に検討しています。
ただし、オーナーや特定トレーナーへの依存度が高い場合は、引き継ぎ体制の整理が重要になります。
Q3. 24時間ジムやセルフ型ジムは売れやすいですか?
比較的売れやすい傾向があります。
24時間ジムやセルフ型ジムは、人件費が抑えられ、運営が仕組み化されているケースが多いため、引き継ぎやすい業態と評価されやすいです。
また、FC展開や多店舗展開を狙う買い手とも相性が良く、M&Aの対象になりやすい業態と言えます。
Q4. 売却までにはどれくらいの期間がかかりますか?
案件によりますが、3〜6ヶ月程度が一つの目安です。
準備が整っているジムであれば、より短期間で成約するケースもあります。
一方で、契約条件の整理や引き継ぎ内容の調整に時間がかかる場合は、半年以上かかることもあります。
早めに情報を整理し、専門家やプラットフォームを活用することがスムーズな進行につながります。
Q5. スタッフは引き継がなければいけませんか?
必須ではありませんが、引き継げる方が評価は高くなります。
フィットネスジムでは、既存会員との関係性や専門指導の継続性が重要です。
そのため、スタッフの継続勤務や一定期間のサポート体制を整えておくことで、買い手の不安が減り、条件交渉がスムーズになります。
Q6. フランチャイズ(FC)加盟店でも売却できますか?
はい、可能です。
ただし、FC契約の内容確認が必須になります。
譲渡にあたって本部の承諾が必要な場合や、条件変更が発生するケースもあるため、事前に契約書を確認しておくことが重要です。
FC加盟店であっても、運営実績や立地条件が良ければ、十分にM&Aは成立します。
FCの場合、別途加盟料等についても事前確認が必要となります。
Q7. フィットネスジムのM&Aは個人でも買えますか?
はい、個人でも購入可能です。
実際に、個人や個人事業主がフィットネスジムを買収し、
- オーナー兼トレーナーとして運営
- セルフ型ジムとして省人化運営
特に小規模ジムやパーソナルジムは、個人M&Aとの相性が良い分野です。
Q8. M&A後に失敗しやすいポイントは何ですか?
多いのは、引き継ぎの甘さです。
- 会員対応の引き継ぎ不足
- スタッフとのコミュニケーション不足
- 運営ルールの共有不足
これらが原因で、会員離れが起きるケースがあります。
そのため、M&A後のPMI(統合・引き継ぎ)を意識した準備が、成功のカギとなります。まとめ
フィットネスジム業界は、健康志向の高まりやライフスタイルの多様化を背景に、パーソナルジム、24時間ジム、ピラティス、セルフ型ジムなど、さまざまな形態へと進化しています。その一方で、設備の維持費や人材確保、オーナーの働き方といった課題を抱えやすい業界でもあります。
こうした環境の中で、フィットネスジムのM&Aは、単なる「撤退手段」ではなく、価値ある事業を次に引き継ぐための前向きな選択肢として注目されています。
売り手にとっては、これまで築いてきた会員基盤やブランド、運営ノウハウを無駄にせず、事業承継や次のキャリアへ進むための手段となります。
一方で買い手にとっては、既存会員や立地、設備を引き継ぐことで、ゼロから開業するよりもリスクを抑えた参入や拡大が可能になります。
フィットネスジムのM&Aでは、財務数値だけでなく、会員の定着率、スタッフ体制、オーナー依存度、運営の再現性といった現場の要素が重視されます。
黒字・赤字に関わらず、「引き継いだ後に改善できる余地があるか」「安定した運営が続けられるか」が評価のポイントになります。
また、M&Aを成功させるためには、早い段階から目的を整理し、秘密保持契約やデューデリジェンスを通じて情報を正しく開示し、引き継ぎやPMIまで見据えた準備を進めることが重要です。
スタッフや会員への配慮を含めた丁寧な引き継ぎが、成約後のトラブルを防ぎ、長期的な成功につながります。
フィットネスジムのM&Aは、「やめるための手段」ではなく、事業を活かし続けるための選択です。
売り手・買い手それぞれの目的に合った形でM&Aを活用することで、フィットネスジムという事業は、次のステージへとつながっていくでしょう。